肌を撫でるように吹く風、 その風が運んでくる土と木々の匂いを深く吸って肺にいっぱい送る.
人が沢山いる所はどうも息が詰まる.
だから僕はこうして、1人こっそり抜け出して大学内で1番木が多く生えている場所に避難している.
𝗧𝗛 .
此処なら、僕以外の人は滅多に来ないから.
1人を除いて...だけど、
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
今日も来ましたよ、 人混みの中に連れ戻しに来る迷惑人が
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
毎日お迎えに来る僕の身にもなれよ
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
僕 テヒョア の先輩になってるし...ㅋ
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
人混み嫌い
𝗝𝗠 .
たった数人しか居ないじゃん
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
手首を掴まれたまま、抵抗出来ず ジミン の後を大人しくついて行く.
昔はよく中庭で一緒にサボってたのに、今回の留年がきっかけで ジミン は僕に厳しくなった.
口煩い友人程度だったのが、最近は少し過保護な親みたいに何処に居ても見つけてくる.
𝗧𝗛 .
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
遅れてんの ッ((ꐦ
𝗧𝗛 .
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
ギロッとこちらを睨む ジミナ の眉は振るえ顔中に殺気が漂っていた.
少しでも口を滑らせて作品のことをまた聞いたら本気で殴られそうなので僕は口を閉じた.
僕の勘違いかも知れないけど、 展示会が近いのに終わってない作品より僕のことを心配してくれてるのが嬉しい.
まぁ、勘違いじゃなくても 絶対本人に言ったら怒られるだろうけどね.
𝗝𝗠 .
テヒョア は進んでるの 、 制作
𝗧𝗛 .
キャンパス1面塗ったとこ ~
𝗝𝗠 .
全然ッ 進んでないやん
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
なんっも進んでないってことやろ
𝗧𝗛 .
𝗧𝗛 .
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
下描きが終わったんじゃなくて ?
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
信じられない
𝗧𝗛 .
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
少なくとも ジミナ よりは進んでr
𝗝𝗠 .
なんて ??ㅋ
𝗧𝗛 .
𝗧𝗛 .
【🏃🏻ダッ】
本気でキレた様子の ジミナ 口角は上がっているが、目が全く笑っていなかった.
その目と目が合った瞬間 僕は繋がれていた ジミナ の手を振り解き全力で大学の方へ走った.
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
僕の目を見て言え !!
𝗝𝗠 .
𝗝𝗠 .
𝗧𝗛 .
➥ 作業室
鼻を刺激する独特な画材の匂いと、絵の具の汚れで真っ白だったであろうタイルはキャンパスのようになっている.
広い2年生専用の作業室は、自然と長机や画材を詰んだ収納ワゴン等で仕切りを作り個々のスペースが出来ている.
その中僕は1番大きな窓の近くで、光が当たりやすい場所にスペースを作っている.
夏場は風が吹いて最高の場所. イタリア製のダイニングチェアを置き好きなアーティストや映画のポスターなんかを貼り付けて自分の部屋のようだ.
ダイニングチェアに腰掛けて、椅子を軋ませながら、イーゼルに立てられた僕が1ヶ月程前から制作している作品を眺めた.
𝗧𝗛 .
題名は「無言」
木製の室内で、椅子に座りながら1枚の写真を手にした男性が窓の外を眺め、その切なげな表情を太陽の光が照らしている.
何も語らず、ただ夕日を眺めている男.
芸術作品は人に見られて完成すると僕は思っている. 人々がそれぞれの違った視点で、違った作品の思いを読み取る. 正解なんてものは存在しない.
僕は完成間近のその絵を数分見つめると、色相環順に出された絵の具のパレットからブラックを選び、 筆にべっとりと付けた.
その筆の先は真っ直ぐ、絵の中で輝いている男の顔へと向かっていった.
この顔を見ていると、 嫌な記憶が蘇っt....
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
𝗧𝗛 .
後ろから教授の声が聞こえて、急いで筆を止めた.
𝗧𝗛 .
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
𝗧𝗛 .
𝗧𝗛 .
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
観者を惹き込ませる力がある絵ね
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
ふと 、その言葉が脳裏に浮かぶわ
𝗧𝗛 .
𝗧𝗛 .
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
黙して語らなかった
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
期待されているが、敢えて語らない と言うニュアンスが隠れているのよ
𝗣𝗿𝗼𝗳𝗲𝘀𝘀𝗼𝗿
𝗧𝗛 .
先生が他の作品を見に行った後、僕はまた自分の作品を見つめて、ブラックの絵の具が付いた筆を洗った.
𝙏𝙤 𝙗𝙚 𝙘𝙤𝙣𝙩𝙞𝙣𝙪𝙚𝙙 ⇢⇢