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桃 。
桃 。
そう言ったのは、夏の日差しの中、まるで物語のヒロインみたいな女の子だった。
白いワンピースを風に揺らしながら、彼女_桃は、俺の目を真っ直ぐ見つめていた。
ここは図書館の裏庭。
ほとんど人が来ない、静かな場所。
突然そんなことを言われて、俺_赤は固まっていた。
赤 。
赤 。
桃 。
桃 。
冗談の空気じゃないと気づいたのは、彼女の目が少しだけ震えていたから。
赤 。
桃 。
桃 。
そんな理由で選ばれたのかと、なんだかむず痒くなる。
でも、桃の雰囲気には、どこか"本気"の匂いがしていた。
赤 。
桃 。
何かを隠しているような口ぶり。
でも、問い詰めるのはやめた。
このまま引き受けたら、何が始まるんだろう?
それは怖さでもあり、ちょっとした期待でもあった。
赤 。
赤 。
桃 。
その瞬間、桃の顔がふわっとほころんだ。
まるで、夏の夕空のように柔らかくて、どこか儚かった。
知らなかった。
この1ヶ月が、俺の人生を変えることになるなんて。
_そして、期限付きの恋が、今始まった。