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赤い生地に黒い塗料を

第2話 - 2. 休日の買い物とアクシデント

2023年07月04日

#学園

#男装女子

#青春恋愛

#創作

花海棠(はなかいどう)

作者

読んで頂きありがとうございます。感想などを頂けますと作品投稿を続けるにあたり励みになります

作者

他の作者様とも交流したいのですが、具体的にどこから始めれば良いのでしょうね……

作者

というわけで、彗と宗二にして欲しいことのリクエスト、或いはお題を受け付けます

作者

可能な限り本編に輸入しますが、できなかった場合番外編として出す予定です

作者

さて、些細な連絡ですが前の名前が他のユーザーと被っていた為名前を変更しました

作者

だからと言って何かが変わる訳ではありませんが、引き続き何卒宜しくお願い致します

作者

以上、前書きでした。今回もご笑覧頂ければ幸いです

2. 休日の買い物とアクシデント

有栖川彗

うう、朝か

有栖川彗

(今日は例の日だ。楽しむことも大事だけど色々と気を付けなきゃ)

有栖川彗

(朝餉を取って身支度を整えるか。時間に余裕はあるけど何が起こるか分からない)

有栖川彗

(宗二君はいつも連絡のタイミングが良いな。便利な反面少し怖い気もするけど)

有栖川彗

(まさか本当にタイミングを見計らっているんじゃ――)

有栖川彗

(まあいい。余計な詮索はバレると揉め事になる)

有栖川彗

(仮にそうだとしても今は黙認しよう。それが一番波風が立たないはず)

一篠宗二

おはようございます、先輩

有栖川彗

おはよう。今日は寝坊しなかったね

一篠宗二

ギリギリですけどね

有栖川彗

ま、しないってだけで偉いと私は思うよ

有栖川彗

こっちは今から家出るとこ

有栖川彗

時間には間に合うから安心してね

一篠宗二

分かりました。では後ほど会いましょう

有栖川彗

うん。楽しみにしてるよ

一篠宗二

せんぱーい！

有栖川彗

やあ、おはよう。待たせたかな？

一篠宗二

先程きたばかりなんで大丈夫です！

有栖川彗

(随分とやる気が高いなあ。私も気合い入れなきゃな)

有栖川彗

良かった良かった。それでそー君は何処に行きたいのかな？

一篠宗二

ベタなんですけど、ショッピングモールに

一篠宗二

時間帯に余裕があれば色々見に回る予定ですが、それはその時に

有栖川彗

なるほどね。王道とも言える休日の遊び方ってヤツじゃないか

有栖川彗

一応聞いておくけど、お財布は大丈夫なのかい？

一篠宗二

余裕です！先輩は？

有栖川彗

君とおんなじ。よゆーよゆー

有栖川彗

じゃ、行こうか。楽しみにしているよ

一篠宗二

お任せください！

電車で二駅程先にある大型商業施設

若年層の遊び場としては有名な所だ。まさに王道と言っても過言では無いだろう

有栖川彗

ここなら娯楽に困らないね。今の私たちにとって最高の選択だ

一篠宗二

えへへ……先輩にそう言われると嬉しいです！

有栖川彗

そうかいそうかい。私もそう言われて嬉しいよ

有栖川彗

さて、大型ショッピングモールと一概に言っても中には色々入ってる

有栖川彗

何か買いたいものでもあるのかい？

一篠宗二

え、ええ。まあ色々と

有栖川彗

良いねえ。どこであれ一緒についていくよ

有栖川彗

(可愛い後輩からのお誘いなんだ。楽しまなきゃね)

一篠宗二

はい、ここです！

有栖川彗

……わーお

一篠宗二

えーと、まあ聞きたいことはなんとなくわかりますけど

有栖川彗

じゃあ敢えて言うね。こういう趣味でもあったの？

一篠宗二

いや。僕は無いんですけど先輩ってそういう趣味持ってそうだなーって

一篠宗二

持ってなくても似合いそうじゃありませんか？

アパレルショップ。確かに一緒に買い物をするのであれば悪くない選択

問題は取り扱っている品。レディースもの、しかもサブカルや地雷系

有栖川彗

(冷静に。冷静であり続けないと。まだ知られたとは限らない)

