強がりな君と臆病な僕

夜の一仕事を終えた私達は モモの家でゆったりと 過ごしていた。

そこにはモモ達が前に助けたというシャコ星人も居た。

ちょうどご飯の時間だったので、 一緒にお寿司を 食べていたんだけど…

食卓は戦争とはまさにこのことだ。

ご飯を食べ終わり、 シャコ星人は星へ帰り、 モモ、オカルン、アイラの3人は 姐さんに制服のことを頼んでいた。

そんな時、私の電話が鳴った。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ📱

姐さんに促され、私は縁側へ出る。

仁かな?と考えながら、 ケータイの画面を見ると、 ビンゴだった。

“いっくん“というのは、 私の兄・祈吏のあだ名だ。

私は電話を切る。

このところ、仁の両親が2人とも 体調を崩してしまい、 会えていなかったのだ。

そのこともあり、 不謹慎だとは思いつつも、 私の心は躍っていた。

私の家からモモの家までは 歩いて10分ぐらいだ。

けれど、ずっと幼い頃から サッカーを続けている仁の足なら 5分もかからないだろう。

私が居間へ戻ると、 モモは何故か「下町ロ〇ット」の 阿部寛のものまねを させられていた。

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ🔔

私の予想通り、5分も経たずに インターホンが鳴った。

私の客人なので、 私が出ようとすると、 姐さんは私が申し出る前に モモに出るよう促した。

けれど、阿部寛状態のモモを見て 仁がどんな反応をするか 気になったので、 大人しくモモに任せることにした。

モモが玄関へ向かってから 数秒後、いつも通りの 仁の声が聞こえてきた。

私はその声に少し安心した。

でも不安が完全に 消えた訳ではない。

そう、私は知っている。

仁がどんな時でも 笑っていることを。

それは楽しい時だけじゃなく、 辛い時も悲しい時もだ。

だからまだ安心はできない。

私が1人そわそわしていると、 仁が私の居場所を 伺っている声がした。

私はその声を聞いて、 居間から飛び出した。

私達がいつものノリで話始めると、 オカルンがびっくりしたように 声を上げた。

そう言って私の横で ピースする。

肘で仁を小突く。

すると姐さんも今から出てくる。

2人が軽く挨拶をしていると、 ずっと気になっていたのか オカルンが口を開いた。

次の瞬間、モモの口から 予想もしてなかった言葉が 出てきた。

私はその言葉を聞いて、 フリーズした。

そう言われたら、 そんな気がして私は 曖昧な回答をした。

モモは私に呆れつつ、 今度は仁に訊く。

仁も冗談まじりに答えた。

結局、オカルン達が帰ってから 真面目に話すことにした。

それから仁は 視えるようになった経緯を 話し始める。

仁はなんだか申し訳なさそうに 言った。

仁が急に私の話を始めたので、 疑問に思ったモモが問いかけた。

仁が話しているのは 夜、私が森を指差して 「あそこに女の人が立ってる…!!」 と言って、恐怖でそこから 動けなくなった時のことだ。

私とモモが何気なく、 昔のことを話していると 仁が悔しそうに言った。

そう言って力無く笑う 仁を見ていたら、 なんだか切なくなった。

そして気づいたら、 彼を抱きしめていた。

私が優しく慰めると、 仁は強く抱きしめ返してくれた。

そんな私達の様子を見たモモが 冷やかし始める。

その夜はとても賑やかだった。