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月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
左が右に常に愛を伝えてる好き好きマン
or
左が口下手「言わなくても(俺が○○のこと好きなのは)分かるでしょ?」拗らせタイプ
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
注意!! ・淡白言葉足らず最年少×考え過ぎちゃう最年長に夢を見てる私得のお話です。沢山拗れてくれ(( ・赤黒が付き合ってます ・青黒人間故に青黒っぽい要素がありますが、あくまで仲間として青さんが好きな黒さんと、黒きっず全開の青さんです ・nmmn ・キャラ崩壊の危険性 ・地雷さんはここでUターン!
月見。
青さん ・圧倒的に黒さんの味方。状況を知るより先に黒の味方につく推し第一の男。永遠のあにきっず。黒さんの逃げ場 ・100回に1回くらいの確率で赤の味方になる、ことがあるかもしれない 「あにきが悪い訳ないやろ舐めとんのか」
桃さん ・状況を見てどちらの味方につくか判断してくれるしっかり者リーダー ・けれど最近は「この圧倒的言葉足らず最年少をどうにかしないと・・・」という使命感に駆られつつある。頑張れ 「りうら・・・お前それをあにきに伝えてやれよ・・・!!」
水くん ・赤くんにくっつきに行くが大抵避けられる不憫なりうっこ(めげない) ・他メンバーほど感が鋭くないが、黒さんに対しての赤くんの雰囲気が柔らかいのは感じてる 「りうちゃんってあにきのこと大好きだよね!」
白くん ・黒さんのネガティヴ思考にも赤くんの言葉足らずにも呆れてる人。二人を呑気に眺める水くんとは別に、なんでこう拗れるかな・・・と頭を悩ませている ・彼のネガティヴ思考を分かってるので大体は黒くん側につく。まぁ舎弟ですから。 「りうちゃんの言葉足らずは大前提やけど、不安になってぐるぐる考えたことをりうちゃんに伝えず自分の中で溜め込む悠くんも同じくらい言葉足らずやない??」
赤くん ・黒さんが好き。かなり好き。けれどそれを中々言葉に表さない圧倒的言葉足らず。故に拗れる ・俺はあにきのこと好きだしあにきも俺のこと好きでしょ?と信じ切っているしそれを当然と思っているから今更言葉にしなくても大丈夫でしょ思考。いや、合ってるけど。合ってるけど違うんよ。言葉にしろ。 「あにきのこと?好きだよ。当たり前じゃん」
黒さん ・ネガティヴ思考&考え込みやすい最年長。言葉足らずな赤くんに「実は俺のこととかすきじゃないんじゃ」なんて考え始める。故に拗れるパート2 ・放っておくと悪い方向に考え込む上に自分の中だけで溜め込んでそれを赤くんに言わない。ぶっちゃけどっちも言葉足らず 「俺ばっか好きみたいやん・・・」
月見。
月見。
赤
黒
赤
ひらひらと手を振って去っていくその背中を、一人ぽつんと見送る街中。
肌寒い風がぴゅうっと吹いて、俺の前髪を揺らした。
黒
小さくなった彼の背中を一瞥して、彼と逆方向へと踵を返した。
俺とりうらは付き合ってる、筈である。
いれいすを組んでから、ぴよにきという公式ペアでよくセットになるようになった。
俺は割と歳が離れていようがいまいが、話そうと思えば軽く話せるタイプだったし、最年長と最年少という歳の差は特に気にしていなかった。
いつからだったろうか。彼と接する時に、変に鼓動が速くなるようになったのは。
恋心とか言うやつを自覚したのは、ないこに「最近りうらとどうなの?」とニヤついた顔で言われた日だったか。
メンバー同士、公式ペア、なんなら同性同士、そしてこの歳の差。
問題という問題しか立ちはだかっていなかった。だから歌に、いれいすの活動だけに熱中しようと。アイツへの気持ちなんて忘れようと、我ながら頑張っていたのに。
俺、あにきのこと好きなんだけど。
明日の天気を教えるかのような、なんてことない声のトーンで。
あまりにも平然とそう言い放つものだから、俺はその言葉を理解するのにかなり時間がかかった。
・・・え?
聞こえなかった?俺、あにきのこと好きなんだけどさ。あにきも俺のこと好きだよね?
