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39.5℃、ところにより体温

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39.5℃、ところにより体温

1 - 39.5℃、ところにより体温

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2022年07月19日

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二人の少年を照りつける太陽は、一週間前からずっとこの調子で、流行りのハンディファンだって意味をなしていなかった。 金髪の髪の端から汗を滴らせた少年、我妻善逸は、校外だからといってネクタイを緩めてしまった。

炭治郎

風紀委員がそれじゃダメだろ

善逸

今は風紀委員とか関係ないの

炭治郎

じゃあ毎朝耳飾りを指摘するのは
やめてくれないか

善逸

それは仕方ないだろ?
とみせんに後でドヤされんだよ、
また炭治郎を見過ごしたってね

呆れて肩をすくめて見せる善逸。炭治郎はやっぱり頭が固いくらいには真面目なので、校外とは言え身だしなみを崩すことはしない。

善逸

炭治郎は偉いですねぇ

炭治郎

それは煽ってるってやつか

善逸

最近覚えたての言葉を使うのは
良くないと思うよ
まあ、その通りなんだけど

言うやいなや、善逸が持っていたハンディファンが、音もなく止まってしまった。

善逸

げ、昨日充電忘れてたからだ

ちょうど2人は道路の電光掲示板の横に差し掛かっていた。表示される「39.5℃」に、炭治郎はめまいを覚えた。

善逸

さすがに暑すぎじゃない!?
どうして電池切れちゃったのよ

炭治郎

日頃の行いだろうな

善逸

今日の炭治郎、俺に対して冷たくない!?
気温と反比例なワケ!?

ファンも使い果たしてしまって暑いからか、意味のわからないところでキレている彼の様子に、炭治郎はため息を吐いた。 進行方向から逸れて、炭治郎は歩き始めた。

善逸

おい!
どこ行くんだよ。帰り道コッチだろ

炭治郎

寄り道しよう
少しくらいならバレないさ

炭治郎が目指した方向には、コンビニがあった。入ってすぐの冷凍庫の上から眺めて、青いパッケージのアイスを一つずつ取った。

炭治郎

暑いなら内側から冷やせばいい

善逸

名案だよ、炭治郎

暑さに頭がやられているのか、善逸はヘラヘラと笑いながらレジにアイスを置いた。財布からそれぞれお金を出して、商品を受け取った。 アイスのパッケージは、既に結露が浮かんでいた。それを破り捨てて、コンビニの自動ドアを超えた。

善逸

いや、天国と地獄の落差が激しい

眩しいほどの太陽をしたから見上げ、再びこの鉄板のようなアスファルトを歩くのかと思うと、眉にシワがよってしまった。 炭治郎は、自動ドアの右側を指さした。

炭治郎

コンビニの影で食べてから行こう

2人横並びになって影の下。ジリジリと焼け付く温度に、時々風が吹いて少しだけ涼しいと感じる。

善逸

頭がキーンってするよな

善逸は自分の持っているアイスにもう口をつけていて、よほど冷たいものを欲していたのか、アイスの半分以上が消えていた。 彼が頭を抱えて呻いているのも、頷ける。

炭治郎

勢いよく食べるからだ

炭治郎も手に持っているアイスにかじりついた。口の中が痺れそうになるほどの冷感が押し寄せる。食べ進めていけば、徐々に体温が低くなっていくのを感じた。

善逸

頭痛いから、ゆっくり食べよう

炭治郎

初めからそうしておけばいいのに

善逸

だって、溶けない内に食べたいじゃん

そう言って、アイスに舌を伸ばした善逸の横顔を見て、ドキリとした。 真っ赤な彼の舌。見覚えのある、厚みの少ない細い舌。味わったことのある、彼の舌。

炭治郎

(いつもアレでキスしてるんだ)

1度想起してしまえば、気を逸らすことは容易ではなくなってしまう。 意識してしまえば、彼の横顔から目が離せなくなってしまった。 炭治郎は生唾を飲み込んだ。

善逸

そんな見つめたって、
落ちたアイスの代わりはやらないよ?

炭治郎

あっ……え?

夢中になって横顔を眺めていた炭治郎は、自分の手の棒からアイスが地面に落ちてしまっていたことにも気が付かなかった。

炭治郎

あー……

残念そうに肩を落とす炭治郎の、後ろから眺めて見えるうなじに、伝う汗を見つめる善逸が、この後その首筋に舌を這わせる妄想を企てているなんてことを炭治郎は知るよしもなかった。

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