自己紹介(幼馴染たち)
羅海アヤメ
羅海空
白石奏多
澄々翠
赤坂翔
自己紹介(今回の登場人物)
山辻朝陽
山辻海斗
自己紹介(刑事たち)
剣崎裕次郎
袴田瑛
これで自己紹介は終わりです。
それでは、本編をお楽しみください!
山辻朝陽
山辻朝陽
現在18:30
本来なら家に着いている時間。
けれど、朝陽自身が遅刻してしまったこともありこんな時間になってしまった。
山辻朝陽
また兄が帰省している。
兄がいるときは必ずカレー。
これはもう確定事項だ。
山辻朝陽
山辻朝陽
食べ盛りは過ぎたはずなのに未だ兄は食べてばかりである。
少し食事に遅れれば残るカレーは半分以下
まぁ、兄が遅れてきた時に朝陽がやり始めたことなので文句は言えない。
けれど、早く帰るに越したことはないのである。
そう思い、朝陽が足を早めた
が
ドンッ
山辻朝陽
身体に大きな衝撃が走る。
頭を打つ。
耳をつんざくブレーキの音が遅れて聞こえる
そして
ライトが、眩しい……
朝陽はそれを最後に意識を手放した
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻朝陽
山辻朝陽
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻海斗
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
突如現れたのは厳つい男だった。
目だけは幼子のように輝いていて、見た目に合っていない。
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻朝陽
袴田瑛
羅海アヤメ
羅海アヤメ
袴田瑛
剣崎裕次郎
袴田瑛
剣崎裕次郎
袴田瑛
羅海アヤメ
思わず漏らした本音に剣崎が睨む。
取り敢えずアヤメは目を逸らしてしらばっくれておいた。
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
剣崎裕次郎
袴田瑛
袴田瑛
袴田瑛
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
廊下に出た刑事、海斗、そしてアヤメ
剣崎がドサリとソファに座る。
羅海アヤメ
院内は禁煙
外へ行こうにも中の方が快適だ。
配慮してくれたのだろうか
なんでもいいから早く話を聞きたい
けれど、こちらから頼んでいる身
強くは出ずに待つことにする。
とりあえず口が寂しそうなので棒付きキャンディをあげた。
一瞬、目がより輝いたのをアヤメは見逃さなかった。
バツの悪そうな顔で剣崎は飴を舐めつつ話し始める。
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
袴田瑛
袴田瑛
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
山辻海斗
おそらく今、朝陽が事情聴取を受けているところだろう
羅海アヤメ
アヤメは深くため息をつく
山辻海斗
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
澄々翠
青筋をたてながら、アキもといミドリが言う。
幼馴染全員が色に関係する名前を持つので色で呼んでいるのだ。
奏多はシロ、翔はアカ、
空はアオ、アヤメはムラサキというように。
羅海空
赤坂翔
澄々翠
白石奏多
白石奏多
澄々翠
少し興味が湧いたらしい。
あと一押しだ。
羅海アヤメ
そう言ってソファを指さす。
澄々翠
10秒ほど考えた後、答えてくれた。
澄々翠
澄々翠
念を押すように繰り返すが、ここにいる4人は知っている。
繰り返すのはただの強がりであることを
澄々翠
珍しく大きな声を出すミドリ
よほど興奮しているらしい。
羅海空
羅海アヤメ
羅海兄妹はこうして人をよくからかう
澄々翠
慣れている彼らは上手くかわすが、慣れていない人たちは
な、なんだと⁉︎
と声を荒げることだろう。
白石奏多
白石奏多
白石奏多
白石奏多
一通り話を聞いた彼らは頭を働かせはじめる
羅海空
澄々翠
白石奏多
羅海アヤメ
羅海空
澄々翠
羅海アヤメ
白石奏多
あり得る可能性を少しずつ考えて捻り出していく
しかし、それも少しずつ出なくなっていく
赤坂翔
赤坂翔
赤坂翔
白石奏多
赤坂翔
羅海アヤメ
事故現場
血は飛び散ってはいない。
朝陽の怪我もかすり傷が多かったので怪しいわけではない。
ただ気になるのは
羅海アヤメ
