優人
籐死をもたらす その思想の元、世界は再び混迷の時代を迎えることとなる これは、そんな時代の物語だ。
―――
「さぁ!皆さんお待ちかねの時間です!」
薄暗い部屋の真ん中に置かれた椅子の上で、男が声を上げた。部屋中に張り巡らされたスピーカーからは男の甲高い叫びが響き渡る。
「本日も始まりました!『死の抽出』による公開処刑ショー!今日は誰でしょうか?!前回はなんとも運の悪いことに、あの大罪人の男が死んだところで終わりを迎えてしまいましたねぇ……」
男は手に持ったマイクに向かってそう語りかけると、背後の壁に取り付けられた巨大なスクリーンに映像が流れ始めた。そこには、全身に杭を打ち付けられ血塗れになった人間が映し出されている。
「それじゃあ、いつも通りいってみましょうか!!まずはこの方!!」
ドンッ!!!と激しい音が鳴り響くと同時に、画面の中の男が吹き飛ばされる。まるで交通事故のような衝撃音に、観客たちは興奮の声を上げながら沸き上がった。
