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鎖の中で咲いた花

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鎖の中で咲いた花

25 - 第25話

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2025年10月16日

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食卓には、東條特製のあたたかい家庭料理

ご飯と味噌汁、焼き魚に副菜──丁寧な仕事が施された品々が並んでいた

椅子に座る4人

賑やかに話しているのは高峰と東條だけ

朔弥と玖堂徹は、一言も発さず、黙々と箸を動かしていた

東條 絢斗

でね、今日近くのコンビニでさー

高峰理人

また行ったの?

高峰理人

どんだけ行くんだよ

東條 絢斗

、、、日替わりってのがあんの

そんな他愛もないやりとりの背後で、朔弥はちら、と徹の横顔を盗み見る

柊 朔弥

(、、、今、言えば、、、)

喉の奥がひりつく

心臓がうるさく鳴る

深呼吸をひとつ

勇気をかき集め、震える声で言葉を紡ぐ

柊 朔弥

、、、あ、あの

小さな声に、箸の音が止まる

玖堂 徹

、、、?

徹が、静かに顔を向けた

柊 朔弥

、、、ゲ、ゲームとか、本、、、い、いろいろ

言葉が詰まりながらも、必死に声を続ける

柊 朔弥

あ、ありがと、、、ございます、、、

声は細く弱いけれど、確かに“感謝”の気持ちはそこにあった

徹は朔弥を一瞬だけ見つめ

──視線を戻し、低く短く答える

玖堂 徹

、、、あぁ

それだけ

ぶっきらぼうで照れ隠しのように短い返答

でも、わずかに耳が赤い気がするのは、たぶん気のせいじゃない

東條 絢斗

、、、なにあれ

高峰が箸を止めて東條に小声で言う

高峰理人

ついに初会話じゃん

高峰理人

内容はともかく!

東條は口元を手で押さえながら、くすっと笑う

東條 絢斗

ふふ、そうだね

東條 絢斗

少しづつでも進んでるね

高峰理人

いや、進み方よ

高峰が呆れたようにため息を吐く中、朔弥は自分の器に視線を戻す

胸の奥が、ぽっとあたたかくなったような気がした

──たった一言の「ありがとう」に、たった一言の「……あぁ」

その短いやり取りは、確かに2人の最初の“会話”になった

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