俺の心の奥まで見透かしているかのようなその目に真っ直ぐ見つめられ、更に彼の言葉に混乱している俺が、そこで変に誤魔化したりなんて出来る訳がなく。
・・・好き、やけど
ぽつりと溢したその言葉は、確かに彼の耳に届いたようで。
じゃあ、今日から恋人だね
そう言って小さく笑ったりうら。それ以降の、その日の記憶は無い。爆発寸前の心臓で過ごしていたという記憶だけが残っている。
・・・さて、そんな俺とりうらやけど、なんで俺が“付き合ってる筈”なんて思っているのかというと。
告白は向こうからだった。だからその事実にただ浮かれて、暫くの間は気付かなかったけど。
りうらの方から何かアクションを起こして来ることは、ほぼほぼ無かった。
ぴよにきは公式ペア。いれいす内でペアを組んで何かするぞってなった時、大体白黒かぴよにきだから、自然と一緒に過ごすことはよくあるが。
それ以外で考えたら、元々そこまで一緒に過ごしていた訳でもなかった。
俺はフッ軽で飯とかゲームを誘うならいむしょーだし、りうらはりうらで、なんだかんだないふとジムに行ったりしてるし。
プライベートで俺とりうらが二人で過ごすことは、滅多に無かった。
恋人という関係性が出来た後は、二人の時間が多少は増えたものの。それが“恋人”として見た時に普通なのかは、よく分からない。
大体、何処かに行こうと誘うのは俺の役割だった。
初兎やほとけを誘うようなノリで誘えば良いのに、りうらを誘う時は無駄に緊張する。そんな俺が、我ながらよく頑張っていると思う。
初めて手を繋いだのは、りうらの方から。
告白以来、りうらの方から何かアクションを起こしてくれたのはそれが初めてだったから死ぬほど驚いたけど、それと同じくらい滅茶苦茶嬉しかった。
・・・けど浮かれていたのも束の間。アイツからのアクションは、それ以降なんにも無かった。
今日だって、そうだ。
所謂デート。誘ったのはいつも通り俺の方。
・・・手、繋いでええ?
頑張って差し出して、彼の頷きと共に繋がれた手は、呆気なく離されてしまった。
この後用事があるらしい彼は軽く挨拶をして、俺と別方向へと歩き出した。
恋人ならもうちょっと別れを惜しむとか、してくれてもええんちゃうの。
例えば家まで送るとか。・・・そりゃ、俺は筋肉とか呼ばれてて“華奢”だとかそんなイメージとはかけ離れてるし、守ってやりたいと思うようなタイプやないとは思うけど。
あぁ駄目だ。こんなこと考えてる自分が嫌になってくる。
──なんだか、自分ばっかり好きみたいだ。
そんな虚しい気持ちを抱えて、俺は帰路を歩いた。
吹き付ける風が、嫌に冷たかった。
自分ばっかり、なんて考えに至るのが苦しくて、俺はりうらに期待をかけないようにした。
なんなら俺のことを好きだと思ってくれたのも、一種の気の迷いみたいなのがあったんじゃないかとか。・・・流石にそんなことを考え始めた時は、自分の脳にストップをかけたが。
カレンダーを見れば、分かりやすくご丁寧に丸が付けられた日付が目に入る。
らしくもないことをしていると、自覚はしていた。
りうらと付き合って、もうすぐ一ヶ月になる。
とは言え、相手はあのりうらだ。一ヶ月記念にどうこうしようとか、特に考えていなそうだった。
なんなら、この日で一ヶ月ってこと自体知らないかもしれない。そういう記念日とか、興味無いんじゃね?
期待し過ぎて、後からガッカリするのは御免だ。そもそもこっちが勝手に期待かけて勝手に傷付いて、なんてことをりうらに知られて、もし面倒臭がられたらどうする。多分暫く立ち直れない。
あー、こうやってじめじめ考えてること自体気力を使う。もう何も考えたくない。いっそ全部放り投げてしまおう。
黒
ぽつりと呟いた言葉は、一人の部屋に虚しく消えていった。
黒
青
黒
青
あにきから渡された缶ビールを受け取り、勢い良く飲む。あにきはそんな俺を見てけらけら楽しそうに笑っている。うん、かわいい!
ご覧のテンションの通り、あにきは顔を赤くしてしっかりと酔っている。机の上には空になった缶がいくつも転がっていた。
今日は飲み雑配信をする訳でもなんでもないのだが、まさかのあにきからのお誘いで、俺の家で二人でお酒を飲んでいた。そう、二人で!ええやろ!ふふん!!
