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自分で希望したんです。
刀衆として赴任する際に
こちらでの名前をつけると伺ったので。

真面目な上に、変わってる……。
普通、隊員名って、上層部が勝手に命名するじゃん。
本名から1文字抜き出されてさ。

本名のままじゃ、妖怪たちに
真名を奪われるかもしれないからね。
名前取られたら、相手に支配されるっていうし。

字面は、名前から付けさせていただいたものだ。
読みだけ、変えさせてもらった。

ふーん。
けったいな趣味してはるわ。

…………。

ま、ええけど。
オレは重。(かさね)第弐番隊の隊長やってん。(だいにばんたいのたいちょう)
一応、自分の上司ってとこか。

そっちのスラッとして鼻筋高いのは、円な。(まどか)
頼りになる、ピカピカのエースや。
階級は自分と一緒やから、仲良くしぃや。

……どうも。

よろしく。

ちゅうわけで、挨拶も済んだし、
オレは、もうええよな?
新人の案内は、うちのエースにお願いしよか。

……えっ!
俺、午後から非番なんですけど !?

そら、よかった。
まだちょっと時間あるやん。

いやいや、本当にちょっとしか……。

ほな、円任せたで〜。
詰所の施設やら、任務のことやら、
刀衆のなんたるかを、ばっちりレクチャーしたってや。

ちょっ………。
重隊長……!

あー。
忙しい、忙しいっと。

ギィ··········、バタン!

本当に行っちゃった………。
絶対、暇なくせに………。
……ったく、なんでも、俺に押しつけるんだから。

ていうか、君も、空気読んでよ。
……楓っていったっけ?
なんだって、非番前に来るかな。

そちらの不手際だろう。
俺が到着してすぐに案内していれば、
すでに終わっていたんじゃないか?

うっ、それは……。
新人のくせに、先輩に口答えするなんて、
君、さては生意気だな。

先輩だろうと、階級は同じだ。

うわ……っ。ほんとに可愛くない。
……でも、そうやって言い返せるぐらい図太くなきゃ、
曲者(くせもの)揃いの刀衆じゃ、やっていけないか。

はぁ……。
面倒だけど、上司命令だししょうがないか………。
案内してあげるから、着いてきて。

ああ。

帝都から、刀衆としてこの街に
派遣されたからには、わかってると思うけど、
ここは、俺たち人間の世界じゃない。

………ああ。

人間の世界と妖怪の世界は、実は、
鏡合わせのように重なり合って存在してるんだ。
この街は、その入口とでも言えばいいのかな。

そして、この街に暮らす
妖怪たちを管理すること……。
それこそが、俺たち刀衆に与えられた任務だ。

この扉を開けた先が、刀衆の本丸ってとこかな。
まずは、詰所の施設を案内するよ。

この先が………。

ギィィーー

ようこそ、新人クン。
人の世ならざる街、灯影街(ひかげまち)へ─

今は昔 侍ふ者たちの治むる国に 不可思議な力を繰るモノらが在った

炎を纏い、風を似て里を薙ぎ、水を手繰りて山を呑む 神、獣、物の怪─又の名を、妖怪と云ふ 人は其れらを畏れ、討ち、敬い、使役し、崇めた

されど其れらは、侍ふ者たち国を去る 人の世と合わせ鏡如き、神仙妖魔の国へと姿を隠し 異界を繋ぐ大門のあづかりを人に託した

───さて、時は巡り今の世 これより語るは、在ったかもしれない もう一つの日ノ本の国の物語

刀衆詰所・廊下

──これで、詰所の中は、だいたい回ったかな。
はあ、疲れた。

それなりに広い造りだし、施設も多いけど、
2、3日過ごせば、すぐ覚えるから。
こんなもんで充分でしょ。

ああ。後は自分で見てまわる。

それと……。
敷地にの端にある大門は、
わざわざ案内しなくていいよね。

大門……。
人間界と繋がっている、大きな鳥居のような門だな?
灯影街に渡るときに通ったから、問題ない。

………そういえば、
大門から、応接室まで、どうやって来たの?
よく、場所がわかったね。

大門の前に控えていた式神が、
案内してくれたんだ。

あー………。
そういえば、だいぶ前に、
案内役として置いといたんだっけ?

応接室を出たとたん、警護役に変わったようだが。

あはは!
さっき、馬乗りにされちゃってたもんねー。
ほんと、ウケる。

なぜ、式神が人に襲いかかる?
式神は、人が術法を用いて操るモノなのだろう。
役目に忠実だと、着任前の研修でも聞いたが。

忠実だよ。
だから、案内役として、応接室に通すべき人間が
別の場所に行こうとしたのを止めたんでしょ。

……なるほど。
あまり、頭は良くないのか。

単純な命令にしか従えないんだ。
でも、疲れ知らずだし、真面目で便利だよ。
ルールも教えたら、囲碁の相手だってしてくれるし。

……ていうか君、さっき斬りかかろうとしてたけど……。
もしかして、式神もろくに扱えないの?

術法は教わっている。
実践は初めてというだけだ。

勘弁してよ。
式神くらい、ちょちょいと扱えるようにしといてよね。
こっちは、いちいち新人の世話なんてごめんだから。

ここじゃ、警護も食事も掃除も
身の回りの世話は、ぜんぶ式神任せなんだよ。

…………。

ん?
急に黙り込んで、どうかした?

いや……。
本当に、これまで俺が暮らしていた世界とは、
違う世界なんだと、改めて………。

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