『自閉症シリーズ』

桃青『自閉症の僕は彼に支えられる』体育祭編

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(放送) 第57回苺学園体育祭を開催します！

(放送) 最初は2年生による100メートル走です

青は座るのはあまり好きではないようだ

俺たち男子の順は女子の後で少しばかり時間がかかる

その間青はジャンプしたり回ったりして動いていた

何処かに行くよりはまだマシだろう

青は体操服に腕を突っ込み腹を全開に出している

俺はぐいっと青の腕を体操服から引き抜いた

俺は悪い青をこちょこちょの刑にした

どうしても体操服をズボンに入れるのはいやらしい

これ以上しつこく言って機嫌を悪くしてもダメな為もうしつこく言うことはやめといた

青も楽しいようで少し興奮している

(放送) 最後の走者です

(放送) どんな走りを見せてくれるのでしょうか

これは放課後沢山練習して出来るようになった

パンっと発砲音が響く

青は少しびくっとしたが走った

練習の時は最後まで走ることすら出来なかったのに

練習の時

俺は青に教えたクラウチングスタートのやり方を

沢山嫌がって、沢山泣いた練習だった

100メートル走は出来てもクラス別リレーだって、選別リレーも青にとっては難しかった

しっかりした合図はなくて青は俺に着いてきてしまう

俺が赤からバトンを受け取り走ると

俺はその声を聞いて立ち止まった

こんな感じて少しずつ出来るようになった

今俺は走っている、青を気にせずに

でも、俺は安心している

青は必ず俺の後ろにいる

(放送) 赤組速いですっ！

パンパンと連続してピストルの発砲音が聞こえた

俺が1位、青が2位

青もサッカーをやってるだけあり足が速い

(放送) 生徒の皆さんは本部の方にスポーツドリンクを用意してますので取りに来てください

キーーンｯ

放送部のマイクがハウリングした

どんな人が聞いても嫌な音

それを青が聞いたら...

俺は青の元まで走った

青はボロボロ涙を流しながら、耳を塞いで叫んでいる

少しでもなだめようと赤が試行錯誤してくれていたらしい

俺がハグして背中を叩いてもさすっても、言葉をかけても

なかなかパニックは収まらない

(放送) 赤組の皆さんは準備をしてください

もう踊りが始まってしまう

でも、辛くてたまらないのだろう

せっかく覚えたダンスだけど

もうこれは救護テントまで行くしかない

保健室の横山先生

青のことを唯一理解してくれている先生だ

俺はタオルで青の汗を拭いてあげる

ダンスから結局最後の選抜リレーまで何も出れなかった

でも、もう青の機嫌はいいらしい

先生がそう言って青にアンカータスキをかけた

ぼそっとそんな声が聞こえた

毎回毎回パニックを起こすと冷たい目で見られて

最後の選抜リレーすら出れないのか...

ボロボロと涙を流し苦しそうなのに青は走るつもりだった

少しでも青が落ち着くようにハグをして背中を優しく叩いてあげる

青も気持ちを落ち着かせようと頑張っている

俺は青の手を振り払い走った

笛の音は鳴らない

青は俺に着いてきていない

俺は1位でゴールした

青はというと...

泣きながら少し駆け足でゴールに向かっている

青の足が絡まる

青は転けてしまった

上半身は頑張って起こしたが、その場で泣いている

もうだめだと思って俺は青のところへ行こうとした...

が、俺の腕がぐっと引っ張られた

あんな苦しそうな青をほっておくのか？

赤が大声で青に声をかけた

頑張れーｯ！！、

保護者の観客席から男性の声援が聞こえた

それを引き金にみんなが青を応援する

青は少しして自分で立った

ゆっくりとてとてと歩いてくる青が可愛くてたまらない

青はゴールした

みんなに応援されて、それが青の力になった

周りの目が変わるだけで世界は変わる

周りの環境が良ければ、青だって快適に生きていける

でも、まだそれは難しいのかもしれない

俺は一人でもいいから知ってもらいたい

周りの環境で全ては変わってくる