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最上勝
教室からそんな声が廊下に まで聞こえてきた。
聞こえてきた名前は 昨日シエルにコスプレをして欲しいと 頼んできたオタクの筈だ、 とシエルは思う。
実際のところ蒼空は アニメキャラにもアイドルにも 興味はなく衣装しか見ていないのだが
それを知らないシエルにとって 蒼空はコスプレ衣装を作っている オタクの人という認識しかない。
可愛シエル
可愛シエル
ぞわっと体に鳥肌がたった。
あんなにハッキリと断ったのに よりにもよって一番関わりたくない 厄介な男に相談しているらしい。
可愛シエル
全てが面倒になったシエルは 逃走することを決める。
保健室へ行こうと方向転換すると 階段から安里がやって来た。
安里知夜子
素通りしようとしていたシエルに 安里は笑顔で声をかける。
可愛シエル
安里知夜子
安里の視線はシエルの鞄に向けられていた。
可愛シエル
安里知夜子
安里は計算し尽くした 完璧に可愛い角度に こてんと首をかしげてシエルを見下ろす。
可愛シエル
安里知夜子
シエルが言葉を濁すと 安里はそれ以上追求することなく 引き下がった。
何かを察してくれたわけではない、 根本的に興味がないんだろう。
可愛シエル
安里知夜子
可愛シエル
安里知夜子
安里知夜子
可愛シエル
眉をひそめで聞くと安里は小声で続ける。
安里知夜子
可愛シエル
安里知夜子
安里知夜子
可愛シエル
安里知夜子
可愛シエル
安里知夜子
可愛シエル
安里知夜子
可愛シエル
安里知夜子
キーンコーンカーンコーン
可愛シエル
シエルに背中を押された安里は 唇をとがらせながらも教室に向かった。
安里知夜子
振り向いた時には既に シエルの背中は小さくなっていた。
安里知夜子
安里は困惑したように ぐんにょりとした表情を浮かべたが 一瞬のことだった。
クラスメイトA
安里知夜子
クラスメイトB
安里知夜子
クラスメイトC
安里知夜子
クラスメイトに声をかけられると もうシエルのことは忘れたように にこにこといつも通りの顔で 教室に入っていった。
保健室に入ると養護教諭は まだ来ていないのか 何処かへ出ているのか不在だった。
可愛シエル
手慣れた様子でベッド使用の用紙に 貧血、と書き込んでベッドに向かった。
可愛シエル
シエルは学校にゲーム機を 持ち込まない主義だった。
大切なものを学校に持ってくると 取られたり隠されたり捨てられたり とにかく良いことが何もないことが 経験上わかっているからだった。
そうなるとシエルが学校で出来るのは アプリゲームだけだ。
しかも学校では人がいる場所で プレイしないことに決めているから 家を出る前にライフを 使い切るようにしていた。
それでも諦めきれず ベッドの上で膝を抱えるように座ると アプリを開いては閉じるを繰り返す。
可愛シエル
フレンドからライフが届いてるのを 確認するとスマホを横向きに持ち変える。
暇潰しの代名詞とも言える パズルゲーム。
あまり好きではなかったが やはり暇潰しには持って来いなのだ。
可愛シエル
指先を気ままに動かすだけのゲームを 始めるとやはり思考は暇になる。
そうすれば考えたくないことも 考えてしまうものだ。
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
くだらない想像をすると つい笑いが溢れる。
可愛シエル
可愛シエル
パタン
唯一のライフを使ってしまうと ベッドに倒れ込んだ。
可愛シエル
安里は男癖が悪いと 女子の間では有名だった。
それは男女問わず 友達がいないシエルにも 伝わるレベルなので相当である。
休み時間は男子とばかりいるし 昼食も男女別で固まる中、 一人男子の輪に入っていた。
どちらの輪にも入らず 屋上や中庭、保健室で一人ぽつんと 昼食を取っていたシエルに言われるのは 安里も心外だろうが、
シエルは安里のことを 友達のいない人と認識していた。
友達のいないもの同士、 体育のペアなんかでは お互い大分世話になっている。
シエルが中学まで ほとんどサボっていた体育の授業に 出るようになったのは安里のおかげだ。
安里はシエルが他人に興味もなければ 噂話をする質でもないことがわかり 気を許している節があった。
ついさっきも どう使う気なのかわからないが 都合の良い口実に使いたかった と溢していたほどには。
可愛シエル
可愛シエル
昨日の一件で利用価値があると 思われてしまったらしいシエルは 大きな溜め息を吐いた。
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
ベッドに潜り込んだシエルは その後やって来た養護教諭に 叩き起こされるまで、 つまり3限の終わり頃まで熟睡した。
そしてなんやかんやと理由をつけて 昼休みまで保健室で過ごしたのであった。