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夜の王城は静かだった。
カタリナとの楽しい時間を過ごした後、莉犬は一人で中庭を歩いていた。月の光が白い石畳を照らし、夜風が心地よく頬を撫でる。
莉犬
ぽつりと呟くと、どこからか足音が聞こえた。
ななもり
莉犬
驚いて振り向くと、そこにはななもりが立っていた。整った顔立ちに王族らしい気品を纏った佇まい。第一王子としての風格は、やはり並の者ではない。
莉犬
ななもり
莉犬
ななもりは莉犬をじっと見つめる。 その視線がどこか鋭く感じられ、莉犬は少しだけ視線を逸らした。
ななもり
莉犬
莉犬がむくれるように言うと、ななもりは少し微笑んだ。
ななもり
莉犬
莉犬は、無意識のうちに拳を握りしめていた。
莉犬
小さい頃からそうだった。 莉犬が何かを考えていると、ななもりはすぐに気付いた。だけど、いつも深く踏み込んではくれなかった。
それがもどかしくてーー寂しくてーー仕方なかった。
莉犬
莉犬は意を決して問いかけた。
ななもり
莉犬
ななもりはしばらく黙っていた。
月明かりの下、2人の間に静寂が流れる。
ななもり
莉犬
ななもり
莉犬
莉犬の声が、少し震えた。
ななもり
ななもりの言葉は冷静だった。 優しさも含んでいるはずなのに、莉犬の心には冷たく響いた。
莉犬
ななもり
莉犬
莉犬は思わず叫んでいた。
莉犬
ななもりの紫の瞳が、少し揺れた。
莉犬
ななもり
莉犬
それだけ言い残し、莉犬はくるりと背を向けた。
ななもりは、それを止めなかった。
莉犬
莉犬は、自室のベッドに倒れこんだ。
莉犬
言いたいことを言って、勝手に怒って、兄さんを困らせて……結局、自分の気持ちは何も伝わってない。
莉犬
そんな独り言を呟いた時ーー
ころん
莉犬
突然、窓から顔を出したころんに莉犬は驚いた。
莉犬
ころん
莉犬
ころん
ころんはそう言いながら、ヒョイッと部屋の中に入ってきた。
ころん
莉犬
ころん
ころんはそれ以上は何も言わなかった。ただ、隣に腰を下ろす。
莉犬は少しだけほっとした。ころんはななもりのように厳しくもないし、るぅとのように説教もしない。ただそばにいるだけ。
それが、今の莉犬には救いだった。
莉犬
ころん
莉犬
ころん
莉犬
莉犬はそっぽを向いたが、ころんはクスクスと笑っていた。
夜の王城の静けさの中、2人の時間が穏やかに流れていった。