これは車が全く減速しなかったことを示す。
羅海空
澄々翠
朝陽が倒れ込んでいた生垣の部分だけが凹んでいる。
美しい生垣が生々しく事件を物語っていた。
赤坂翔
白石奏多
赤坂翔
羅海アヤメ
赤坂翔
赤坂翔
赤坂翔
赤坂翔
赤坂翔
澄々翠
澄々翠
澄々翠
羅海空
羅海空
羅海アヤメ
羅海アヤメ
澄々翠
白石奏多
羅海空
羅海空
赤坂翔
白石奏多
シロがスマホをかざした
白石奏多
羅海アヤメ
今、外では雨が降っている
外を眺めながら今日のことを復習する
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
一つの可能性が浮かぶ
まだ証拠はない
考えは頭の中に留めておくことにして
ムラサキことアヤメは趣味、読書に没頭することにした。
山辻朝陽
羅海アヤメ
山辻朝陽
羅海アヤメ
昨日はベッドに座っていたのでよくわからなかったが、ここ数日で朝陽はやつれたようだった。
腕がより白く、細くなっている
アヤメは動揺が隠しきれなかった。
山辻朝陽
小一の頃からの仲だ。
隠し事は通用しないらしい。
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻朝陽
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻朝陽
図星だ。
山辻朝陽
山辻朝陽
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻朝陽
山辻朝陽
そう、アカ、シロ、アオ、ミドリはかなりモテる部類だ。
アオの双子であるアヤメもといムラサキも美形である。
つまりモテるということだ。
特にシロはその中でもずば抜けている。
その輪の中に常にいるアヤメは恨まれ最初こそ嫌がらせを受けたが、
必ず犯人を見つけ証拠も写真などで残しておくので次第に収まっていった
アヤメに嫌がらせをすればイケメン集団を敵にまわすことになる。
みんな、それは得策でないと感じたのだろう。
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻朝陽
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻朝陽
羅海アヤメ
山辻朝陽
羅海アヤメ
こうして話をしていた
30分後
羅海アヤメ
山辻朝陽
山辻朝陽
羅海アヤメ
山辻朝陽
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
少し哀しげに朝陽は笑った。
朝陽は切り替えたように話し始める
山辻朝陽
羅海アヤメ
山辻朝陽
羅海アヤメ
山辻朝陽
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻朝陽
時刻は午前11時
幼馴染5人が集まった
赤坂翔
羅海アヤメ
羅海アヤメ
赤坂翔
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
白石奏多
白石奏多
白石奏多
羅海空
白石奏多
白石奏多
白石奏多
白石奏多
白石奏多
白石奏多
白石奏多
白石奏多
白石奏多
羅海空
羅海空
羅海空
羅海空
羅海空
澄々翠
澄々翠
赤坂翔
赤坂翔
赤坂翔
赤坂翔
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
全員の声が重なった
これは、 偽装工作だ!
羅海空
赤坂翔
赤坂翔
羅海アヤメ
羅海アヤメ
赤坂翔
澄々翠
澄々翠
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
白石奏多
羅海アヤメ
羅海アヤメ
赤坂翔
羅海アヤメ
白石奏多
澄々翠
澄々翠
羅海空
赤坂翔
赤坂翔
羅海アヤメ
赤坂翔
白石奏多
白石奏多
澄々翠
白石奏多
羅海アヤメ
羅海アヤメ
こうして時間がどんどん経っていった
そして
赤坂翔
赤坂翔
羅海空
羅海空
空だけがアヤメのことをアヤメと呼ぶ。
羅海アヤメ
逆もまた然りである。
羅海アヤメ
羅海アヤメ
アヤメが目を見開く
他の4人も覗いた。
そこには血痕がある
羅海空
澄々翠
澄々翠
白石奏多
白石奏多
白石奏多
わしゃわしゃとムラサキの頭をシロが撫でる。
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
赤坂翔
赤坂翔
白石奏多
白石奏多
