コメント
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今回のお話も面白かったです♡♡
猪俣誠之介
秘境調査に訪れた学者の猪俣は目前の絶景に目を見張った。
松浦和俊
調査団の1人、松浦も立ち止まり、その景色に見とれていた。
カメラマンの川辺がしきりにシャッターを切った。
唯一、財宝目的の柳沼は一行を差し置いて猪俣の前を進もうとする。
柳沼功
柳沼功
柳沼はそそくさと急な坂を下って行った。
松浦和俊
松浦和俊
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
川辺秀夫
川辺秀夫
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
川辺秀夫
松浦和俊
猪俣誠之介
猪俣たちは既に見えなくなった柳沼が下った坂を、慎重な足取りで進んだ。
秘境の谷底には大きな洞窟があり、
太古の部族が集団で暮らした可能性があると猪俣は信じている。
ところが、そのような部族が存在していたかどうかは未だ証明されていない。
歴史的事実と証明するために猪俣は助手の松浦とカメラマンの川辺、
そして何処からか情報を得た財宝目的の柳沼を率いて現地に赴いた。
谷底に着くと、柳沼が大声で呼ぶ声がした。
猪俣たちがそこへ行くと、柳沼は足元の大きな穴を見下ろしていた。
松浦和俊
マンホールほどの大きさで、底は暗闇で見えない上、深さも分からない。
猪俣誠之介
猪俣誠之介
川辺秀夫
猪俣誠之介
川辺秀夫
松浦和俊
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
川辺秀夫
松浦和俊
松浦は嬉しそうに言い、川辺は夢中で穴に向けてシャッターを切った。
柳沼功
柳沼功
柳沼功
チッと舌打ちしてから、柳沼は少し離れた場所で煙草をくわえ、煙を吹いた。
猪俣は柳沼を無視し、川辺には周囲にまだ穴があるか見て回るよう命じ、
松浦を連れて洞窟を探しに向かった。
1時間が経過した。
松浦和俊
猪俣誠之介
猪俣たちが戻ると相変わらず柳沼は退屈そうに煙草を吹かしていたが、
川辺の姿が何処にもなかった。
松浦和俊
柳沼功
柳沼は吹き出すのを堪えるように横顔をひきつらせていた。
傍の穴を見ないようにしている。
猪俣誠之介
猪俣誠之介
柳沼功
松浦和俊
松浦が激昂すると柳沼はキッと睨んで、捨てた煙草を足ですり潰した。
柳沼功
柳沼功
松浦和俊
猪俣誠之介
柳沼功
松浦はバッグから懐中電灯を取り出したが、何故かライトが点かなかった。
松浦和俊
猪俣は体を屈めて穴に向かって川辺の名前を呼んだ。
返事はない。
何度も呼び続けたが相変わらず帰ってくるのは沈黙だった。
松浦和俊
猪俣誠之介
柳沼功
猪俣誠之介
猪俣誠之介
柳沼功
柳沼功
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
柳沼功
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣が本気で怒ると怖いのを松浦は知っていたが、今回も一段と迫力があった。
自分が雇ったカメラマンが故意に穴に落とされたのだから無理もないだろう。
柳沼はブツブツ文句を言いながらも、手渡されたロープを体に縛った。
猪俣と松浦がロープを掴み、ゆっくりと柳沼を穴の底へと下ろした。
穴の底で土を払うような音を聞きながら、2人は屈んで待った。
5分、10分と経過すると、やがて音がしなくなり、さっきと同じ沈黙が流れた。
猪俣誠之介
猪俣が怒鳴るが、返事はない。
松浦は壊れた懐中電灯をひたすら叩き、ようやくライトが点いた。
穴の中を照らす。
猪俣誠之介
誰もいない。
柳沼の体を縛っていたロープの先が丸い輪を作ったままぶら下がっていた。
深さは確かに3、4メートルそこそこだ。
松浦和俊
松浦が声を震わせながら猪俣を見るが、猪俣もただ当惑するしかなかった。
やがて、猪俣は意を決すると引き上げたロープの先を体に巻き付けた。
猪俣誠之介
猪俣誠之介
松浦和俊
猪俣誠之介
こういう状況下でも笑顔で構える猪俣を松浦はまた尊敬していた。
猪俣は懐中電灯で底を照らしつつ、ゆっくりと地面に足を着いた。
マンホールほどの大きさなので、人1人が立つのがやっとのスペースである。
その空間で2人の男が消えてしまった。
猪俣はあくまで考古学の専門家でオカルト研究家ではないため、
2人の男が暗い穴の底で消えてしまったことに当惑と同時に恐怖心を抱いていた。
落ち着きを取り戻し、地面を踏んだり壁を撫でたりしたが、やはり異常はない。
ふと、猪俣は疑問を抱いた。
猪俣誠之介
翌々考えてみると、獲物を落とすための穴にしては小さくはあるまいか?と。
猪俣誠之介
不意になにかに足首を捕まれ、猪俣はぎょっとした。
恐る恐る足元を照らすと、泥まみれの顔をした柳沼が地面から現れた。
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣誠之介
柳沼の両手を掴んで引き上げた瞬間、猪俣の声が途切れた。
柳沼の胸から下がズタズタに引き裂かれ、血まみれの抉れた肉がぼとぼと落ちた。
猪俣誠之介
猪俣誠之介
猪俣は柳沼を放ると、地上に上がろうとロープにしがみついた。
が、死にかけの心臓を活動させながら動く柳沼が猪俣の足を掴む。
凄まじい力だ。
柳沼はこの世のものとは思えない異様な叫び声を上げながら、
猪俣を地獄の入り口である穴底に引っ張ろうとしている。
異変に気付いた松浦が地上でロープを持つ手に力を入れるが、
柳沼の力は想像以上だった。
ズルズル…ズルズル…。
松浦は足を踏み外し、頭から穴へと落下した。
そして静寂のみが残った。
2019.09.01 作