ある日の夕食中
シン
……湊さん。
湊さん
……ん?
湊さん
どうした?
シン
俺、湊さんにもっと
シン
愛してる言ってもらいたいです!
湊さん
はぁっ?
湊さん
急に何言いだしてんだ。
シン
だって湊さん
シン
好きとか
シン
大好きとか
シン
愛してるとか
シン
滅多に言ってくれないじゃないですか。
湊さん
……そんなこと、
湊さん
……そんなホイホイ言うもんじゃねぇの。
湊さん
……それに、
湊さん
……俺が前に書いた手紙
湊さん
……持ってんだろ。
シン
……持ってますけど。(頬を膨らませる)
湊さん
……だったら、
湊さん
……俺がお前のことどんな風に思ってるか
湊さん
……分かってんじゃねぇか。
シン
……俺は、強欲だから。
シン
……文字だけじゃなくて
シン
湊さんから愛してるって
シン
……もっと言われたいんです!
湊さん
……
シン
……だから、
シン
愛してるゲームしましょう、湊さん?
湊さん
はぁっ?
シン
俺が勝ったら、
シン
1つお願い聞いて欲しいです。
シン
……嫌なら、断ってもいいですけど
シン
そのかわり
シン
……キス300回してください。
湊さん
何でだよ!
シン
湊さんの愛してるには
シン
それだけの価値があるからです!
湊さん
……はぁ(溜息)
湊さん
……お前なぁ
湊さん
(……断ったら)
湊さん
(……キス300回って)
湊さん
(……そんなの)
湊さん
(……俺の不戦敗と変わらねぇだろ!)
湊さん
(……かといって、ゲームで負けたら)
湊さん
(……どんなお願いされるか)
湊さん
(……分かったもんじゃね!)
湊さん
(……でも)
湊さん
(……シンに愛してるなんて言われて)
湊さん
(……照れずにいるなんて)
湊さん
(……無理だろ。)
湊さん
(……だったら)
湊さん
(……俺から始めて)
湊さん
(……1回で終わらせるしかねぇ)
湊さん
……分かった。
湊さん
……やるよ。
シン
本当ですか!?
シン
じゃあ、俺から……
湊さん
いや、
湊さん
俺から言うから。
シン
分かりました。
シン
……じゃあ、どうぞ。
俺はシンの両頬に手を添えて
湊さん
……愛してるよ、シン。(真剣な表情で)
チュッ
シン
えっ?湊さん////
湊さん
……(シンから目をそらす)
湊さん
はい!お前の負け!
湊さん
愛してるゲームは終了です!
シン
ちょっと、湊さん
シン
それは……ずるい。
シン
……反則です。
湊さん
……ず、ずるくも、反則でもねぇだろ。
湊さん
……お、俺はちゃんと言ったからな。
シン
湊さんだって、俺から目そらしたじゃないですか。
湊さん
……お前が照れる方が早かった。
シン
湊さんの方が早かった!
湊さん
お前の方が早かった!
シン
湊さん!
湊さん
シン!
シン
湊さん!
湊さん
シン!
シン
クスッ
シン
俺にも湊さんを愛してるって
シン
言わせてくださいよ。
湊さん
……お前はしょっちゅう言ってるからいいだろ。
シン
良くないです!
シン
俺の湊さんへの好きって想いは
シン
毎秒溢れ続けているんです!
シン
この想いを我慢しすぎて
シン
俺の心臓が爆裂四散したら
シン
どうしてくれるんですか!
湊さん
そんなことなるわけねぇだろ!
湊さん
そんなこと起きたら、怖すぎるわ。
湊さん
どんな病気だよ。
シン
……そうなんです。
シン
俺、湊さんに出会ってから
シン
不治の病に罹(かか)ってるんです!
シン
……恋煩いっていう厄介な病に。
湊さん
……
シン
恋煩いっていうのは
シン
対象の相手への好きって感情が
シン
抑えられなくなる病で、
シン
俺のその対象は湊さんなんです。
シン
……湊さんにしか、
シン
この病は治せないんです。
湊さん
……別に
湊さん
……治んなくていいよ。
湊さん
……俺にずっと
湊さん
……恋焦がれてろよ、(シンから目をそらす)
湊さん
……一生。
チュッ
湊さん
ちょっ、お前
湊さん
いきなり何すんだ!
シン
発作です。
湊さん
はぁっ?
シン
好きな相手に好きもしくは
シン
それと同等の言葉もしくは
シン
行動をとられた場合、
シン
キスもしくはそれ以上のことが
シン
したくなる発作です。
湊さん
……お前、厄介な病に罹りやがって。
シン
……今回は、
シン
湊さんを抱かないと
シン
治まりそうにありません。
シン
……今すぐあんたを抱きたい
シン
……ダメですか?(真剣な表情で)
湊さん
……その顔は、反則だから。(シンから目をそらす)
シン
それっていいってことですよね!
シン
じゃあ、早くベッドに行きましょう♪
(湊さんの手を掴んで寝室へ行こうとする)
(湊さんの手を掴んで寝室へ行こうとする)
湊さん
おい、そんなこと言ってねぇよ。
湊さん
勝手に都合よく解釈すんな。(立ち止まって抵抗する)
シン
……じゃあ、ダメなんですか?
湊さん
……ダメとは言ってねぇ。
シン
俺、もっと湊さんに愛してるって言われたいです。
シン
……今度はベッドの上で。(耳元で囁く)
湊さん
か、勝手に条件増やしてんじゃねぇよ。
(シンの手を振りほどいて背を向ける)
(シンの手を振りほどいて背を向ける)
シン
クスッ
ギュッ
後ろから抱きしめられて
シン
またやりましょうね、愛してるゲーム。
シン
今度はベッドの上で。
湊さん
や、やらねぇよ!
シン
……湊さんのケチ。
湊さん
(……そんなの俺に勝ち目ねぇだろうが)
湊さん
(……でも)
湊さん
(……強引に迫られたら)
湊さん
(……拒めねぇかもしれねぇ)
ベッドの上での
愛してるゲームが
思ったよりも早く実現することを
この時の俺はまだ知らなかった。