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藤井日向
恵美まどか
藤井日向
恵美まどか
僕は依頼人にさりげなく聞く。していならしていないでいい。他の人に訊ねるから。
藤井日向
依頼人の話では、その先輩は三年生。依頼人の藤井も二年で被害者も二年。同じ学年の場合もあったけど、滝波は二年だった。先輩という言い方なので三年なのは有効な線だったけど一応聞くことにしたらビンゴだった。三年の先輩は見た感じ5、6人だった。その中の単独か複数人の犯行。
藤井日向
恵美まどか
藤井日向
恵美まどか
僕は甘そうなピンクや黄色、オレンジが彩られている包装紙に包まれた飴を依頼人に渡した。
藤井日向
恵美まどか
藤井日向
藤井日向
飴を食べた依頼人は甘いと笑顔で言った。 甘い、ね…
寺沢杏
藤井日向
そういうと依頼人は体育館の方に行ってしまった。
数人から証言をそれぞれ集めた結果。共通してその先輩が関わっている。相談という名のもとに。 褒めて、次に落として、解決策。相談役としては普通だと言える。けど、解決策の朝練、昼練、放課後、自主練を増やす、記録のデータ化、メンタル管理、戦略、娯楽になる趣味の提示、など一見合理的で、相談した子も嬉しそうにしてる。 でも、それは一部の人間には有効で効果的な策だろう。頭の回る人なら取捨選択できる。本当に必要な部分だけ取り入れて、余計な部分は切り捨てられる。だが、追い詰められている生徒は違う。言われたことは全部やらなきゃ、と思ってしまう。真面目な生徒なら尚更のこと。褒められた期待を裏切られたくない、落とされた評価を覆したい、提示された正解に縋りたい。世の中は強い人間は少ない。心が弱い人間が大半だ。馬鹿真面目に言われたことを遂行しようと頑張る。その結果、時間が足りなくなる、部に力を入れすぎやストレスによって睡眠不足、余計に余裕がなくなる。悪化する。つまり、その先輩ひ助けているように見えて"選別"している。処理できる者だけが生き残って、処理できない者は自滅する。
恵美まどか
直接潰さない。圧もかけない。それは部に顧問がいるし、自分の責任でどうとでもなる。ただ理想像を提示し続けている。顧問の圧に耐えられない部員は相談役の先輩に救いを求めに行く。だが、そこで与えられるのは高度な課題。悪気はないんだろう。悪意でもない。聞いた感じ、優しそうだ。それが厄介だ。その先輩は本気で正しいと思っている。自分で乗り越えて来たから無自覚に思う。できないのは努力不足とか。そして部の空気は感染する。無気力は感染じゃなくて自己防衛だ。限界が来た部員たちの。問題は顧問でもその先輩でない。構造だ。だけど、今回の引き金は確実にその先輩。
恵美まどか
まだ自覚があったら物はいいようだ。そういう人の対処は分かる。その先輩の話聞いていなから断定はできないけど
恵美まどか
滝波涼
ちょうどその時、滝波が来た。急いだのか若干汗をかいている。手には束にされている紙の資料。僕はそれを受け取って中身を確認する。そこにはこれまでの不登校者や提示された解決策、それでどうなったか、などいろいろ記されている
恵美まどか
滝波涼
恵美まどか
滝波涼
恵美まどか
滝波涼
滝波はもう一つ頼んだことの用事で、僕の真相に辿り着いたみたい。クールで人に興味なさそうに見えるのに中身は優しくて人想いだ。どこかの生意気な後輩を思い出す
恵美まどか
理想は光に当てれば重さが露わになる。煽りは、構造を可視化すれば力を失う。人はいつも直接手をくださず追い詰める。 さて、あの先輩は自分が何をしているのか自覚した時、壊れる側か、変わる側か。どっちなんだろう
ガチャ
???
恵美まどか
朝の授業が始まる前の時間。誰もいない教室に僕はある人を呼び出してもらった。昨日滝波にお願いしていた一つの用事だ。
恵美まどか
???
???
恵美まどか
???
恵美まどか
恵美まどか
無駄な話はしないで簡潔に言い放つ。
???
