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第1話 - あ

2023年10月25日

#スカッと

タナカトシキ

ケイスケ

お前、またミスして部長に怒られたんだろ？

ケイスケ

ほんと、発注ミスとかいい加減にしろよ...

タカフミ

いや、今回は本当に隅から隅まで、しっかり確認したんだよ

タカフミ

なのに、なぜか３つも発注の見落としがあって...

ケイスケ

それで、急ぎで発送するからオプション料金として、

ケイスケ

その金を会社が負担しないといけないってな

ケイスケ

ほんと、いい迷惑だよ

ケイスケ

会社の評判がどんどん悪くなるだろ

ケイスケ

そんなに迷惑かけるんなら、一生オフィスの片隅でパソコンいじってろ

タカフミ

俺だって、ちゃんと目的があるからパソコンでやることやってんだろ

ケイスケ

俺、噂でなんか仕事と関係ないことしてる、って...

ケイスケ

噂で聞いたことあるんだけど？

ケイスケ

マジなの＿？

タカフミ

そんなこと、するわけないだろ

ケイスケ

でも、噂に聞いたよ

ケイスケ

「会社の仕事とは関係ないことしてたところ、見たことある」って...

タカフミ

そんなの、なんかの見間違いかなんかじゃない？

タカフミ

俺はそんなこと、したことないんだけど

ケイスケ

本当かよ

ケイスケ

俺が聞いた話によると...ゲームしてたらしいじゃん

タカフミ

ランチ休憩の間に、スマホでゲームはしてたよ

タカフミ

でも、それ以外には何もしてない

ケイスケ

そうなんだ

ケイスケ

まあ、でも信用されなくても文句言えないよな～

ケイスケ

だって、毎月のように発注ミスするんだしさ

ケイスケ

ほんと、周りのやつにどれだけ迷惑かけてるのか...少しは自覚しろ、っての

タカフミ

迷惑かけてるのは確かに申し訳ないと思ってるけど...

タカフミ

でも、ゲームしてるなんてのは絶対にないから

タカフミ

変な噂立てるのはやめてくれよ

タカフミ

そんなことするほど、俺も性格わるかねーよ

ケイスケ

まあ、部長にも呆れられて、窓際社員って呼ばれるくらいだもんな

ケイスケ

お前はプライド、ってもん知らねーのか？

タカフミ

プライドなんて、そんなの人それぞれじゃん

タカフミ

やりたいことがあるなら、頑張ればいいと思うし

タカフミ

重点を置きたい軸がずれることくらい、別に大したことじゃないだろ

ケイスケ

そういうふうに言っとけば、自分のこと守れると思ってんの？

タカフミ

は？守る、って...？

タカフミ

俺がそんなことしてるように、思えんの？

ケイスケ

ミス繰り返す、ってことは原因を突き止めようとしてない、ってことだろ

タカフミ

俺は、自分でしっかり気を付けてるつもりだよ

タカフミ

最新の注意を払っても、なぜか発注でミスするんだよ

ケイスケ

なんでだろうな～

ケイスケ

本当に、注意してんのかよ？

ケイスケ

間違えるんだから、どっかで気抜いてるに決まってんだろ

タカフミ

そんなことねーて！

ケイスケ

まあ、とにかく次もミスしてたらお前どうなることかな...