先程の場所から少し離れたファミレス
大声で注文したハンバーグの感想を言うアカを含め
美形五人組を周りが見ている
いつものことなので、もう慣れた5人である。
シロに関しては軽く手を振ったりとこの立場を謳歌している。
羅海アヤメ
できるだけ小声でアヤメがきりだす
周りが自分たちの会話に耳を欹てているからだ。
澄々翠
澄々翠
白石奏多
白石奏多
羅海空
赤坂翔
赤坂翔
羅海アヤメ
羅海アヤメ
澄々翠
羅海空
羅海空
白石奏多
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
澄々翠
赤坂翔
澄々翠
ミドリがアカの口をおさえる
羅海アヤメ
羅海アヤメ
白石奏多
白石奏多
赤坂翔
羅海アヤメ
羅海空
羅海空
白石奏多
羅海空
羅海アヤメ
赤坂翔
赤坂翔
羅海空
澄々翠
白石奏多
ミドリは非常に不器用である
かわりにアオはとても器用で壊れた何かをノリなしに並べていく
白石奏多
澄々翠
羅海空
羅海空
羅海空
羅海空
羅海アヤメ
白石奏多
羅海アヤメ
羅海アヤメ
澄々翠
澄々翠
ミドリが指さす位置をみんなで覗き込む。
澄々翠
澄々翠
羅海空
羅海アヤメ
アヤメがスマホを操作し、石の画像をみんなに見せる
赤坂翔
澄々翠
澄々翠
アヤメが少し考える素振りを見せた
羅海アヤメ
羅海アヤメ
赤坂翔
羅海アヤメ
羅海アヤメ
白石奏多
とりあえず、場所だけ報告して解散することにした
もちろんこっぴどく怒られた
電話越しに。
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
電池が少なくなったというのは真っ赤な嘘である。
多くもないが、少なくもない40%だった
羅海アヤメ
羅海アヤメ
アヤメは携帯をいじり始めた
あのメガネ店について
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
これは推測でしかない。
だが真実に限りなく近づくことができる有益な情報だった。
そこで、スマホが振動した。
ミドリからの電話だ
羅海アヤメ
澄々翠
羅海アヤメ
羅海アヤメ
澄々翠
羅海アヤメ
澄々翠
澄々翠
あのバイクとは事故車両のことだ
ミラーやタイヤ痕のサイズなどから推測した。
メーカーはおそらくヤマハ
ヤマハYBR125というものではないかと絞り込んだ
値段もそこまで高くなく普段使いにちょうどいい
羅海アヤメ
澄々翠
羅海アヤメ
澄々翠
羅海アヤメ
羅海アヤメ
澄々翠
澄々翠
澄々翠
羅海アヤメ
だけど今はそれどころじゃなかった
羅海アヤメ
羅海アヤメ
このまま放っておいてもじきに犯人は捕まるだろう。
ただ、もしアヤメの推理があっていれば、アヤメはその犯人に自首をしてほしいと思っている。
自首をすれば少しは罪が軽くなる
そんなことを30分ほど悶々と考えていた頃
羅海空
羅海アヤメ
空がアヤメの手からスマホを抜き取った
1.2センチ程しか空は高くないが、腕が長いので爪先立ちしても届かない
羅海アヤメ
羅海空
羅海空
羅海アヤメ
羅海アヤメ
スマホを取り返すために立ち上がっていたアヤメは勢いよくベッドに沈み込んだ
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海空
羅海空
羅海空
羅海空
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海空
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海空
羅海空
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
月曜日、午前10時のことである
行く、とは言っていなかったので朝陽は寝ている
学校?そんなもの休みに決まっている
なので…
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
羅海アヤメ
鶴崎の隣に椅子を置き顔を覗く
にやり、とアヤメが妖しげに笑みを浮かべる
ダン、と大きな音がした
鶴崎は壁際、つまり朝陽の頭側に座っていた
その鶴崎を挟み込むようにアヤメが両手を壁についたのだ
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
羅海アヤメ
両手で鶴崎の自由を奪いながらアヤメは立ち上がった
鶴崎の足と足の間に足を置く
そっと、鶴崎は顔を撫でられる