恵美まどか
僕は手に資料を持って見せる
恵美まどか
大野咲
口角を上げて笑っている。さっきまでの足を閉じた丁寧な座りと変わって椅子に深く座り、足を組んでいる
大野咲
静かな挑発。僕は頷く
恵美まどか
カウンセラーのようなことをしていただけで法律上問題はない。罪に囚われるかというと問われない。
大野咲
恵美まどか
大野咲
一瞬目を細くして、あっさりと認めた。
大野咲
この先輩も被害者側にもなる。圧をかける顧問がいなければこいつも今回のことはやっていなかった可能性もある。あの事件も起こらなかっただろう
恵美まどか
僕は言いかけて止める。意味がない。この人は倫理で動いていない。効率で動いている。そんな人に理論を述べても無意味だ。だから、
恵美まどか
大野咲
僕の質問の意味がわからないのだろう。不思議そうに自分が飲んだであろうペットボトルを見ながら答えた
恵美まどか
大野咲
恵美まどか
大野咲
恵美まどか
それを言った瞬間、その子の愛想笑いの表情は初めて崩れた
恵美まどか
そうじゃなかったらさっき中身が違うことに気づいたはず。味がわからないから他の器官に頼ることになる。視覚、見たものの情報で味を判断したのだ。
大野咲
恵美まどか
だから、他人にも同じ負荷をかけられる。壊れかけている人ほど、これで乗り越えたという成功体験に固執する。
恵美まどか
同じ痛みに耐えられる人を。同じ温度で、同じ鈍さで、自分が見てる、感じている世界を共有できる人を
大野咲
恵美まどか
沈黙が落ちる。部の無気力の正体は感染でもなく、構造でもある。だがらもう一つ。壊れた基準値の伝播だ。限界を超えた人がそれを標準にしてしまうこと。
恵美まどか
人は自分が嫌いな人間の言うことは聞きたくない、イラッとすることが多い。それでストレスは溜まるだろう。けど、限界が来る前に他の先生に相談するとか、部活を辞めるとか他にもたくさん方法がある。それなのに今回のようなことが起きたのは、相談役がいたからだ。一見すると優しくて相談にも乗ってくれる先輩。人は優しくされるとそれに応えたい、返したいと思う。それが裏目に出たのだろう今回のことは。解決策が同じ内容だとしてももし顧問に言われたとしてもやらない、もしくはやってる風を装うだろう。
朝日が机のペットボトルを照らす。それをじっと見つめながら、その子は言葉を失っていた
恵美まどか
静かに言うとその子は顔をあげて自嘲気味に笑った。
大野咲
正論だ。僕は肩をすくめる
恵美まどか
そう僕がいうとドアが開いて滝波が入ってくる。ドアの向こうで会話は聞いてもらった
大野咲
滝波涼
大野咲
滝波涼
大野咲
恵美まどか
大野咲
恵美まどか
合理主義者には倫理よりこっちの方が効く。滝波が先輩に向かって言う
滝波涼
大野咲
さっきの資料といい、前からやってきたんだろ。これ以上被害が出ないために。そのおかげか、特に酷かったバスケ部以外、他の運動部もあまり人数出てなかった。
滝波涼
滝波の言葉で部屋の空気が変わる。先輩も驚いている。
滝波涼
滝波は先輩に静かに挑発する。目には瞳の水色の目に負けないぐらい熱い炎が宿っているように見える。
大野咲
先輩は椅子を立ち上がる。その瞳には滝波に当てられたのか光が少しある。
滝波涼
大野咲
そう、休日ではない。平日。後数十分で一限が始まる
滝波涼
恵美まどか
多分、先生なんだろうけど鬼軍曹とは?よっぽど厳しい先生とかかな
滝波涼
恵美まどか
一応教師側には事情を話しているから怒られるなんてことはないと思う
滝波涼
本当にその教師が嫌いなんだろう。遠い目をしている
大野咲
滝波涼
先輩に言った後、僕を見て急ぎ足に言いたいことを言うと風のようにどこかに行く。嵐のような子だな
大野咲
恵美まどか
大野咲
恵美まどか
大野咲
それだけ言い残して先輩もここからいなくなった
恵美まどか
数日後。部活での空気は変わった。大野と滝波によって。保健室の利用は少なくなっているそうだ。奏養護教諭だったかな、その人は滝波と協力して前から被害者を救うために準備していたらしい。そのおかげで学校側からも対応しているそうだ。他にも教育委員会で、新たに他の学校の見直しもするそうだ。
藤井日向
礼を言いにしたのか依頼人が校門前まで来ていた。
恵美まどか
藤井日向
恵美まどか
依頼人と会ったあの日。昼の時間。あの不自然さ。少し沈黙してから彼女は答えた。
藤井日向
昼休みの自主練。実質強制に近い。部の空気が変わる前までの圧。
藤井日向
その行動は正解だ。次期部長候補と言われていた1人が病院に入院。必然的に次の人に狙いはくる。怒鳴られるわけでもなく、殴られるわけでもなく。物理的ではなくて精神的。期待するような声、失望のため息。
藤井日向
だから外にいた。だから僕とぶつかったり偶然だけど逃避の延長線上に依頼があった。
恵美まどか
