夜の通学路。
昼間は学生や会社員で賑わうが、夜は人通りが少なく静かだ。街灯の光がぼんやりと道を照らす。
そんな道の端に、1台の車が停まっている。窓は曇り、車体は一定のリズムで揺れている。
夏帆
今日の数学、マジで意味わかんなかったんだけど〜

陽菜
え、わかる。先生の説明、途中から呪文だったよね

夏帆
ほんとそれ。てかさ、駅前のカフェ、新作のいちごパフェ出たらしいよ!

陽菜
え、行きたい!てか、明日放課後行こ!

夏帆
オッケー!そういえば、帰り道こっちで合ってる?

陽菜
うん、こっちのほうが駅近いし。てか、この辺、昼間は人多いけど、夜はめっちゃ静かじゃない?

夏帆
ねー、ほんとに。……あれ?

彼女の足が止まる。視線の先には、リズムよく揺れる車。
陽菜
ん?どした?

夏帆
…あの車、なんか変じゃない?

陽菜
…え、やば…揺れてる……

夏帆
しかも、なんかさ……一定のリズムじゃない?

陽菜
……ほんとだ。ガタ、ガタ、…ガタ、みたいな…

夏帆
これって…まさか……

陽菜
……普通に、エロくない?

夏帆
うわ、言っちゃった(笑)

陽菜
だって、やばいでしょ……こんな通学路のど真ん中で…

夏帆
ねぇ、これって絶対…あれだよね?

陽菜
……うん…てか、こんなとこで…マジで?

夏帆
っ………え、聞こえた?

陽菜
聞こえた……てか、無理無理無理!やばすぎ!

夏帆
うちら、今めっちゃやばいもの目撃してるよね!?

陽菜
てかさ、あの揺れ方……なんかリアルじゃない?

夏帆
うん……ちょっとエグい…

陽菜
映画とか漫画じゃなくて、こういうのガチで見ると……なんか、やばいね……

夏帆
ねぇ、早く行こ!これ以上いたら、なんか変な気分になりそう!

陽菜
わかる!!やばいやばいやばい!!

二人は顔を赤くしながら、小走りでその場を去る。
その背後では、
なおも一定のリズムで揺れ続ける車…。
海斗
なあ、さっきの子たち、めっちゃ動揺してなかった?

穂乃香
んー?なんか言ってたね。……あれ?

海斗
……え、嘘でしょ?

穂乃香
……ねぇ、これって、あれ…だよね?

海斗
いや、どう考えてもそうだろ……てか揺れ方エグくない?

穂乃香
うわ、待って…なんか、すっごい……ねっとりしてる…

海斗
昼間の駐車場とかじゃなくて、こんな道端でやる?

穂乃香
……やば、興奮してきた…

海斗
お、おい(笑)

穂乃香
だって、見てよ……あの揺れ方…ずっと同じリズム…

海斗
お前、まさか想像してる?

穂乃香
だって、あれ絶対…中で…でしょ?

海斗
……まぁ、そうだろうな……

穂乃香
はぁ……ねぇ、ちょっと覗いちゃダメかな?

海斗
お前、マジで言ってんの?

穂乃香
ちょっとだけ……ね?

彼女はそっと車に近づこうとする。
彼氏は慌てて腕を引く。
海斗
ダメダメ!バレたらどうすんだよ!

穂乃香
えー、でも、こんな場所でやってんだから、覗かれても文句言えないでしょ?

海斗
お前さ…興奮してるだろ?

穂乃香
うん……めっちゃ…

海斗
マジかよ…

穂乃香
ねぇ……しよ?

海斗
……は?

穂乃香
だって、見てたら我慢できなくなってきた……

海斗
おいおい…

穂乃香
ダメ?

海斗
……っ、ホテル行くか…?

穂乃香
ううん……ここで……

海斗
お前マジで言ってる?

穂乃香
だって、あの人たちみたいに、ここでしちゃったら…もっと興奮しそう…

彼女は彼のシャツを引き寄せ、耳元で甘く囁く。
彼の喉がごくりと鳴る。
海斗
……はぁ…お前、ほんと…

カップルは、車の陰へと消えていく。
夜の通学路には、いくつもの熱が渦巻いていた。