耳の聞こえない女の子27

今日は、ガラリと世界が変化した。

耳が聞こえるって、

こんなにすごい事なんだなって思った。

はるまと、はるまママと、はるまお父さんと、メイドさんに、

本当に感謝しかなくて、

やっぱり私にはもったいない。

今日ではるまと寝るのも最後。

明日にはベットが届く。

寂しい。

お父さんは私の事を恨んでるよね。

明日のうちの何処かで、

お父さんは死んでしまう。

刑務所の人に殺されちゃうんじゃなくて、

私が殺しちゃったんだ。

お母さんはお父さんが死ぬ事をどう思っているだろう。

なんとも思っていないのかな。

今までのお母さんを見てれば、

明日死ぬってそれくらいしか思ってない。

そのくらいわかる。

明日はお父さんに謝ろう。

こんな娘で本当にごめんなさい。

こんな時思う。

はるまに言われた、

自分を犠牲に人を助けるなって言葉。

はるまは正しい。

でも、

私が今も虐待に耐えさえしていれば、

命一つ、

何年間も人を閉じ込めることも、

なかったんだよね。

本当の両親に、

大好きって言って欲しかった。

はるま、私を助けてくれてありがとう。

お父さんを思い出し泣いてしまった。

物心ついてから毎日書き続けた日記。

せっかく棚を選ばせてくれて、

買ってくれたので、

大好きな本と一緒に入れる。

、、日記のノートはもうたくさんあって、

一番最初の方のノートは、

少し色が変わっていた。

久しぶりに中身を見る。

ひらがなばっかりだ。

はるまの部屋のドアをノックする。

私は泣きながら頷く。

つぼみは泣きながら寝てしまった。

泣いて泣いて、

目が腫れていた。

はるまはつぼみの頭を撫でて、

ゆっくりとベットに下ろした。