この作品はいかがでしたか?
3,189
この作品はいかがでしたか?
3,189
天 ヶ 瀬 .
「おい、三途。お前今日暇だよな?」 満面の笑みで此方ジリジリと近づいてくる九井。嫌な予感しかしない。 「いや、映画鑑賞で忙しいわ、」 「普段から映画なんて見ねぇだろうが。ほら、行くぞ。」 俺はスーツを掴まれズルズルと連れて行かれた。 「はー、やっぱりか……」 目の前には高く詰まれた書類が、俺は雑用係かっつの。 文句言うなと、ど突かれる。大袈裟に痛がる俺を無視し黙々と作業を進める。 小さく舌打ちをし、楽そうな書類に手をつける。
数時間が経った、バサバサと書類が床に広がる。 「何してんの?」 不思議そうな顔をしながら書類を拾い上げ、俺に渡す。 只、手に力が入らないのだ。 肩から腕全体に力が入らず、脱臼したみたいに両肩が垂れ下がる。 「なんで受け取らねぇの?」 頭上に疑問符を浮かべ、怪訝をそうな顔をする。 「ちょっと待て、手に力が入んねぇ、」 「大丈夫かよ、デスクに置いとくからな」 いつものことか、という顔をし九井は再度パソコンに視線を落とす。 5分程経ったくらいで、力が戻り俺も仕事に意識を向ける。 もう発症しないだろうと思い、俺は安心しきっていた。
資料に記入漏れを見つけ、九井の元へ向かう。 「九井~、記入漏れ~」 「おー、どこ?」 「んーと、箇々とこれと、…うわッ、」 トサッ 足の力が抜ける。確認に立った九井に凭れ掛かってしまった。 悪い、と一言謝るものの其の場から動けない。 「…お前、今日何時もより変じゃね、?」 九井はほっそい体で重そうに俺を近くの椅子に座らせ、悟ったように問う。 「んなことねーって笑、へーきへーき」 「そんなことあるだろ、書類落としても拾えなかったり、 足の力が抜けて俺に凭れ掛かったり。何時ものお前じゃ考えられねぇよ。」 「はッ…隠し通せる訳ない、か。」 俺は観念し診断内容を九井に話す。勿論余命の事は口にしないで。
「それ、仕事できんの?」 「先ずは俺の心配しろよ、クソが。 今んとこ5分くらい力入んねーって感じ、いつ来るかとかが 分かんねぇのが難点つーか?」 「あー心配だなー(棒) でも、まぁ何かあったらすぐ言えよ?後ヤクは控えろ。」 「え、むり。後、このことはお前と俺だけの秘密な?」 「ハイハイ、秘密なぁ」 適当に遇う九井の小指を取り、指切りをする。 約束な!と子供のように、俺は無邪気に笑った。
その後、俺は九井に家まで送って貰うことになった。 九井曰わく、これでもNo.2だからなんだと。素直に心配しろよ。 助手席で九井と他愛のない話をする。 刹那、息が苦しくなる。 「ひゅ、ッげほっ、かひゅ、ふッ、…」 「どうした!?おい、三途!」 九井は駐車禁止と書かれている場所に駐車し、俺の背中をさする。 「くるし、っ…ひゅっ、けほっ、ここの、いぃッ、グスッ」 「もう喋るな!ゆっくり息しろ、落ち着け、!」 数十分後、呼吸も随分落ち着く。ふと、資料に書いてあった事を思い出す。 『涎や痰が増え、呼吸が難しくなることも。』 「成る程な、」 「なにが?」 九井の声をフル無視し、俺は暫く考え込んだ。
家の前で九井に降ろしてもらい、玄関の中でドアに凭れ掛かり座り込む。 「は、やべぇな、半年も持たねぇんじゃねぇの、笑」 ギリッと俺は唇を力一杯に噛む。微かに口内が血の味で染まった。 弱気になり放心状態になった俺は、ゆっくりと立ち上がる。 風呂に入らず、飯も口に入れずにフラフラとデスクに向かう。 「日記だけ、」 ペラッと次のページを開き、文字をゆっくりと書き込む。 記述を終え、日記を開いたまま眠りについた。
8月14日 何もしたくない、苦しい。 本当のこと言いたかったけど、幹部に迷惑かけらんねぇし。 まだ大丈夫、全然へーき。明日薬だけ貰いに行く。 九井、今日は色々ありがと、お前がいて助かった。負担になってすまねぇ、 今日は、手足5分ずつくらい力が抜けた。後、車内で10分程の呼吸困難。 ███████。
天 ヶ 瀬 .
天 ヶ 瀬 .
コメント
15件
黒の棒のところさ、心配して欲しかった。とか、俺のことどうでもいいのかよ。みたいなこと書かれてそう、、、妄想卍
フォロー失礼しますm(*_ _)m
くっそ続きみたい