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怜士

大丈夫だよ、怖がらなくていい

祐希

う…うっ

俺は今、クロコダイルのアルファと2人きりで寝室にいる

交尾するために…だ

祐希

お、俺はシカなんだぞ!怖いに決まってるだろ!

肉食獣と2人きりでいる事に、とてつもない恐怖を感じる

怜士

じゃあ、どうすれば怖くない?

怜士

私は草食獣の気持ちが分からないから、教えてくれるかな

祐希

う…っえ…それは…

祐希

(…この人、何を考えているのか分からないけど、寄り添おうとしてくれてるのかな…)

祐希

えっと、き、傷つけないようにしてくれれば…いい

怜士

あぁ

怜士

傷つける事はしないよ

怜士

君が逃げようとしなければね

祐希

に、にげねぇよ!

祐希

(っていうか、逃げられねぇよ…)

祐希

(いま、足がすくんで走れないんだ)

彼の大きな尻尾で切り裂かれたら 鋭利な歯で噛み砕かれたら

そんなことばかり考えてしまう

怜士

この交尾は草食獣の方が負担が大きいのは確かだから

怜士

疲れたらすぐ言いなさい

祐希

…う、うん

怜士の手が俺の頬を撫でる 近づいたため彼の匂いが強くなり、初めての感覚にくらっとする

祐希

な、なんだ、これ…

祐希

(体があつい…まともな思考ができない、まずい)

怜士

フェロモンにあてられたか

祐希

ふぇ、ろ、もん?

怜士

…私も正直、理性が続くか分からない

怜士

オメガというものは、こんなにもいい匂いがするんだね

怜士は俺の手を取り、口付けをする

祐希

…く、くんにゃ、ちかぢゅくなっ

祐希

(なんだこの感覚は、こわい、こわい!)

祐希

…おれ、と、といれっ、いぎだい

怜士

もちろん、いいよ

怜士

場所、分かるかい?

祐希

大体わかる…ま、まってて

怜士

あぁ、行ってらっしゃい

ひらひらと左右に揺れ、見送るその手には歯と同様、肉を切り裂くのに特化した爪がついている

祐希

(無理だ、あの手に掴まれたら体に穴が空く…)

祐希

(しかもアルファと居るだけで、本能が求めてしまっている…悔しい)

寝室から出て、少し歩いた

祐希

そんなことは、いいんだ

祐希

今は逃げないと!

祐希

(ここまで歩けば、走っても足音でバレないだろ)

そう思った俺は、草食獣自慢の足で床を蹴り、死にものぐるいで走る

祐希

はぁ、はぁ

祐希

(このまま外に出て、身を隠せば!)

祐希

に、逃げれる!

玄関に手を伸ばしたその瞬間、足に激痛が走る

祐希

ぎやぁああああッ!!

痛みでバランスを崩し、床に倒れ込む

祐希

ぁ…な、なんれ

肉が裂けて血だらけになった足を抱えながら後ろを振り向けば、怜士がいた

怜士

おおかた、クロコダイルは
足が遅いから逃げられる…

怜士

とでも、思ったんだろうね

怜士

逃げなければ痛いことはしないと言ったのに、愚かな小鹿だ

怜士は尻尾についた鮮血を舐めとる

祐希

あ…ご、ごめんなさい…ゆるぢで…

怜士

……

怜士は俺の前にひざまずいて、顔を覗き込み、不自然なほど優しく微笑む

祐希

…な、なん、ですか…

いきなり足を掴まれる

祐希

!?な、なにすんだよ!や、やめっ!

咄嗟に振りほどこうとするが、肉食獣の腕力はすさまじく、ビクともしない

怜士

言ったよね

怜士

逃げなければ痛いことはしないって

祐希

…え?

怜士

…残念だよ、足は切り落としたく無かったんだが

祐希

!?

祐希

きっ、切り落とす!?

祐希

お、おれは絶滅危惧種だぞ!足なんて無くせばどうなるか

怜士

政府は、妊娠できれば
他は何をしても構わないと言っていたよ

祐希

ひっ、そ、そんな…

怜士は俺の足を持ち上げ、大きく口を開ける

まるで鋼鉄でできたかのように輝く無数の歯を覗かせる

祐希

やめて!やめてくだざい!

怜士

ははっ、それで全力で抵抗してるつもりかい?

咄嗟に逃げようと暴れるが足を掴まれ、いとも簡単に引きずられ、戻されてしまう

一つ一つの歯が獲物を確実に仕留めるために進化してきたことを物語っている。

もしその歯が肌に触れれば、一瞬で肉を引き裂き、骨すらも砕くだろう。

怜士

大丈夫、一発で噛みちぎってあげるよ

彼の目はぎらぎらしていて、捕食者そのものだった

祐希

ひぃっ!誰か!誰か助けて!!

おい!何してんだ!

祐希

ひぇっ、あ、おおかみ…?

怜士

…チッ

血の匂いがしたから来たんだ。喰うなら俺に食わせろ!

祐希

(助けてくれたわけじゃ、無かったのか…)

怜士

…お前は歯止めが効かないだろう?

でも!食うなって言ったくせに

自分だけずるいぞ!

怜士

…はぁ

祐希

(な、なんとか助かった…のか?)

祐希

(2人とも、俺を捕食対象としてしか見ていない…)

怜士

祐希?
急に黙ってどうしたんだい

祐希

…ひっ

祐希

も、もう逃げないから…

祐希

だから、優しくして…ください

祐希

ひぐっ、ぇぐっ、た、食べないで…

怖かった反動で、涙がぼろぼろと溢れる

なんか、草食獣の泣き顔って、ムズムズするな…

怜士

それは肉食獣特有の加虐心だよ
じきに慣れる

ん…そうなのか…

祐希

ぐす、も、もう逃げませんから…

怜士

…信じるよ

怜士

その代わり次逃げたら、足を切断するからね

祐希

…はい……

1番優しいと思っていたクロコダイルの男は、やはり肉食獣の性格をしていた

怜士

あぁ、そういえば

怜士

番にされないように、首輪をつけないといけないね

祐希

くびわ…?

怜士

持ってくるから、蓮、逃げないようにちゃんと見ておきなさい

はぁーい

怜士はどこかに行って、オオカミと2人きりになってしまう

祐希

(オオカミの方がまだ扱いやすそうだ、対話を試みてみるか)

祐希

…ねぇ、オオカミさん

んだよ

食われる気になったか?

祐希

ち、違う…

祐希

その…逃がしてくれないかな

むり!ごちそうを逃がしたら俺殺される!

祐希

そ、そっか…ごめん

祐希

(…やはり無理か)

祐希

(!そうだ、犬は確かボールが好きらしいぞ)

祐希

(…俺の真後ろは玄関、ボールに夢中になってる間に…)

俺は、近くにあったボールを思い切り投げた

!!!

グルル!

蓮は遠くに投げられたボールを追いかける

祐希

(逃げるなら…今)

何故か体が動かない

それどころか、逃げたくないとまで思ってきている

祐希

(…な、なんでだ…!)

祐希

(アルファのフェロモンで頭がやられたか…?)

怜士

逃げなかったんだね

帰ってきた怜士の手には、鉄製の首輪がぶら下がっていた

祐希

ひぇっ

怜士は良い子だ、とでも言うように俺の頭を撫で、おでこに優しく口付けをする

それだけで全身がぞくぞくして、目がとろりとしてしまう

祐希

(…キスされてるだけなのにっ)

怜士

さぁ、付けようか

草食獣オメガの俺が肉食獣アルファ達に孕まされる

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