有栖川彗

そうかもね。でもさ

有栖川彗

むしろそー君の方が似合うと思うんだよね

一篠宗二

そうですか……ええっ！？着た事無いですよ！

有栖川彗

だって可愛いじゃん。着たら男子だけじゃなくて女子にもウケるよ

一篠宗二

可愛い！？

有栖川彗

ほーら、可愛い

有栖川彗

私が似合うかどうかはともかく、君は絶対に似合うよ

一篠宗二

そ、そんなに言われても？

有栖川彗

あはは、悪かったね

有栖川彗

……買ってみる？

一篠宗二

……買っちゃいますか！

有栖川彗

あはは、衝動買いしちゃったね

一篠宗二

じゃ、レジ行ってきます！

有栖川彗

おっけー！

有栖川彗

(選んだ服はピンクと黒のブラウスとセットのスカートとソックスかあ)

有栖川彗

典型的な地雷系だね。好きなのかな……あれ？

有栖川彗

(もう一着。水色と黒……さっきの色違い。2セットも買うの！？)

有栖川彗

(お財布、大丈夫なのかなあ)

一篠宗二

はい！これは我儘なんですけど……先輩の分も買っちゃいました

有栖川彗

……そこまでして？

一篠宗二

そこまでしてです

有栖川彗

(逃げられなかったか。仕方ない。乗り切らなきゃ)

有栖川彗

(もし口止めする場合、どうするべきだろう)

一篠宗二

だって先輩だって顔とか中性的だしお肌も綺麗じゃないですか

一篠宗二

……ダメ、でしたか？

有栖川彗

(本音か建て前か、それはさておき)

有栖川彗

(可愛いなあ。その可愛さは強力な武器だ)

有栖川彗

(向けられる側としてはたまったものじゃないけどね)

有栖川彗

ダメじゃない。ビックリしただけだよ

有栖川彗

いやあ、可愛い後輩に言われると照れるね

一篠宗二

えへへ

ふと、時計を覗くと針が真上を過ぎていた

有栖川彗

もうこんな時間かあ。お腹空いてない？

一篠宗二

あー……もうこんなに時間が

有栖川彗

ご飯はフードコートで食べる？

一篠宗二

それが一番ラクですね

有栖川彗

なるほど。ハンバーガー

一篠宗二

高級を謳ってるとは家、チェーンの奴ですけど

有栖川彗

まあまあ。私はここの味好きだよ

一篠宗二

良かった。僕もです

有栖川彗

……あまり言うべきじゃない事言っていい？

一篠宗二

っ……ど、どうぞ

有栖川彗

ありがとう

有栖川彗

私さ、時折思うんだ

有栖川彗

そー君の立場が羨ましいってね

一篠宗二

……え？

有栖川彗

うん。財と言う力を持ちながら運命に縛られてない

一篠宗二

しかし、現代において人間は自由という刑罰に処されている。そうでしょう？

有栖川彗

よく知ってんじゃん。でもさ

有栖川彗

君はそれを踏破できる強さを備えて生まれて来た

有栖川彗

私はそう思うよ

一篠宗二

じゃあ先輩だって――

有栖川彗

うーん……どうなんだろうね

有栖川彗

(生まれも、家も、それを継ぐ血筋も)

有栖川彗

(雁字搦めじゃないか。宗二君とは違って)

