テラーノベル
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昼休み、隣の席の女子にそう聞かれて、俺は一瞬返事に詰まった。
緑 。
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緑 。
苦しすぎる否定。
内心、心臓がバクバク鳴っていた。
_橙とのことは、誰にも言ってない。
カフェで過ごす時間は、ふたりだけの秘密だ。
それが壊れるのが、怖かった。
放課後、今日も猫カフェで落ち合う約束はしていない。
でも、自然と足が動いてしまう。
店に入ると、橙はもういつもの席にいた。
俺の分のアイスティーが、すでに注文されてテーブルに置かれていた。
緑 。
橙 。
橙は照れたように、でも嬉しそうにそう言った。
ほんの数週間前まで、こんな会話ができるようになるなんて思わなかった。
無愛想で誰も近づけなかった彼女と、放課後にふたりきりで甘いスイーツを分け合ってるなんて_
これって、もう"デート"って言っていいんだろうか。
橙 。
緑 。
じっと見つめていたせいか、橙がそっぽを向いた。
でも耳の先が少し赤くなってるの、俺は知っている。
緑 。
橙 。
緑 。
緑 。
橙 。
緑 。
橙 。
緑 。
橙は目をそらしたまま、静かに呟いた。
橙 。
それだけで、胸がドクンと跳ねた。
この時間が、いつまでも続けばいいのに_
そんな願いが、ふと浮かぶ。
隠してる関係でもいい。
誰にも見せない笑顔を、俺だけが知っていられるなら。
でも、それがいつまでも続けられるわけじゃないことも、少しだけ感じていた。
コメント
1件
秘密の関係っていいよな… 尊い…