実玖はミッキーを見つけたので写真を撮ることにした。
海晴
(ミッキーの前で目をキラキラさせているお前を、少し離れた場所から見守る。写真を撮るために伸び上がるお前の横顔があまりにも可愛くて、思わず息を呑む。携帯を持つ手が少し震えているのがここからでも分かった。ミッキーがお前に向かって手を振ると、お前は楽しそうに笑いながらポーズを取る。)

海晴
(その姿を写真に収めながら、俺の心臓も一緒にカシャッと音を立てる。写真を撮り終わったお前が振り返って俺を見る。俺は咄嗟に顔を逸らしたが、耳まで真っ赤になったのを隠せなかった。)

実玖
海晴くんも一緒に撮ろうよ。

海晴
(耳まで赤くなったまま、ゆっくりとお前の方を向く。心の準備ができていなかった俺は、急に声をかけられてビクッと体を震わせた。)
は?俺も?なんでだよ....。(戸惑いながらも、内心では一緒に写りたいという気持ちが大きく揺れ動いている。俺は髪をくしゃっと触りながら、照れ隠しをする。)

海晴
(カメラを構えるキャストさんの声に従って、ぎこちなくお前との距離を詰める。ミッキーの大きな手が俺たちの肩を包み込む中、俺は緊張でいっぱいだ。パシャッと写真が撮られる瞬間、俺は思わずお前をちらりと見てしまう。すると、目が合ったお前がニッコリ笑いながらピースサインをする。)

海晴
(その瞬間、俺の心は完全に盗まれてしまった。写真を確認すると、ミッキーを挟んで俺とお前が並んでいる。俺はお前を見ていて、お前は俺を見ている。二人とも目が合っている。ミッキーは二人の頭を撫でているように見える。まるで今の関係を表しているかのような一枚だった。)

実玖
わぁ…!いい写真。

海晴
(お前が写真を眺めているのを横目で見つめる。さっき撮ったばかりのその写真には、俺たち二人が映っている。ミッキーと一緒に映っているはずなのに、俺の視線はお前にしか向かない。).....まあ、別に。いい感じじゃねえか。(素っ気ない口調とは裏腹に、声が少し上擦ってしまう。お前の横顔を盗み見ながら、心の中で「いい写真だな」と独りごちる。)

実玖
この後、夜にショーがあるんだけど、見る?

海晴
(ショーという言葉に、一瞬だけお前と見た夜空を思い出す。この間、寒い中で見たあの花火大会の光景が、ふっと脳裏をよぎった。).....別に、どっちでもいいけど。(素っ気を装ってはいるものの、内心では見たいという気持ちが大きい。お前と夜のディズニーで見るショーなんて、どれだけ特別なことか、想像するだけで胸が高鳴った。)

実玖
じゃあ見ようよ。

海晴
(その言葉に、顔が一瞬だけ赤くなる。すぐに顔を逸らして、誤魔化すように髪をくしゃっと掻いた。)...わかったよ。どうせ暇だしな。(ぶっきらぼうに言い放つが、その声は普段より少しだけ上ずっている。夜に向けて、妙にそわそわした様子で歩き始めた。)

そしてショーの時間になり、2人は少し離れたベンチに座る。
海晴
(空が暗くなり、ショーが始まる。派手な花火とともに流れる音楽に合わせて、多くの人々が歓声を上げる中、俺も知らないうちに心が躍り始める。そのとき、ふと冬の花火大会の記憶が蘇る。あの時も、お前は今みたいに俺のすぐ隣にいて、可愛らしい声で感嘆の声を上げていた。そんなお前を、俺はただぼんやりと見つめていたんだ。)

海晴
(そのとき、ショーが最高潮に達し、大きな花火が空に咲き誇る。その瞬間、隣からお前の感嘆する声が聞こえる。)

実玖
(実玖は目を輝かせる)綺麗だね......!

海晴
(お前が目を輝かせながら言う姿に、思わす視線が釘付けになる。冬の花火大会の時と同じ、無邪気な表情が俺の心を揺さぶる。).....そうだな。綺麗だ。(短く答えながらも、目はお前から離せない。夜の冷たい空気が頬を撫でても、心の中は熱く燃え続けていた。)

ショーが終わり、人々が席を立つ時間になる。海晴と実玖もベンチから立ち上がる。
海晴
...帰るか。(その言葉を口にするのが少し寂しくて、つい髪を触る。帰ったらこの特別な時間が終わってしまう。そう思うと、なぜか胸がざわついた。)

実玖
今日、めっちゃ楽しかった!また行こうね。

海晴
(お前のその無邪気な笑顔に、心臓が大きく跳ねるのを感じる。思わず顔が赤くなり、慌てて視線を逸らした。).....べ、別に楽しくなんかねえし。ただ、つまんなかったよりはマシだったってだけだ。(口ではそう吐き捨てるも、耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる。くそ、なんでこんなに顔が熱くなんだよ。)

2人は駅に向かう。電車はありえないほど混んでいた。
海晴
(電車内は人で溢れかえっていた。仕方なく、お前を自分の胸元にぎゅっと引き寄せる。こうしないと、お前が他の人に押されてしまいそうだったからだ。).....我慢しろよ。ちょっと窮屈だが。

実玖
電車混んでるし、仕方ないよね。

海晴
(お前の返事に少し同意しながらも、心の中では別のことを考えている。こんなに密着していると、お前の匂いが直接鼻先に届く。甘い香りが頭をクラクラさせ、判断力を鈍らせた。)...そうだな、仕方ねぇか。(そう言いながらも、心拍数は急上昇している。できることなら、この瞬間がもう少し長く続けばいいのに。そんな思いが浮かんで消えた。)

そして電車は最寄駅につき、一斉に人が降りる。はぐれないように2人は手を握る。
海晴
(電車を降りる際、はぐれないようにと咄嗟に手を握った。小さくて柔らかいお前の手の感触に、一瞬頭が真っ白になる。).....お前、手ちっちゃいな。

実玖
え?そうかな?

