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矢城と美羽が入隊してから数日
矢城は第三部隊所属、美羽は所属を第三部隊とし、能力の都合上行動は基本第二部隊とともに行う話にまとまった
雨が降り続ける5月。オフィスはぬるく湿った空気に満たされていた
雨の前には異邦人の少年少女が苦い顔をして資料と睨めっこをしている
その脇には紙と書籍の山
美羽
雨
雨
美羽
矢城
雨
矢城は、しまったと口を手で覆った
入隊してからまず最初に行う仕事。掟や施設、影の生態等の必要事項が記載された資料の読み込みだ
総隊長である雪が機械に疎いため、この時代になってもまだ紙媒体を扱っている
そのため、訓練兵は皆、目と脳をすり減らし何時間もかけて読み込むのだった
雨
雨
雨は小さく欠伸をした
…ま、私はこれに記載されてる内容は全く覚えてないが
どうせなら、と彼女は2人の読み終えた資料を手に取り、教科書のように長々と書き連ねられた文を読んだ
…何行か読み飛ばしながら
日が暮れ始めた頃、矢城と美羽は同時にため息をついた
矢城
美羽
雨
雨
私に答えられるかどうかはわからないが…
すると美羽が手を挙げた
美羽
美羽
雨は少し言葉を整理してから話し始めた
雨
雨
左手でボールペンをくるくると回転させる。手先を動かすのは彼女の癖であった
雨
雨
雨
雨
美羽は隣に座る矢城に「どういうこと?」と尋ねる。矢城は図解しながら雨の説明を繰り返した
図解の方がわかりやすいか、と雨は反省した
やがて美羽は合点がいったというふうに声をあげ、続きを促す
雨
雨
雨
雨
矢城
「Exactly」と雨が指を弾く
雨
美羽
雨
雨
考えれば言わずともわかるだろう、と言いたげに彼女は目を細めた
視線の意味に気づいているのかいないのか、美羽は何も言わずに何度か頷いた
黙っていた矢城が首を傾げる
矢城
雨
彼女は資料の裏に図を描きながら言葉を落とす
雨
雨
雨
だから、君たちの周りの人は君たちを気味悪がるんだ
この言葉だけは、口に出すのはやめておいた
雨
矢城
美羽
慕われるのも悪くない。雨はにんまりとした
美羽が頬杖をつき、つぶやく
美羽
矢城が答える
矢城
美羽
矢城
しっかり者の少年と、空気を作り出す明るい少女。彼らがいると自然にオフィスの空気も軽やかになる
雨は2人の会話を微笑ましく聞いていた
それと同時に、彼らが自分たちのようにならないことを祈るのだった
外の雨音が、強くなる
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