依頼がなくても滝波たちは遅くても解決はしていただろうけど、あくまで生徒と教師の数人の行動。また、いつどうなるかは未知数だ。ネストに依頼されたから見直しもされることになった。藤井の行動には意味があった。
藤井日向
恵美まどか
自分の殻を壊したからか、あの真反対の味がする飴を包装紙で甘いと判断していた藤井の味覚は正常に戻った。
藤井日向
恵美まどか
藤井日向
自分たちでできることを一歩ずつ踏み出していってる。凄いことだ。滝波同様彼女も強い人だ。
恵美まどか
滝波涼
いつの間にか来ていたのか滝波がいた。足音しなかったし気配消したな
恵美まどか
滝波涼
こいつは人からの好意を素直に受け取れないのか。本当にあの生意気な後輩にそっくり。もしかして親戚とかだったりして。そんなことを思ってると何やら声がした。
先生
滝波涼
なるほど、アレが噂の鬼軍曹。確かに怖そうだ
藤井日向
わぁ。滝波の鬼軍曹といい、藤井の閻魔もなかなかネームのセンスがある。藤井は見た目のわりに強かな部分もあるな
滝波涼
恵美まどか
二人は小走りで教師のいる方とは逆の東昇降口から教室に戻って行った。二人とも表情には出さないけど感情が行動に現れるタイプだった
二人と別れた後、僕は事務所まで一人で歩いていた。昼前の空はやけに静かだった。逃げることは壊れるよりマシ。さっき自分が言った言葉が胸の奥で反響する。壊れるより。じゃあ僕はどうだ?大衆を諦めているのに諦められていない。滝波や藤井のような人が、美しい心を見せる人がいるから諦めきれていない。そう言う人は有象無象とは違い一握りぐらいしかいないのに。大半は善良の市民のふりをした自己中の集まりだ。僕の心は趣味だった絵を納得できるような絵は描けなくなってしまった。僕の心はもう黒く塗り潰されてしまぅたから。
???
恵美まどか
誰かにつけられていたのは知っていた。でもこいつだとは思わなかった
神流慈無全
いや、警戒するなって方が無理あるだろう。どうする、誰かに連絡を
そう思って、視線を変えようとした時、近くの路地にきっちりとしたスーツ姿の人が立っていた。それも複数人。胸元のバッジアレはどう見ても
恵美まどか
僕が小さく呟くと、あいつはわずかに口角を上げた
神流慈無全
嘘だ。普通の警察が事件性の低い学校のトラブルに来るはずがない。警察には通報してないはずだし。ましてや、僕をつける意味がない。
神流慈無全
恵美まどか
帽子で顔を隠してるから特定できない
神流慈無全
そう言って目線は変えずに言う。僕らを観察してるあいつらか
恵美まどか
時代に沿って文化とかが変わるのと同じで変化するのはいつの時代も同じだ
神流慈無全
別に揺らしたつもりはない。本当なら何かしら罰を与えた方がいいんだろう。再発防止で。けど、他のやり方があるならそれに越したことはない
神流慈無全
恵美まどか
神流慈無全
恵美まどか
公安がいるんだ。あの人数差で勝てるわけがない。けど捕まえるならとっくにしてるはず。何か別の目的があるに違いない
神流慈無全
恵美まどか
神流慈無全
あいつの視線がまっすぐ僕を射抜く
神流慈無全
ああ、そういうことか。僕は小さく笑う
恵美まどか
忠告なんていうから、てっきり何か言われると思ったのに。予想と違って敵に塩を送るみたいで笑えてくる。勧誘の次は忠告だし
神流慈無全
恵美まどか
神流慈無全
恵美まどか
神流慈無全
あくまでも忠告か。こっちがそちらの不利益なことをしたら容赦はしないという。
神流慈無全
壊すつもりなんてない。ただ見えるようにしてるだけ。
恵美まどか
神流慈無全
痛いところを突くなぁ。僕か、国民か、政府か。そんなの人による。そもそもそんなものないのか。多数派が決めたルールだ。嘘に等しい基準値。
神流慈無全
何で藤井との会話を知っている。やはりその時から見られていたのか。
神流慈無全
足音は遠ざかる。路地にいた人たちもどこかに行った。
恵美まどか
警察という名の政府関連も動いている。それも偶然見かけた距離ではなく、尾行だ。つまり、観察対象。政府関係とあいつが直接仲間とは限らない。だけど、安定維持側である可能性は高い。社会は基本的に、犯罪、死人、証拠が揃うと動く。今回のようなことは基本的に動かない。そこで対処させる。そこに僕が加入した。扱いづらい、ね。一部ではなく全体を疑う。組織からすればトカゲの尻尾取りみたいなことできないから警戒するのは当たり前。探偵はグレーな線が多い。だからネスト不要論なんて唱えられている。僕もそっち側だから理解できる。あいつらにわかられても皮肉しかない。今日のは目をつけられただけ。警告だ。これ以上踏み込むならあちらも容赦はしないという意味の。
僕は空を見上げる。 大衆に期待していないのに完全に見捨ててもいない。どっちつかずの揺れている状態。少し傾けばそちら側にズルズルと傾くような危うい立ち位置。僕は正義感で動いていない。ただ疑うはずのない善人の人が被害を喰うのが嫌なだけ。もう見たくないし、これからも二度と起きてほしくない。
恵美まどか
僕の問いは空に溶けていった。