黒
青
黒
水を差し出せば、唇を尖らせながらもそれを受け取るあにき。えっかわいい。
癒しをありがとう、今日も推しが尊い。最早悟りを開ける勢いだ。
机に突っ伏すあにきの頭をなでなでしてみれば、あにきはふにゃりと表情を緩めた。
黒
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え、供給が!供給が凄い!!命日!?
うわ、なんかごめんなあにきっずのみんな。やっぱまろが一番のあにきっずやわ。誰にも負けん自信しかない。
だってこんな表情、リスナーのどんな人だろうと見れんやろ。なんならないことかでも無いんちゃう?やべ、特権手に入れた。マウント取ろ。
黒
青
黒
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頭を撫でてる俺の手に自分の手重ねて笑うあにきって何??俺死ぬ?死ぬの?夜道には気を付けろってこと??それより先に供給で死ぬが。
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やべ。推しからのかわいいお願いに全力肯定してしまった。せめて最後まで聞け自分。
勢いが良すぎる俺の返事にきょとんとしたあにきは、すぐに嬉しそうに笑い出した。
黒
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なんだこのふにゃふにゃ笑ってる最年長は。え、てか待って最年長?最年長???
最年長ってなんだっけ。と言葉の概念から考え出した俺は、暫くしてあれ?と違和感を感じた。
確か、明日って。
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黒
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指を引っ張ったりつねったり、俺の手を掴んで遊んでいるあにきがかわいくて早々に本題からずれそうになってしまったが、一先ずちゃんと言えた。よく耐えたいふまろ。
そう、明日は確か大事な日だった筈だ。
あにきと、りうらにとっての。
青
ぴよにきが付き合い出したと聞いた時、推しが取られた!!なんてショックを受けるよりも、やっとか。と肩を落としたのが先だった。
二人の両片思いは、俺達から見ていれば明らかだった。気付いてないのは当の本人達だけ・・・いや、りうらのあの告白の言葉を聞くに、気付いてなかったのはあにきだけだろう。
と言うかまろ的にはりうらの告白の言葉ちょーっとうざかったけどな。なんやあにきも俺のこと好きだよねって。しばくぞ。
これでただのりうらの勘違いなら死ぬほど笑ってやったしいじってやったけど、それが両思いなのだからあにきっずのまろとしては応援以外の道はない。あにきに感謝しろりうら。
黒
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あにきの言葉に、俺はぽかんと口を開けた。あにきは唇を尖らせてそっぽを向く。あぁかわい、・・・違う違う。
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勿論あにきが泊まってくれるん嬉しいけどな、と自分の気持ちをきちんと付け足しておく。紛れも無い本心だし、こういうことを言っておかないとあにきは「俺が泊まるの迷惑なんや」とか見当違いなこと考え始めるから。それが酔ってるなら尚更。
黒
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推しのことは基本全肯定するっていうのが俺の中の鉄則やけど、その考えだけは否定せざるを得ない。
え、何、なんでそうなんの?りうらがあにきに興味無い?そんな訳。
例えばやけどさ。俺有難いことにあにきとよくくっついてるんよ。まぁまろからくっつきに行ってるんやけど、あにきも拒まんどころか受け入れてくれるしな?有難いことに。
そういう時とか、なんか視線痛いなって思って周り見渡してみれば大体アイツがこっち見てるんよ。いや、大体じゃないわいつもだわ。
ちなみにそれ、二人が付き合う前からな。お前そんなあからさまな態度示してくるならさっさと告れよヘタレ、ってことで俺は気にせずあにきラブ生活を謳歌してた訳やけど。
あにき気付いてないん?対あにきの時のりうらの距離感ってかなりバグってるんやけど。
同じスマホ覗き込んでる時とかさ、頬くっつきそうやん。え、あれあにき気付いてないん?
