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天 ヶ 瀬 .
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天 ヶ 瀬 .
天 ヶ 瀬 .
天 ヶ 瀬 .
⚠あてんしょん⚠ ・マイ春大前提のほんのり春愛され ・死ネタ(春が死) ・春が難病に掛かってます ・不定期更新 ・全文テキスト ・長い ・ノリと勢いで作ったので、色々矛盾あるかもしれない ・優しい目で見てください、🥺🥺
「大好きです、…マイキー…」 「俺も、ッ、俺も大好きっ……だから死ぬなよ、ッ」 その日、俺は息を引き取った。 今から話すのは、俺が死ぬまでの物語 __
「貴方の余命は、1年保ちません。」 俺の心に大きな穴が空いた瞬間だった。 医者に会釈をし、病室を後にする、枷を纏ったみたいに体が重たくなる。 ズルズルとなんとか足を引きずり、傷一つない漆黒の車に乗り込む。 「どうだった?」 そう声を掛けるのは、日本最大組織梵天の首領であり、俺の"恋人"でもある。 と言っても、俺らは仮の恋人なのだ。 先日、灰谷主催のゲームに負け、マイキーと2週間だけ付き合うことに。 俺にとってはご褒美だが、マイキーにとっては地獄のようなものだろう。 まぁ、この話は置いといて。 俺は目先にいるマイキーへ笑顔で声を返す。 「疲労困憊ですって、1日安静にしておけばいいらしいです。 心配かけてすみません、」 「そうか、今日は家に帰って休んどけよ」 心なしか安心したような表情を見せる。 俺の嘘で見せたその顔に、胸の奥がズキンと痛んだ。
マイキーをアジトに送り届け、車を自宅まで走らせる。 あの医者の言葉が頭にこびりついて離れない。 余命宣告、ドラマでしか聞かないと思っていた台詞をまさか自分が 聞くことになるなんて思ってもみなかった。 俺の病名は『筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくかくこうかしょう)』だ。 筋萎縮性側索硬化症は指定難病の一つで、筋肉を動かす命令を出す運動神経に 不具合が生じ、体が動かなくなり四肢の筋力が低下する病気である。 本来この病気は、2~5年、長くて10年は発症してから死亡までの期間がある ものの、俺は異変があっても無視し続けたせいで、体に限界が来たという。 医者から死期がこれだけ近いのに動けているのが衝撃だと言われた。 「死ぬならさっさとくたばれよ、俺…」 ギュウッとハンドルを握り、乱雑に車を停めて家に入った。
「さてと、どーすっかなァ」 体を動かせる内に死ぬ準備をしようと思い、部屋をぐるりと見渡す。 机に山積みになっている重要資料が目に入り、先ずはそれを終わらせる為 椅子に座る。 カタカタとキーボードを打ち込み、全て終わった時には深夜2時を 回ろうとしていた。 一つため息を吐き、服を脱ぎ捨て風呂へ向かう。 ゆっくりと湯船に浸かり、又ため息を一つ。 目を瞑る、ふと脳裏に浮かんだのは実兄でも妹でもなく、マイキーだった。 ずっと見てきた顔、只管に追ってきた小さな背中。ツーっと目尻から頬に 熱の篭った筋が流れた。 「、死にたくねェ、よ…」 俺は浴槽の中で一人、声を殺して泣き噦った。
8月13日 AM10:30 「あ゛ッつ…!!はぁ゛…」 「はーるちゃん♡」 「うわ、出た…灰谷兄弟、最悪だわ、」 「露骨に嫌がんなよ」 夏、最高気温28℃の今日に最も合いたくない奴らに合ってしまった。 「ンで?何の用だよ。」 「今日の任務、俺ら3人でだって~」 はい、終わった。今日は平穏に過ごせねェわ、お疲れ、俺。 あっそ、と悪態をつき任務先へ灰谷共と向かった。 「スクラーップ!!」 ヤクでハイになった頭で、雑に裏切り者を撃ち落としていく。 「うるせ~笑」 「ヤク中~、次行くぞ~」 「お、ぅ、、!?」 返事と同時に足を進めようとした瞬間、何も分からないまま床に座り込む。 「は、何?」 やばい、と思った時にはもう遅かったみたいだった。 全身の力が抜け、立ち上がることが出来ない。 蘭が早く立てと催促する。 「体に力、入んね…、」 「はぁ?ヤクのキメすぎか~?」 初めてのことで、俺にも状況整理が追いつかず、灰谷の顔を交互に見上げる。 「…しゃーね、アジトに居る奴呼ぶから此処で待ってろよ。」 「わりぃ…助かるわ、」 普段だったらどれだけ助けを求めても、二人揃ってゲラゲラと笑って 茶化してくる此奴らが、矢鱈と心配そうな表情をする。 明司、元い実兄が来たのを確認すると灰谷らはその場を離れ任務へ向かった。
「なんで選りに選ってテメェなんだよ、」 「暇なのが俺しか居なかったんだよ、堪忍しろ。」 俺は割とデカめの舌打ちをし、明司に体を預ける。 重てぇと文句をつけながら、俺を肩に担ぐ明司に声を掛けた。 「ありがと、兄貴」 「ん、」 明司は面映ゆそうに、小さく返事をした。
「じゃ、安静にしとけよ」 「お~、助かったわ」 部屋に着いた頃には、体の筋肉が戻り歩けるようになっていた。 安静、といっても動かない訳にはいかないと思い、家を片付けることに。 死んだ後、どうせ彼奴らはこの家を放置するだろう。 だから、自分でするしか無いのだ。 必要最低限の物だけを残し、写真も服も要らない家具も全部躊躇なく捨てる。 ふと、昔着ていた特服が目につく。 「…隊長、っ」 今思い返せば、色んな隊を転々としたものだ。 特服を全て掴み取り、泣きながら、胸でキツく抱き締めた。 「うし、終わったな」 山積みの処分品を車に乗せ、近くのゴミ捨て場まで向かう。 積み込まれたゴミを見て、過去の思い出に思いを馳せる、 西日に目を細めながら高い空に手を伸ばした。 まるで何かに縋るように。
俺は1冊のノートを開き、その上にペン先を転がす。 そう、日記を書くのだ。今の内に思いを書いておきたいから。 記述を終え、俺はそっとノートを閉じた。
8月13日 今日から日記を書くことにした。後1年も保たずに死ぬから。 俺は、昨日行った診察で筋萎縮性側索硬化症と診断された。 難病で、しかも俺の場合は薬以外で手の施しようが無いと言われた。 残りの1年余り、この命で精一杯マイキーに尽くそうと思う。 俺が死んだら、No.2は鶴蝶、テメェに任せるわ。 今日は10分くらい体に力が入らなかった。まだ大丈夫だろ。
天 ヶ 瀬 .
コメント
25件
はるちよぉぉ!!!!もうマジで好きぴ。
春ちゃん、、、生きろ))圧