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翌日、俺と桃は"仮初めの恋人"として学校に登校した。

といっても、特に手を繋ぐでもなく、ただ隣に並んで歩くだけ。

でもそれだけで、周囲の視線は一気に変わった。

______

えっ、赤と桃さん!? 付き合ってんの?

______

やば、あの桃ちゃんと……マジで!?

ざわめく声。冷やかし。驚き。全部が俺に突き刺さる。

でも当の桃は、涼しい顔で歩いていた。

桃 。

慣れちゃえば平気ですよ、こういうの

赤 。

……桃って、強いな

桃 。

そうかな。

桃 。

むしろ、私は"今しかない"って思うと、なんでもできちゃう

その"今しかない"って言葉に、昨日の言葉がよみがえる。

『1ヶ月だけでいいんです』

あれは一体、どういう意味だったのか。

俺が聞き返すよりも先に、桃がふいに足を止めた。

桃 。

赤くん。

桃 。

今日の放課後、どこか寄り道しませんか?

赤 。

寄り道?

桃 。

うん。

桃 。

恋人なら、デートくらいするでしょ?

いたずらっぽく笑う彼女に、俺は少し戸惑いながらも頷いた。

そして放課後、ふたりで行ったのは近くの商店街。

金魚すくい、ラムネ、焼きそば。

まるで夏祭りの予行演習みたいな、懐かしい景色。

桃 。

こういうの、好きなんです。

桃 。

少し古くさいけど、温かくて

赤 。

なんか、子供の頃に戻ったみたいだな

金魚をすくう姿も、ラムネを飲んで目を細める顔も、全部が眩しかった。

桃 。

楽しいね、赤くんと一緒だと

その笑顔に、軽く心臓が跳ねた。

これは"演技"じゃない。

本当に楽しんでくれてる。そう思った。

仮初めの関係だとしても、俺は_もう、惹かれはじめていた。

この恋は、期限付き。

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