立ち上がることもできず、鶴崎はただ呆ける
アヤメがこちらを見下ろす
額が触れそうな距離で、再び問われる
羅海アヤメ
羅海アヤメ
喉がカラカラになる
汗が噴き出す
どうするのが正解なのか、鶴崎には見当もつかない
羅海アヤメ
羅海アヤメ
剣崎裕次郎
ふっとアヤメが笑い、呪縛が解かれる
鶴崎には何が何だかわからない
息を整えながら汗を拭う
そんな中アヤメは笑っていた
羅海アヤメ
羅海アヤメ
小説の中の探偵が
事件を解いていく
読み進めると同時に彼らの快感を味わってきた
同じような感覚
でも違う
何倍も、何倍も大きく、興奮し、 そして熱い
それが幾重にもなって 身体中を渦巻いて…
羅海アヤメ
そう言って、天井を仰いだ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
山辻海斗
ここは朝陽の家だ
そして海斗の部屋
おばさんはパートでいない
おじさんも仕事だ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
羅海アヤメ
山辻海斗
羅海アヤメ
数分の沈黙が続いた
海斗の身体の震えが少しずつ大きくなっていく
山辻海斗
沈黙を破ったのは海斗だった
山辻海斗
山辻海斗
海斗が取り出したのはキャンプ用の折りたたみナイフだ
刃渡り10センチ強
小さなそれは大きな凶器となる
山辻海斗
海斗がアヤメに向けて振り下ろす
すんでのところで避けたアヤメだが、二撃目は避けられなかった
羅海アヤメ
背を斜めに大きく斬られる
いや、裂かれると言った方が正しいかもしれない
それほど深い傷だった
山辻海斗
山辻海斗
海斗はアヤメの腹を刺しながら 自供を始める
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
山辻海斗
海斗はナイフの切っ先をアヤメの心臓に合わせる
そして海斗がナイフを振り下ろそうとした時
赤坂翔
海斗は手に衝撃を感じ、ナイフを落とした
すかさず翔と奏多が海斗を押さえつける
羅海空
空が駆け寄ってくる
扉のところには翠。
少し焦りながら電話をしている
翠に「ムラサキ」と呼ばれた
そしてアヤメは気を失った
羅海アヤメ
入院してすぐの時、ムラサキは言った
自首させたかったのに、海斗の罪をより重くしてしまった
ムラサキはいつも、このことを悩んでいる
余計なことをしてしまったのではないかと、いつも
髪を耳にかけながらつぶやいたその言葉は、翠の心までも刺し続けている
神秘的なあの美しさを、翠は忘れることが出来ないだろう
あれから、翠は毎日見舞いに来ている
花を贈り、そしてムラサキがデッサンをする
デッサンしたものを欲しい、と翠が言ったら、ムラサキは
羅海アヤメ
羅海アヤメ
アヤメの家系は全員芸術家だ
その中で、アヤメには才がなかった
筆の使い方が上手くなかったのだ
デッサンはすごく上手なのに
無機質で、機械のような絵とも言われていた
使う色が少なく、単調な絵になってしまっていて
もちろんこれには理由がある
色覚異常なのだ、ムラサキは
区別がつかない色がある
先天性で、生まれた時からムラサキの芸術人生は絶たれている
それが、どんな気持ちなのか。 翠にはわからない
ただ、近くにいることしかできない
そして今日、ムラサキは眠っている
澄々翠
花を生けながらつぶやいた
今日の花はメランポジウム
花言葉は、元気
翠は椅子に座り、そっとムラサキの手を握ってみた
ペンだこができている、少し硬い手
だけど、温かい
目を覚ますと、ミドリが寝ていた
アヤメの手を握り、布団に突っ伏している
規則正しい寝息が聴こえてくる
羅海アヤメ
ミドリは毎日来てくれる
綺麗な花を持って
羅海アヤメ
ミドリを起こさないよう、そっと起きた
刺された背中が痛む
起き上がるのさえ一苦労だ
羅海アヤメ
今日の花だ
花の名前は熟知している
母親の友人が華道家で、花についてたくさん教えてくれた
花言葉は確か
元気と
羅海アヤメ
思わずミドリのことを凝視する
顔が熱くなった気がする
ミドリと繋いでいる手が汗ばむ
手を解き、両手で顔を覆う
勘違いかもしれない、
ミドリはこの花言葉を知らなかったのかも
でも、ミドリがそんなヘマをするとは思えない
羅海アヤメ
羅海アヤメ
そっとアキの頭を撫でる
羅海アヤメ
相変わらずアキは眠っている
アヤメはデッサンを始める
花だけでなく、記憶の中の、 アキの笑顔を思い浮かべて
ひとつの病室に鉛筆の音が響く
2人の恋は、まだ始まったばかりー