海晴
(俺は思わず口から飛び出した言葉にハッとする。慌てて言い訳を重ねた。)あ、いや...ただ、俺が大きいだけか。まあ、とにかく...はぐれんなよ。(照れ隠しで少し強く手を握り直す。本当は、この手を離したくないという気持ちを悟られないように。)

そして人で溢れかえった駅から出て、夜の街を歩く。都会の夜はキラキラしていた。
海晴
(人混みを抜けて、ようやく駅前のロータリーに出る。まだ手は繋いだままだった。)...あー、マジで。なんでこんなに人が多いんだよ。都会はどこもこうなのか?(そう文句を言いながらも、お前と手を繋いでいることを確認するように、時々指を動かす。)

実玖
めっちゃ楽しかった。人混みは疲れたけど。(実玖は今日ディズニーで買った海晴とお揃いのサングラスを見つめる)

海晴
(お前が今日買ったサングラスを眺めている様子に目を向ける。お揃いのものだと意識すると、なんだか気恥ずかしくなった。)...なんだよ。それ、そんなに気に入ったのか?

実玖
これ、可愛くない?

海晴
(お前の質問に一瞬言葉に詰まる。可愛いとは思うが、それをそのまま口にするのは何だか負けた気がして悔しい。)…まぁ、別に...悪くないんじゃねえの。お前がつけてると、ちょっと...似合ってるし。

実玖
(実玖は笑う)

海晴
(笑うお前を見て思わず顔を背ける。夜の街灯に映えるお前の姿があまりにも綺麗で、直視できなかった。)笑うなよ、バカ。似合ってるって言ったのは撤回だ、撤回。(そう言いながらも、内心ではお前の笑顔にときめいていることを自覚している。)

海晴
(歩きながら、ちらりとお前の表情を窺う。今日の出来事を振り返っているのか、終始楽しそうに微笑んでいる。)...お前さ、今日は楽しかったか?ディズニー。(問いかけると、なんだか緊張する。お前の答えによっては、今後の俺の行動が決まる気がした。)

実玖
めっちゃ楽しかった!

海晴
(お前が楽しかったと言ってくれることに、胸の奥がじんわりと熱くなる。俯いたまま、かすかに震える声で呟く。)...そ、そうか。お前がそう言うなら...まあ、よかったんじゃねぇの。(照れくさくて、お前の顔が見れない。代わりに、手をぎゅっと握りしめた。離したら、この気持ちがどこかに行ってしまいそうだった。)

実玖
次はどこ行く?

海晴
(その言葉に、思わず顔がパッと明るくなる。次、という言葉が意味するのは、またお前と一緒に過ごせるということだ。俺の心臓が、期待に満ちて高鳴り始めるのを感じる。)...次は...どこでもいい。お前と行ければ、俺はどこでも楽しいから。

海晴
(言ってから慌てて、ぶっきらぼうに言葉を続ける。素直すぎる台詞を吐いてしまった恥ずかしさを、誤魔化すように。)...だから、お前が行きたいところならどこでも連れてってやるよ。...ほら、早く考えろ。

実玖
うーん。どうしようかな。

実玖
海晴くんとならどこ行っても楽しい気がする。

海晴
(その言葉に、一瞬息を止める。予想外の返事に心臓が大きく跳ね、顔がカッと熱くなるのを感じた。思わず立ち止まり、握っていた手に力がこもる。).....っ、バカじゃねーの。んなこと言われたら、俺が決めなきゃなんねーだろーが。(照れ隠しに荒げた声は、夜の空気に白く染みて消えた。お前の顔をまともに見れず、視線はきょろきょろと彷徨う。どこに行こうかなんて、全然考えていなかった。)

実玖
(実玖は笑う)

海晴
(笑うお前を見て、ますます顔が赤くなる。自分がからかわれているような気がして、少し拗ねたような表情を浮かべた。)笑うなよ。.....ったく、じゃあ俺の好きなところに連れてっても文句言うなよ?(ぶっきらぼうに言い放つが、その瞳の奥には期待の色が隠しきれていない。握っていた手をそっと離し、今度はお前の制服の袖を軽く掴む。)

実玖
うん。(笑顔で頷く)

海晴
(掴んだ袖に少し力を込め、歩調を緩める。夜の街路を照らす街灯が、お前の横顔を優しく映し出す。その無防備な横顔に、思わず喉が鳴った。)...ふーん、じゃあ決まりな。どこ行くかは俺が考えておくから、お前はただ着いてこいよ。

海晴はそっぽを向きながらも、口元が緩んでいるのを隠せない。二人分の足音だけが、静かな住宅街に響いていた。