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席が変わってから、彼は前よりよくこちらを見るようになった。
…気がするだけ、かもしれない。
目が合いそうになると、慌ててノートに視線を落とす。
心臓が、そのたびにうるさくなる。
のあ
だって私は、何も変わってないふりをしてる。
友達とも話すし、授業もちゃんと聞く。
ただ一つだけ、前と違うのは⸺
彼が視界に入ると、無意識に背筋が伸びること。
昼休み。
前の席の彼が、消しゴムを落とした。
反射的に立ち上がりかけて、はっと止まる。
…今は、隣じゃない。
少し遅れて、前の男子が拾って渡していた。
それを見た瞬間、胸がちくっとした。
のあ
そんなこと、考えるはずなかったのに。
放課後。
帰り支度をしていると、彼がこちらに近づいてきた。
うり
それだけ。
なのに、心臓が跳ねた。
のあ
机を寄せると、距離が一気に近くなる。
久しぶりに感じる、同じ目線。
彼は真剣な顔でノートを見ていて、その横顔が、前より少し大人に見えた。
のあ
見てたはずなのに、知らなかった。
うり
ノートを返されて、指先が少し触れた。
ほんの一瞬。
でも、その熱が残った。
彼は何も言わずに戻っていく。
私だけが、その場に取り残されて。
のあ
確信に近い感情が、胸に広がる。
でも。
今さらどうしたらいいか、分からない。
隣じゃない。
特別な関係でもない。
⸺なのに。
私は今日も、気づかれてないふりをして、彼を好きでいる。