昼休みが終わり、授業が始まった。
いつもなら次に作りたい服を思い描いてた。
けれど今は構想なんか全く頭にない。
授業の内容も当然右から左へと 流れていっていた。
では何をしているのかと言えば…
冴内蒼空
(可愛さん、午前の授業出なかったのって、やっぱり僕のせいかな…)
冴内蒼空
(ていうかやっぱりじゃなくて絶対そうだよね、あんなのいきなり言われたら誰だって引くって…)
冴内蒼空
(あーーほんとバカだ僕って!)
冴内蒼空
(勉強だけじゃなくて人と関わることもできないなんて…)
冴内蒼空
(ほんと終わってる、人として………)
冴内蒼空
はぁ…
自分が嫌になって小さくため息を吐いた。
最上勝
『もっと思ってることをガーッと言っちゃえばいいのに!』
何故か今朝の最上の言葉を思い出す。
冴内蒼空
(言ってたよ、僕にしては)
冴内蒼空
(今までだったらあそこまで自分の話なんかしなかった)
冴内蒼空
(でも……なんであのときあんなに可愛さんに拒まれちゃったんだろ…)
冴内蒼空
(……って!拒まれて当然なレベルで気持ち悪いこと言っちゃってたんだけど!)
冴内蒼空
(拒まれるほど変な服を作ってるわけじゃないんだよなあ…)
冴内蒼空
(服を見せたら考え方変わったりとか…っていやいや!もう断られてるわけだし、いい加減諦めた方がいいよね…)
冴内蒼空
(僕みたいなヤツのことを、ウザイって言ったりするのかな…)
冴内蒼空
(あーーーもうわかんない!!)
先生
次、冴内読んで
冴内蒼空
…っへ!?はいぃ!!
ガタタッ
教科書を片手に視線を向けた教師から 突然名指しされ、 声を裏返らせながら返事をし、 音を立てて席を立つ。
周りからの小さなざわつきと 鼻で笑うような声が所々から聞こえる。
冴内蒼空
……あ、えーと…
先生
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パリッとした先生の声に 圧倒されながらも言われた通りに 教科書を読んでいく。
蒼空にとって授業は一種の 機械的な作業のようになっていた。
先生
はい、そこまで。今後ボケッとしないように
冴内蒼空
はい…
釘を刺されると縮こまるように席に着く。
顔が赤らむのを感じたが 席に着けばもうどうでも良かった。
こんな視線にはもう慣れている。
それよりシエルとのことについて どうしたら良いか考える。
蒼空の表情はまるで 進路でも考えるかのような真剣さだ。
周りから見れば心を入れ換えて 真面目に授業を受けているように 映るに違いない。
冴内蒼空
(……とりあえず今の僕に出来ること………)