一篠宗二

ケイ先輩

一篠宗二

もしです。もしも先輩が何かに押しつぶされそうになったら

一篠宗二

その時は、一緒に立ち向かって良いですか？

有栖川彗

……随分とグラビティだねえ

有栖川彗

そんなに懐かれるような事した覚えは無いんだけどな。ははは

一篠宗二

先輩にとってはそうかもしれませんけど、僕にとっては十分すぎる理由です

有栖川彗

そっか……ありがとね

有栖川彗

その時が来たら、頼んでいいかな？

一篠宗二

……はい！ありがとうございます！

有栖川彗

ああ、良かった……で、話変わるんだけどさ

有栖川彗

食べ終わったらどうする？

一篠宗二

ここの中にあるゲーセンと映画に行こうかと

有栖川彗

さっき散財してたけど

一篠宗二

あ、さっき割引とかあったんで割と余裕でした！

有栖川彗

おっけー、食べ終わったら行こうか

一篠宗二

先輩先輩！取れましたよコレ！

有栖川彗

おー！やるじゃん！

クレーンゲームで人気キャラのぬいぐるみを取ったり

有栖川彗

負けられない……ッ！

一篠宗二

僕だって……！

レースゲームで火花を散らしたり

一篠宗二

先輩！？無茶ですよそんな譜面！

有栖川彗

まあまあ。見てなって！

一篠宗二

す、すごい……本当にクリアできる人って居たんだ

有栖川彗

どうだ！これが私の実力だ！

音ゲーの高難易度譜面で遊んだり

有栖川彗

いやあ、ゲーセンって楽しいねえ！

一篠宗二

そうですね。先輩って何でもできますね

有栖川彗

君だってそうだよ

一篠宗二

そうですか？

有栖川彗

うん。そー君だってなんでもできる

一篠宗二

そ、そうですか……あ、そろそろ映画の時間ですね

有栖川彗

もう？時間経つの早いなあ

一篠宗二

そうですね。じゃ、行きましょう！

スタッフロールが流れ切り、シアターの照明が点灯する

有栖川彗

いやあ、良い映画だった

一篠宗二

ええ。ストーリーもさながら、演出も

有栖川彗

見てて拘ってるなーって思ったもん。カメラの使い方とかさ

有栖川彗

それにしても……恋愛ものでこんな面白いもの見るのは初めてだよ

一篠宗二

いえいえ。そろそろ出ましょうか

有栖川彗

やっぱこの時間帯って混むよねえ

一篠宗二

そうですね……まるで寿司ですよ

有栖川彗

すし詰めだけに？

一篠宗二

ええ。疲れているのでこんな事しか考えられません

急停車します。ご注意ください

一篠宗二

うわっ！

有栖川彗

大丈夫かい？……っ！

有栖川彗

(しまった。互いに荷物を網棚に載せてしまったのが間違いだった)

有栖川彗

(こんな密閉空間で向き合ってる時に大きな揺れ。こうもなるか)

有栖川彗

(いや、最初からちょっと触れてる所あったけどこんなに密着するとは)

有栖川彗

(それにしても、焦っていてもこんな冷静に考えられるんだな)

有栖川彗

(あーあ。バレたかも。今の信頼で口を封じてもこの関係にヒビが入るんだろうな)

一篠宗二

えーと……先輩、大丈夫ですか？

有栖川彗

あ、うん。大丈夫……

有栖川彗

(一応ずっと顔とかの動きを見ていたけど……気付いたような素振りはナシか)

一篠宗二

あ、何とか離れられましたね

一篠宗二

とは言っても、少しだけですけど

有栖川彗

あ、ありがとね

有栖川彗

やっと戻ってこれたね……

一篠宗二

ええ。もうすっかり日も沈んじゃいましたね

有栖川彗

面白かったなあ

有栖川彗

でも最後に電車が止まるなんてね

一篠宗二

ええ。本当に。あんなことって起こるんですね

有栖川彗

そうだね……あ、ちゃんと言わなきゃ

有栖川彗

今日は誘ってくれてありがとね。またこうやって遊ぼう！

一篠宗二

……はい！次は何処にしますか？

有栖川彗

それ含め、私も考えとくよ

有栖川彗

じゃ、また！

一篠宗二

ええ！また学校で！

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花海棠(はなかいどう)

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