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孤独と孤独が手を繋ぐまで

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孤独と孤独が手を繋ぐまで

5 - まだ知らない、誰かの気配

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2025年08月03日

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あおは毎朝決まった時間に起きトルテと朝食をとっていた

あお

トルテ〜! 今日のスープ、また美味しくなってた!

トルテ

……少し野草の配合を変えただけだ

あお

そーいうのがすごいって言ってんの!

トルテ

うるさい。口に物入れたまま喋るな

あお

えへへ、だって嬉しくってさ〜

ある日の午後。

トルテは保存食の確認をすると言って小屋の裏にまわっていた。

あおは1人、森の小道をのんびり歩いていた。

あお

ふわふわのしっぽ……また触りたいなぁ

あお

はぁ〜……でも、トルテ、ちょっとだけ笑うの増えたよね。……気のせい?

そんなことを呟きながら、小さな木の実を拾っていたとき――

――やぁ、こんにちは

あお

えっ?

あおが顔を上げると、そこには見知らぬ大人の男がいた。

穏やかな笑顔。柔らかそうな黒髪。

君……もしかして、この森で暮らしてるの?

あお

え、えと……はい

へぇ、こんなところに子どもがひとりって……ちょっとびっくりだよ。危なくない?

あお

え、あの……トルテが、一緒にいてくれるので……

トルテ、ね。……ふふ、そうか。あの子、まだ元気にしてるのか

あお

っ! トルテのこと、知ってるんですか!?

もちろん。昔からの“知り合い”さ

男は優しく微笑む。

ごめんね、名乗りもせずに。僕、蓮(れん)っていうんだ。よろしくね

あお

あっ、俺は…

その時だった。

トルテ

――あお

森の奥から、静かに足音を鳴らして、トルテが現れた。

その目は、いつになく鋭い。

トルテ

……何しに来た、蓮

おや。相変わらず歓迎されてないなぁ、僕

別に、何もしないさ。ただちょっと、その子と話しただけだよ

トルテ

……

あおは戸惑いながらも、トルテのそばにぴたっとくっついた。

あお

蓮さん……トルテと、仲悪いんですか?

そうなのかい、トルテ?僕は仲良くしたいんだけどなぁ

トルテはあおの前に出て、やや低く、静かな声で告げる。

トルテ

ここに用がないなら、森から出て行け

……冷たいなぁ。昔は、もう少し優しかったのに

トルテ

今はもう、そういう余裕はない

しばらく沈黙が流れた後、蓮はふっと笑った。

……じゃあ、また来るよ。今度はもっと穏やかにね

トルテ

来るな

またね、あおくん

あお

……え、あっ、はい……

蓮は背を向け、森の奥へと消えていった。

あお

トルテ……

あお

怖い人なの? 蓮さんって

トルテ

……いいか、あお。あいつが何を言おうと、“信じるな”

あお

えっ……

トルテ

それだけは……忘れるな

その夜、トルテはしばらく黙ったまま、 いつもより少しだけ、あおの側にいる時間が長かった。

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