りうらって実を言うとそこまで周りとの距離感近くないんよ。あにき分かってるのかな。
まぁ、水色は例外だ。自称りうっこ名乗ってるからか、すぐりうらにくっつきにいくしな。あとないこも。
でもその二人がくっついてきた時は、いつも少なからず抵抗してるんよ。特にほとけには分かりやすいな。
俺やしょにだとの距離感がりうらの正常の距離感としよう。と言うか多分あれがりうらの本来の人との距離感だ。くっつき過ぎず遠過ぎず。程良い距離を保ってる。
そんなりうらがさ、自分から距離詰めてんのあにきくらいだよ。え、マジで分かってないんかなあにき。かわいいけど。
あの淡白最年少がさ、あにきを見て表情緩めてんの。お前そんな顔出来たん??って疑問を抱くくらいには。
黒
青
黒
こんなかわいいあにきを自分からデートに誘わないとは何事だ。あろうことかあにきの方から手を繋がせる??ヘタレなんか最年少。有罪だぞそんなん。
どうやらりうらには、あにきへの気持ちを表す言葉と行動が足りなさ過ぎるらしい。
そりゃ拗れるわ。だって相手があにきやし。音楽が関係すること以外はネガティヴ思考が先行するあにきやし。
すぐ色々考え込んじゃうんよなぁ。だからってそれを吐き出さないから、どんどん溜まっちゃって、こうやって爆発する。
りうらの言葉が圧倒的に足りないばっかりに。可哀想過ぎる。
たった一言、好きだよって言って抱き締めればいいのに。週に一回、なんなら毎日やってあげればいいのに。
何一つ形にしないあの淡白最年少。・・・なんか腹立って来た。
青
微かに潤んだ瞳が俺を映す。恨むなよりうら。元はと言えばお前が悪い。まろは永遠にあにきの味方だ。
青
黒
その時のあにきの嬉しそうな顔と言ったら、卒倒しなかった俺を誰か褒めて欲しい。
おかけになった電話番号は───
スマホから流れてくる無機質な声が、俺の鼓膜を揺らした。
何度目かのその音声にうんざりしながら、俺は彼とのトーク画面を開いた。
明日会いたい
昨日送ったそんな簡潔なメッセージには、返信どころか既読すら付いていない。
おかしい。彼は遅くてもその日中に返信をしてくれるし、なんなら早い時は秒で既読を付けてくるのに。
カレンダーを見る。今日は、あにきと付き合ってから一ヶ月記念の日だった。
好きな人の“恋人”という地位を漸く手に入れた大切な日。大切な彼と一緒に過ごしたいし、それが当然だと、あにきだってそう思ってると思っていたのに。
連絡は繋がらない。昨日試しに彼の家に行ってみたが、人がいる気配は無かった。
あにきがよく一緒に出かけている初兎ちゃんやほとけっちに聞いてみても、知らないの一点張り。嘘をついている様子もなければ、そんなことをしたって彼らにメリットがないのは俺にも分かっていた。
だからってあにきがいる場所なんて分からないし・・・と行き詰まっていた時、ないくんから着信。
赤
桃
赤
桃
赤
桃
赤
桃
赤
桃
何やら慌てた様子で付け足してくるないくん。どんだけ今の俺荒々しく思われてるの?否定しないけど。
平穏に、というリーダーの言葉に否定も肯定もせず、俺は再度「教えてくれてありがと」と言って電話を切った。
黒
青
メロンパンを口いっぱいに頬張って目を輝かせるあにきに、秒で表情筋がゆるゆるになる。いや、今日は元々ゆるゆるだったけど。
無事に二日酔いを免れたあにきと一緒に、俺は外に出ていた。
こんな風に二人で何も考えず遊んだりするのはなんだか久しぶりな気がして、思う存分楽しんでいる。
会社の人達が話題に上げていた、最近人気のパン屋さん。何やらメロンパンが人気とかで、あにきを連れて行ってみればこの反応。並んだ甲斐がある。会社の人達ありがとう。
昨日泣きそうになっていたあにきが、今日はこうやって笑っている。よしよし、それでいい。あんな最年少放っといて俺と美味しいもの食べような、うんうん。
推しの笑顔は健康に良い。心身共に元気になって行くのを感じながら、俺はテイクアウトしたホットコーヒーを啜った。
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青
黒
からからと笑うあにきに昨日の悲しみは無い。何よりだ。
黒
青
目の前に差し出された、食べかけのメロンパン。
黒
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なんだこの天国は。お礼と言えども大口で行けって言うあにきはその性格が滲んでるし、これ実質あーんなのでは??
