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議論終了まで、残り30秒。
誰も、もう言葉を発さなかった。
ただ、端末を握る指だけが動く。
——誰に入れるか。
全員が知っている。
今回の投票は、 ただのゲームじゃない。
「ころん」を選ぶかどうかで、 この場の関係が壊れる。
でも。
壊さなきゃ、 生き残れない。
【投票を開始します】
無機質な文字が、 画面に浮かび上がった。
ころんは、 最後まで画面を見つめていた。
自分の名前が、 並ぶかもしれない画面を。
投票結果表示
【集計中……】
数秒。
いや、 やけに長い。
いつもなら、 すぐ終わるはずなのに。
【ERROR】
突然、画面が赤く染まった。
さとみ
ジェル
全員の端末に、 同じ表示が出る。
【投票対象が不正です】
【対象:ころん】
空気が、 一瞬で凍った。
ななもり。がいないはずの部屋で、 なぜか誰かの息遣いだけが聞こえた。
さとみ
ジェル
ころん
ころん
ころん
端末は、 さらに文字を表示した。
【ころん:投票対象として認識不可】
【理由:存在判定エラー】
全員が、 ころんを見る。
さとみ
ジェル
ころんの喉が、 ひくりと動いた。
ころん
異変
次の瞬間。
部屋の電気が、 一瞬だけ消えた。
——バチッ。
暗闇。
0.5秒くらい。
でも。
その短さが、 逆に怖かった。
電気が戻ったとき。
テーブルの上に、 見覚えのないものがあった。
小さな、 ぬいぐるみ。
誰も、 持ってきてない。
白くて、 目だけが異様に黒い。
さとみ
ジェル
ころんは、 動けなかった。
なぜか、 そのぬいぐるみが、 自分を見ている気がしたから。
すると。
端末が、 また震えた。
【夜のフェーズに移行します】
【ただし——】
画面の文字が、 歪む。
【通常の夜ではありません】
その瞬間。
ぬいぐるみの口が、 ゆっくり開いた。
そして、 音が出た。
「……ころん」
子どもみたいで、 でも、 どこか機械みたいな声。
誰の声でもない。
さとみ
ころんの背中を、 冷たい汗が伝った。
ぷちひなの目が、 ころんだけを見ていた。
まるで、 最初から知っていたみたいに。
——君は、もう“人間側”じゃないよ。
そう言われた気がした。