いかないで....(完)

俺は叶わない恋をしている

俺の兄貴の"灰谷蘭"とまぁ、一応上司の "三途春千夜"は付き合っている

そう俺の想い人は兄の恋人の"三途"だ。

だからと言って想いを伝える事はしない

2人が幸せならそれでいい....

そう思った矢先

兄貴が倒れた

癌だと医者は言った

兄貴は黙ったまま医者の話を聞いて頷くだけだった。

俺はただただ黙って涙を堪えるのに必死だった

その後一緒に飲みに行った先で 初めて兄貴が弱音を吐いているのを聞いて俺はビックリしつつも昔の思い出を語る兄の話をきいた

ずっと堪えていた涙が自然と頬を流れるのにきずいた

それから数日が経ったある日 三途から電話がきた

電話を出た瞬間三途が泣いていることにすぐ気がついた

それから三途を家に連れて帰り 三途は兄ちゃんとあった事を涙を流しながら話してくれた

泣き疲れたのかその後静かに眠った

「俺じゃダメなのか？」そんな事が言えるはずもない。 兄貴の事を知っている俺がそんな事をいっちゃいけねぇ。

次の日三途を家に送った後外で待っていると兄と女が出ていくのがみえ、三途の元へ走っていくと何が何だか分からない様子で床に座り込んでいた

大丈夫なわけが無い。

そう言い、俺は後にした

俺は何もしてやれない悔しいさと 好きな奴に何も言ってやれない自分の無力さに腹が立った

1番辛いのは兄貴だ。そんなの分かってる。でも、他に方法は無かったのか.... そんな事ばかり考えてしまう

兄貴と三途が喧嘩した後のことだった

部活からの電話だった

兄が倒れたと.......

それから俺は混乱した三途にありのままを話した

当然、それに三途は怒りと悲しみが込み上げて来たのか狂ったように怒鳴り散らかした

話....それは心臓移植で助かるかもしれないという話だった

俺は焦った

そう語る三途の目は真剣で

俺は悟った。

兄貴の悲しみを救えるのは三途で 三途の悲しみを救えるのは兄貴だけなんだ

そんなの俺の入れる隙間がある訳がない

兄貴が助かるのはもちろんとても嬉しい

でも、気持ちも伝えられないまま好きなやつが先にいってしまう

嬉しいのか悲しいのかモーわけが分からない

そんな独り言を言いながら施術が終わった。

それから数時間後兄貴が目を覚まし 俺は三途からの伝言を言った

初めてだった。

兄貴が人前で泣くのは

月日が経ち無事兄貴は退院した

ﾊﾞﾀﾝ

ｶﾞﾁｬｯ

そう言って笑う兄貴は何かが吹っ切れたみたいに清々しかった

生まれ変わったらまた兄貴の弟になりたい

次は幸せになって欲しい

俺はそう願いながら墓地を後にした