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二人の少年を照りつける太陽は、一週間前からずっとこの調子で、流行りのハンディファンだって意味をなしていなかった。 金髪の髪の端から汗を滴らせた少年、我妻善逸は、校外だからといってネクタイを緩めてしまった。
炭治郎
善逸
炭治郎
善逸
呆れて肩をすくめて見せる善逸。炭治郎はやっぱり頭が固いくらいには真面目なので、校外とは言え身だしなみを崩すことはしない。
善逸
炭治郎
善逸
言うやいなや、善逸が持っていたハンディファンが、音もなく止まってしまった。
善逸
ちょうど2人は道路の電光掲示板の横に差し掛かっていた。表示される「39.5℃」に、炭治郎はめまいを覚えた。
善逸
炭治郎
善逸
ファンも使い果たしてしまって暑いからか、意味のわからないところでキレている彼の様子に、炭治郎はため息を吐いた。 進行方向から逸れて、炭治郎は歩き始めた。
善逸
炭治郎
炭治郎が目指した方向には、コンビニがあった。入ってすぐの冷凍庫の上から眺めて、青いパッケージのアイスを一つずつ取った。
炭治郎
善逸
暑さに頭がやられているのか、善逸はヘラヘラと笑いながらレジにアイスを置いた。財布からそれぞれお金を出して、商品を受け取った。 アイスのパッケージは、既に結露が浮かんでいた。それを破り捨てて、コンビニの自動ドアを超えた。
善逸
眩しいほどの太陽をしたから見上げ、再びこの鉄板のようなアスファルトを歩くのかと思うと、眉にシワがよってしまった。 炭治郎は、自動ドアの右側を指さした。
炭治郎
2人横並びになって影の下。ジリジリと焼け付く温度に、時々風が吹いて少しだけ涼しいと感じる。
善逸
善逸は自分の持っているアイスにもう口をつけていて、よほど冷たいものを欲していたのか、アイスの半分以上が消えていた。 彼が頭を抱えて呻いているのも、頷ける。
炭治郎
炭治郎も手に持っているアイスにかじりついた。口の中が痺れそうになるほどの冷感が押し寄せる。食べ進めていけば、徐々に体温が低くなっていくのを感じた。
善逸
炭治郎
善逸
そう言って、アイスに舌を伸ばした善逸の横顔を見て、ドキリとした。 真っ赤な彼の舌。見覚えのある、厚みの少ない細い舌。味わったことのある、彼の舌。
炭治郎
1度想起してしまえば、気を逸らすことは容易ではなくなってしまう。 意識してしまえば、彼の横顔から目が離せなくなってしまった。 炭治郎は生唾を飲み込んだ。
善逸
炭治郎
夢中になって横顔を眺めていた炭治郎は、自分の手の棒からアイスが地面に落ちてしまっていたことにも気が付かなかった。
炭治郎
残念そうに肩を落とす炭治郎の、後ろから眺めて見えるうなじに、伝う汗を見つめる善逸が、この後その首筋に舌を這わせる妄想を企てているなんてことを炭治郎は知るよしもなかった。