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"Trick or Treat"
と言って
私は君の家の中へ入る。
君がお菓子を持ってなかったら だめだから
悪戯は、自分への不幸にしよう_
そう言って 君は僕に手を差し伸べる。
僕の手の中にあるのは
包み紙に包まれた 小さな小さなお菓子だった。
「これ、なに?」 その僕の問いに君は
「??」 僕は首を傾げた。
そしたら君は、 小悪魔っぽい悪戯な笑みを浮かべた。
何が内緒なのか。
このお菓子のことなのか。 それとも
君が僕にお菓子を渡したってことなのか。
僕はわからない。
君とは友達だけど
君のこともわからなかった。
そのまま、今日は過ぎでしまった。
今日も、君と出かけた。
"大人になるまで食べちゃいけない" と言っていた あのお菓子は
今も僕のポケットの中に入っている。
大人になるまで、 無くしたくないから。
君の問いに僕は 「楽しいとこ行きたい」と言った。
そしたら君は笑って 「いいよ」って。
昨日の悪戯な笑みとは違った、 優しい笑顔だった。
昨日お菓子をくれたばっかなのに またくれるのかな。
少し期待をしながらも
「チョコが好きだよ」 って答えてみた。
君から、バレンタインのチョコ 貰えるかなって
期待していた。
「もうそろそろ暖かくなるかな」 そう言いながら僕達は
雪の降る冷たい路地を歩いていた。
「ありがとう」 期待していたけど
君から直接言われると、 やっぱり嬉しい。
路地は凍える程寒くて冷たいけれど
君の言葉で
僕の心は暖かくなったような
そんな気がした。
「もうすぐクリスマスだね」
そんな他愛ない会話をしていたけれど
君とは急に、連絡が途絶えた。
毎日君は、僕の家の前に来てくれて
2人でどこかへと出かける。
そんな日常が、 どこかへと消えてしまった。
ふと思い出すのは
未だにポケットの中にある
"大人になるまで食べちゃいけない" お菓子
君が僕に残したのは
そのお菓子だけだったから
僕は、包み紙を外す決心をした。
ビリッと、ちょっと不器用な音がした。
もっと慎重に、包み紙を外していく。
包み紙が外れたその先には
小さな、キャンディが入っていた。
優しいピンク色と、 甘い砂糖の匂い。
食べようと思ったけど
手を止め、僕は思わず包み紙を見た。
そこには、何かが書かれていたから。
ごめんね。私は、ここには居ない。
ただ、それだけだった。
じゃあ、君は、どこへ行ったの?
チョコじゃないことが、ごめんねなの?
聞きたいことが沢山出てきたけど
君がいないならどうにも出来ない、と思い 黙り込んだ。
お菓子を貰ってから
小さな包み紙を外すまで
この49日間に 何か意味でもあるのだろうか。
君は、 どこか別の場所へ行ったのだろうか。
大人になるまで見ちゃいけないのは 君がどこかへ行ったことを
知られたくなかったからだろうか。
わからない。
僕には、君がわからない。
止めていた手を動かし、 キャンディをつまむ。
匂いの通り、甘い味がした。
と同時に
君の優しくふんわりとした匂いも 感じた。
わからないことだらけで 止まってしまった僕達の日常。
止まった日から、数ヶ月が経った。
そして今日は、ハロウィンだ。
ハロウィンは、お化けが家にやってきて 「Trick or Treat」 と言う。
そして、 悪戯をされない為に、お菓子を配る。
「君」というお化けに出逢える用に
お菓子はちゃんと用意してある。
もちろん、君かはわからないけど 僕は信じてる。
コンコン
「Trick or Treat」