ケイスケ

最近、本社で各支社の異動が噂されててさ

ケイスケ

お前がいる部署では、1人業務部に行くらしいぞ

ケイスケ

そんなの、お前が行くに決まったも同然だろ

タカフミ

まだ分かんないし、ただの噂でそんなこと言うなよ

タカフミ

縁起でもない

ケイスケ

現実にならないことを願うよ

~3日後～

ケイスケ

なあ、異動の連絡のことだけど、もうタカフミも聞いただろ？

タカフミ

なんだよ、面白がってんのか

ケイスケ

いや、別にそうじゃないけど...予想があたったな～って思ってさ

ケイスケ

やっぱり、お前が業務部に異動になったじゃん

ケイスケ

怠けた態度取ってるから、こんな目に遭うんだよ

ケイスケ

ざまあみろっての

タカフミ

そんなに俺のことバカにしたけりゃ、すればいいだろ

タカフミ

もう、なんと言われても気にしないことにしたから

ケイスケ

へー

ケイスケ

潔くなったな

ケイスケ

どうしたんだよ、いきなり

タカフミ

別に？

タカフミ

もう、なんか言い合うのも疲れた

タカフミ

俺は業務部に異動するから、お前と直接かかわることも少なくなるだろ

タカフミ

だから、これ以上関わるのはやめてくれよ

タカフミ

めんどくせーから

ケイスケ

俺もそんな気、さらさらないから安心しろよ

ケイスケ

業務部なんて、残業まみれの部署だろ？

ケイスケ

怠けもののお前にぴったりじゃん

タカフミ

は？どういう意味だよ？

ケイスケ

そういうところでがっつり仕事した方が、絶対にいいリハビリになるだろ

ケイスケ

まあ、今は辛くてもさ、あとで絶対に頑張ってよかった、って思えるって

タカフミ

ケイスケ、お前いつからそんな上から目線で話すようになったんだよ

ケイスケ

俺は2回も昇進してお前より上の位置にいるんだから、

ケイスケ

別に問題ないだろ

ケイスケ

いつか、後輩にも先越されて一生窓際社員だったりして...？

ケイスケ

そうなったら、本当に人生この先、真っ暗なんじゃね？（笑）

タカフミ

そんなことなんねーから

タカフミ

心配しなくても、大丈夫だよ

ケイスケ

俺、今忙しいから仕事戻るよ

ケイスケ

俺も、お前よりやること山積みで忙しいんだわ

ケイスケ

ありがてーことに

タカフミ

そんなんだったら、最初から話しかけてくるなよ

ケイスケ

じゃあ、残業部で頑張れな（笑）

～２週間後～

ケイスケ

よ！タカフミ

ケイスケ

どう？最近は

ケイスケ

今繁忙期だから、忙しくてそろそろ泣いてる頃だった？

タカフミ

あ、俺先週で会社辞めたんだよ

ケイスケ

は！？なんで！？

ケイスケ

急すぎるだろ...

タカフミ

別に、急でいいだろ

タカフミ

あと、俺のミスは俺が原因で起きてるんじゃない、って知れたし

ケイスケ

え？

タカフミ

今頃とぼけるんじゃねーよ

タカフミ

ケイスケ、本当の発注データを、少し細工してから俺に渡してきてたんだろ？

ケイスケ

そんなこと...俺がするわけねーだろ

タカフミ

まあ、少し調べさせてもらったんだわ

タカフミ

そしたら、なぜかケイスケが発注データのファイルを分けて持ってたみたいで？

タカフミ

中身調べたら、実際のデータと違って、俺が毎回受け取ってる発注データだったんだよ

タカフミ

どういうことか、説明しろよ

ケイスケ

頼む...土下座して謝るから、社内にもらすのだけは止めてくれないか？

タカフミ

じゃあ、認めるんだな

ケイスケ

本当に、すまなかった！

タカフミ

なんか、おかしいと思ったんだよな～

タカフミ

しっかり確認してんのに、毎回ミスが出てきてさ

タカフミ

まあ、認めるならいいよ

タカフミ

ここで変な言い訳して言い逃れされる方が、嫌だったし

ケイスケ

え？怒ってないのか？

タカフミ

別に、会社辞めた以上お前と関わることはもうなくなるし

タカフミ

関係ないじゃん

タカフミ

それに、俺が本当にやりたいことが叶ったから、会社辞めるんだし

ケイスケ

なんだよ？やりたいことって

タカフミ

俺、会社で正社員として働く傍ら、

タカフミ

ビジネス向けメールソフトの立ち上げをしてたんだ

ケイスケ

へ？

ケイスケ

そんなの、初めて聞いたんだけど

タカフミ

まあ、言ってなかったし

ケイスケ

でも、そんなすぐに会社辞めれるほど儲かってないんだろ？

タカフミ

それが、すでにいくつか会社からうちで取り入れたい、って話が来ててさ

タカフミ

これから打ち合わせが１週間で１０個もあって...で忙しくなりそうなんだよ

ケイスケ

え？もう！？

タカフミ

そ！いや～楽しみだな～

タカフミ

今まで窓際社員とか、ってバカにされてたけど、

タカフミ

みんな俺が陰でこんなソフト立ち上げてるなんて、知らなかったと思うし

タカフミ

あと、社長に辞職の理由話して、このメールソフトを立ち上げたことを話したら、

タカフミ

「この会社でも取り入れさせてくれ」って言われたんだ

ケイスケ

おい、マジかよ...

タカフミ

そんで、社長の知り合いの会社の社長にも今話してくれてるみたいでさ

タカフミ

これから、どんどん俺のソフトがいろんなところで使われそうだよ

タカフミ

いや～楽しみだな

ケイスケ

なんか、いきなり話が進みすぎじゃね？

ケイスケ

お前、いつの間にそんなスキル持ってたのかよ？

タカフミ

昔から、ソフト開発はやってみたかったんだよ

タカフミ

でも、自分の型にはまったものを作りたかったからさ

タカフミ

あえて開発系の会社には入社せず、

タカフミ

正社員の傍らで、ソフト開発しよう、って決めたんだよ

タカフミ

まあ、副業として進めるのはかなり大変だったけど、

タカフミ

頑張ってよかったな～

ケイスケ

ちなみに、どんな会社から超えかかってるんだよ？

タカフミ

えっと...覚えきれてないな～

タカフミ

まあでも、飲食系の会社、商社、不動産、とか...

