時はいつか
そこは天使たちが優雅に暮らす 「天使の国」がありました
思えば何でも手に入り、 永遠の命を持って暮らす
そんな素敵な国には白く美しい翼を持った天使が何百と存在した
しかし、ある日の出に生まれた 男の子
その男の子は
黒い翼を持って生まれた
天使たち
ねぇ見て、
天使たち
あの子黒い翼を持ってるわ…!?
天使たち
本当だ…!なんておぞましい…
天使たち
あの子供はきっと天使の国に厄災をもたらす悪魔に違いない!
?
どうしたの…?
天使たち
こっちにくるな!!!
?
な…んで…?
天使たち
ヒッ…!話しかけてきたわよ…
天使たち
お前に近づくだけで翼が黒くなりそうだ…
おまえはこの国にとっていらない "堕天使"だ…!
?
…!
天使たち
何処かに行け!
?
…っ
タッタッタッ…
?
…
?
…グスッッ……ウッ…
?
…
?
グスッ……
?
…?
?
ほら、ハンカチ
?
涙、拭かないと
?
…ごめッッ…なさヒッグ…グス
?
…一人で何にもできないわけじゃないでしょ?
そういうと天使たちから蔑まれ、 独りになっていた"堕天使"に 彼は優しい声で涙を拭ってあげ ました
?
…あ…ありがとう…
?
どういたしまして
?
…
"堕天使"の目に映る彼は 天使の中でも 一際美しい翼を持った天使でした
?
…?何?
?
どうして…君は皆と違って優しいの…?
?
そんなのどうしようと俺の勝手だよ。別に誰かに強要されてするものじゃないし
?
ただ俺が「助けたい」と思ったから声をかけただけ
?
…優しいんだね…
?
…名前は?
?
…‥…分からない
?
そっか…
?
…君は?
?
俺の名前は…「分からない」
?
え?
?
これで…一緒でしょ?
?
名前が分からないだけで他に呼び方は色々あるし
?
独りだけ分からないのは悲しいから俺も自分の名前は分からない
?
…!
そうして二人は笑いあった
それから二人は毎日この場所で会い沢山の話をするようになりました
その後、数年の時が流れ…人間の皆様でいう…高校生くらいでしょうか
?
"堕天使"くん?
?
…何?
?
今日も独りぼっちだね~
?
俺が遊んであげよっか?
?
っ…
?
ほら!ここによく切れそうなハサミあるよ?
皆に嫌われるのが嫌ならその醜い翼、俺が切ってあげるよ!
皆に嫌われるのが嫌ならその醜い翼、俺が切ってあげるよ!
天使たち
それいーね!
天使たち
楽しそー♪
?
!?
?
大丈夫。始めは痛いかもしれないけどきっと救われるよ?
?
や、やめろ…
?
こっちにくるな…!
?
断れる立場だと思ってるの?
?
ここじゃあ、どんだけ白くて美しい翼を持ってるかで決まるんだよ?
土俵にも立ててねえやつがほざける場じゃ…
土俵にも立ててねえやつがほざける場じゃ…
?
やめろ
?
…!
?
手を離せ
?
…
?
「ここじゃあ、どんだけ白くて美しい翼を持ってるかで決まる」だったらお前は俺の言うことは聞けるってことでいいか?
?
…チッ
?
大丈夫?
?
あ…うん大丈夫…ありがとう
?
ごめんね…頼ってばっかりで…
?
気にしないで
?
さ、早く行こう。また聞かせたい話があるんだ
?
本当…?聞きたい…!
?
(大丈夫。必ず俺が守る)
?
(この場所を裏切るその時まで)