青
ぶち上がるテンション。俺の楽園はここだったんか・・・と一人納得して、俺がそのメロンパンにかぶりつこうとした時だった。
赤
かちん、とメロンパンを挟むことなく噛み合わさる上下の歯。突然聞こえて来た聞き慣れた声に、俺は声の主の方を見た。
黒
青
赤
あにきの後ろから姿を現したりうらは、いつの間にかしっかりとあにきの肩を抱いている。
青
赤
うわ、この目。多分ないこにでも昨日一緒にお酒飲んでたこと聞いたんやろなぁ。
もっといじってやっても面白いかと思ったが、流石にあにきが可哀想なので手を引くことにする。りうらはあにきに感謝しろよマジで。
青
赤
青
次悲しい思いさせたら許さんからな。そんな意味を込めて、忠告を放った。
じゃ、それだけ。と呟き、俺はその場を後にする。
青
いやー、嫉妬してる時のりうらの顔おもろいな。今度マウント取ってやろうかな。なんて考えながら、俺は上機嫌に踵を鳴らした。
赤
去って行く高身長を、顰めっ面で見送った。
なんか、遠回しにマウントを取られた気がする。何それ、俺はあにきのこと知ってるよアピール?
赤
確認を含めそう尋ねると、あにきは視線を逸らした。
黒
赤
思わず漏れた声に、あにきの肩がびくりと揺れた。あ、やば。
赤
まろの忠告に従っているみたいになるのはなんだか癪だけど、なるべく思ってることをそのまま言葉にするように善処する。当然、恋人を怖がらせたくなんかないのだ。
あにきの言葉を待っていると、俯いたあにきがぽつりと声を漏らした。
黒
赤
予想もしていなかった彼の言葉に、ぽかんと口を開けて彼を見つめた。
赤
黒
表情を歪めるあにきが、苦しそうに言葉を溢して行く。そんな顔、しないで欲しいのに。
黒
涙を浮かべて、潤んだ声で、あにきが言う。
俺は暫く、その姿を目を丸くして見つめていた。
・・・欲が無い、訳ではなかった。
ただ、あにきの隣は。あにきと一緒に過ごす時間は、いつからか俺の当たり前になってて。
特別何処かに出かけようとしなくても、例えばいれいすで集まってる時とか、なんてことない家での時間とか。
あにきのそばにいられれば、正直なんだって良かった。
手。手は・・・あんまり深く考えてなかったな。と言うか、あにきから誘ってくれたデートに浮かれてて、そこまで気を回してられなかった。
だから、そんな態度があにきを不安にさせてたなんて、思ってもいなかった。
黒
そこまで言ったところで、あにきがハッと我に返ったように言葉を止めた。
赤
“俺ばっかり好きみた・・・!!”
───俺ばっかり、好きみたい?
黒
赤
頭で何かを考える前に、あにきの手首を掴んでいた。
驚いたように俺を見つめるその大きな瞳が潤んでいて、胸がちくりと痛むようで。
赤
自然と口から漏れ出たのは、ずっと胸に抱いてる気持ち。
付き合う前も、それからも。今だってずっと、想ってること。
赤
黒
赤
あにきはまだ、悲しい表情を浮かべている。笑って欲しいのに、どうやったら伝わるのだろう。
そこで、コートのポケットに突っ込んで来た物の存在を今更思い出す。
赤
黒
あにきの左手を取る。目的は、その薬指。
黒
あにきの目が見開かれる。元々大きいのに、ますます大きくなっちゃうよ。
赤
その指に嵌るリングは、大学生の俺が手に届く範囲の、まだまだ安っぽいブランド品だけど。
赤
赤
そう伝えれば、あにきの瞳が次第に潤んでいく。
そしてぼろぼろと溢れ出す涙が、日光を反射してキラキラと輝いた。
宝石みたいだな、とぼんやり考える。
黒
赤
あにきが表情を崩して、くしゃっと笑う。
黒
安っぽい指輪だ。多分今の段階じゃ、俺よりも彼の方がもっと高くて良いものを買えるだろう。
それでも、そんな指輪を見つめるあにきの目が、これでもかと言うほど優しさと愛おしさに溢れていて。
赤
黒
言葉が足りないって言うないくん達の言葉は、否定し切れないかもしれない。
でも仕方が無いよね。言葉で表すには物足りないくらい、愛おしさが溢れちゃうから。
だから、言葉の代わりに。最大限の愛を込めたこの気持ちを、その唇に降らせてしまおう。