タカフミ

外資系のコンサル会社とか...

タカフミ

結構色んな業界で大企業、って呼ばれるとことに導入してもらえる予定だよ

タカフミ

だから、最初の収入は結構でかいと思う

タカフミ

今からめちゃくちゃ楽しみだよ

タカフミ

そんで、今度都内で開かれるビジネス関連の展示会にも招待されたんだ

ケイスケ

え！？あの一番大規模場展示会に出展すんの！？

タカフミ

そうなんだよ

タカフミ

それも、社長が出展するのを進めてくれてさ

タカフミ

展示会の関係者に、社長からアポ取ってくれたんだよ

タカフミ

そしたら、即俺のブースも取ってくれてさ

タカフミ

社長も迅速に対応してくれたから、マジで感謝しかねーわ

ケイスケ

そうか...よかったな

ケイスケ

お前がそんなに、ソフト開発関連ですごいやつだったなんて知らなかったよ

タカフミ

今後、会社設立してどんどん事業を大きくしていくつもりだからさ

タカフミ

これからもっと頑張らないと

ケイスケ

あのさ...俺も実はこの会社辞めようと思ってるんだ

タカフミ

は？何で？

タカフミ

あんなに、２回も昇進できた、って喜んでたじゃん

ケイスケ

いや、確かに昇進はできたんだけど...

ケイスケ

上司がすごいパワハラでさ

ケイスケ

この前、休日出勤を強制してきたんだよ

ケイスケ

自分はしないくせに...

タカフミ

俺に弱み見せたらかっこ悪いから、パワハラを受けてたこと隠してた、ってことか

ケイスケ

本当に、あんな態度取ったことはマジで謝る！

ケイスケ

俺もこの会社辞めるから、お前の新しいソフト開発事業に関わらせてもらえないか？

タカフミ

それは断る

ケイスケ

頼むよ！

ケイスケ

俺なら、営業部で培ってきた経験もあるし、コミュ力もあるから顧客だって取ってこれるし

ケイスケ

絶対に後悔はさせないよ

ケイスケ

だから、お願いだ

ケイスケ

俺に事業に携わらせてもらえないか？

タカフミ

だから、無理だって言ってんだろ

タカフミ

俺は本当に信用できる奴としか、仕事したくないんだよ

タカフミ

今まで俺にどんな態度取ってきたか、お前分かってる？

ケイスケ

分かってて、言ってる

ケイスケ

失礼なこと言ってるのも、十分理解してるよ

タカフミ

じゃあ、諦めろよな

タカフミ

俺は、お前のことは事業に関わらせたくない

ケイスケ

そこを何とか！

ケイスケ

俺、もうこの会社にこれ以上いたら頭おかしくなりそうなんだよ...

タカフミ

知らねーよ

タカフミ

自分が取ってきた態度に、後悔しとけよ

タカフミ

自分で痛みを知らないと、どれだけ自分が重いことしてたか分からないだろ

タカフミ

営業部でもう少し、経験詰んでみるのもいいんじゃない？

ケイスケ

でも、プレッシャーと不安と緊張で毎日押しつぶされそうで...

ケイスケ

もう、精神的にも体力的にも限界が来てるんだ

タカフミ

そんなに追い詰められてるんだったら、最初から強がるなよ

タカフミ

まあ、もう何言われても俺は協力できないから

タカフミ

自分で何とかしろよ

ケイスケ

お互いに頑張ってきた同期だろ！？

タカフミ

ついこの間まで、辛い経験しておいた方がいいだろ、

タカフミ

って言ってたのはどこの誰だよ？

タカフミ

俺も、その言葉をそっくりそのまま返すよ

タカフミ

だから、お前も頑張って今の状況乗り越えろよ

タカフミ

じゃあ、俺はこれからクライアントと打ち合わせあるから

タカフミ

またな

～後日談～

タカフミ

その後、俺はビジネス関連ソフトの展示会でプレゼンが大成功し、

タカフミ

１０個の会社から新たにソフト導入の依頼を受けました

タカフミ

初年度にして、約２億円の収入が見込めそうで、窓際社員というあだ名からは脱却です

タカフミ

一方で、ケイスケはパワハラを受けて精神を病み、会社を辞職したそうです

タカフミ

奥さんに黙って辞職したことで、大激怒されて味方は誰もいないようですすが、自業自得ですよね

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タナカトシキ

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