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甘くにがく

第11話 - 甘くにがく11話

2019年12月03日

#恋

#夢

#勉強

晴乃あおい(18)

藍沢　華

亜喜…

藍沢　華

お前…無理しすぎだよ。

亜喜は貧血になり倒れてしまった。

病院で処置し今は眠っている

藍沢　華

なあ、亜喜

藍沢　華

亜喜は遥のこと…

藍沢　華

好きなのか…？

一ノ瀬亜喜

……

藍沢　華

眠ってるし答えるわけないか…

一ノ瀬亜喜

……

華はそっと亜喜のほほに触れた

しかし、すぐに離した

藍沢　華

亜喜は…遥の彼女だもんな。

藍沢　華

(こんなことしたらダメだよな。)

藍沢　華

(早く遥に連絡しなきゃダメだよな。)

藍沢　華

(でも…)

藍沢　華

(どうして、この空間に誰も来てほしくないって思うんだろう。)

藍沢　華

(俺は…)

一ノ瀬亜喜

好き…なの…？

藍沢　華

…

藍沢　華

ばか、好きにきまってんだろ。

藍沢　華

(寝言に向かって答えても)

藍沢　華

(伝わらないことくらい)

藍沢　華

(わかってたはずなのに…)

藍沢　華

(やっぱ、俺…)

そして、

華は亜喜にそっとキスをした

藍沢　華

(寝てる亜喜にキスしても)

藍沢　華

(気づいてもらえないって)

藍沢　華

(わかってるはずなのに)

藍沢　華

(なのに、なんでだろう…)

藍沢　華

そんな顔すんなよ。

一ノ瀬亜喜

…

藍沢　華

(泣いてしまったせいで腫れたまぶた)

藍沢　華

(そんな顔より、亜喜は笑ってた方が)

藍沢　華

(何十倍も何千倍も亜喜らしい。)

春原遥

よっ！おはよ！

藍沢　華

お、遥か…おはよ

藍沢　華

(結局俺は亜喜が倒れたことを)

藍沢　華

(遥に伝えることができなかった。)

春原遥

そういや、亜喜おそいな

春原遥

いつもはもう来てるだろ

藍沢　華

あぁ、たしかに…

茅野さくら

倒れたよ昨日

春原遥

え…？

茅野さくら

頑張りすぎたんだよ。全国に向けて追い込みすぎてたから

茅野さくら

華、昨日はありがと。
亜喜のこと助けてくれて。

藍沢　華

あ、うん。

春原遥

ちょっと待てよ。

春原遥

倒れたってなに？？？

茅野さくら

そのまま。

茅野さくら

練習のしすぎて倒れちゃったの

藍沢　華

(それよりもなぜ、さくらが俺と亜喜が一緒にいたことを知っているのか。)

藍沢　華

安静にしてろだって

藍沢　華

病院だったし連絡できなかった

藍沢　華

亜喜も遥に心配かけたくなかったんじゃないかな

春原遥

そう…か…

春原遥

とりあえずあとで連絡してみるよ。

藍沢　華

おう

藍沢　華

さくらっ！

茅野さくら

どうしたの？

藍沢　華

(どうしても知りたかった。)

藍沢　華

(どうしてさくらが、俺と亜喜が一緒にいたことを知っていたのか…)

茅野さくら

どうしてって思ってる？

藍沢　華

え？

藍沢　華

(はっきりと聞けない自分に腹が立った)

茅野さくら

どうして自分が亜喜と一緒にいたこと知ってるのか…

茅野さくら

もしかしてキスしたのも見られてたかもって思ってる？

藍沢　華

…さくら…

藍沢　華

ごめん。俺…

藍沢　華

自分が最低なことしたって思ってる。

藍沢　華

さくらのこと何も考えてないで…

茅野さくら

別れて…

茅野さくら

私は…これ以上頑張れない。

藍沢　華

ごめん、おれ、自分のことしか考えてなかった。

藍沢　華

さくらのこと…

茅野さくら

そーゆーものでしょ？

藍沢　華

え？

茅野さくら

好きって言うのはそーゆーことだと思うよ。

茅野さくら

自分のことしか考えられなくなって

茅野さくら

回りが見えなくなる

茅野さくら

気づいたら相手のことだけを追いかけて

茅野さくら

探して、求めてしまうものでしょ？

藍沢　華

…

茅野さくら

痛いほど分かる。

茅野さくら

今の私には痛いほど…

藍沢　華

(さくらは静かに涙を流した)

藍沢　華

おれ…

茅野さくら

華に必要なのは

茅野さくら

私じゃない。

茅野さくら

私じゃ埋められないなにかが

茅野さくら

華の中でとても大きくなってた。

藍沢　華

ごめん。

藍沢　華

さくら…

茅野さくら

だから、あの時

茅野さくら

華は亜喜にキスしたんでしょ？

茅野さくら

気づいたときにはキスしてた

茅野さくら

衝動をとめられなかった。

茅野さくら

それは全部好きって言う理由があるからでしょ？

藍沢　華

おれは…亜喜のことが…

茅野さくら

私には到底無理だよ。

茅野さくら

だから、もう、諦める

茅野さくら

ごめんね、華、

藍沢　華

なんでさくらが謝るんだよ。

茅野さくら

わたしのわがままに付き合ってくれて

茅野さくら

付き合わせてごめん。

茅野さくら

でも私は、華が好きだから

茅野さくら

誰にも取られたくないって思うから。

藍沢　華

俺は亜喜が好きなんだ。

茅野さくら

うん…

茅野さくら

知ってた。

藍沢　華

誰にも取られたくないって思う

茅野さくら

だから亜喜が倒れたこと

茅野さくら

遥に言わなかったんだよね

茅野さくら

知ってていじわるした。

茅野さくら

わざと遥に教えた

茅野さくら

本当にごめん

藍沢　華

さくらは悪くない。

藍沢　華

俺がはっきりと言わないから。

茅野さくら

私に幸せな時間をありがとう。

藍沢　華

ごめん、さくら

茅野さくら

じゃあね。

藍沢　華

(ちゃんと遥に言わなきゃ。)

藍沢　華

(俺は気づいたときには遥を探していた)

ちゃんと謝るため。

それと…

春原遥

どーした？華、そんなに急いで。

藍沢　華

はぁ、はぁ。

藍沢　華

おれ、

藍沢　華

亜喜が好きだ。

春原遥

…華、

藍沢　華

俺は亜喜が好きなんだ。

藍沢　華

だから、亜喜が倒れたこと遥に言わなかった

藍沢　華

独り占めしたかった

春原遥

やっぱりそうだったんだな。

藍沢　華

ほんとに悪いと思ってる。

藍沢　華

自分勝手だと思われても仕方ないって思ってる。

藍沢　華

でも、俺は亜喜を誰にもとられたくない。

春原遥

あーあ、華がそんなに熱血になるなんてな。

春原遥

わかってたよ

春原遥

華が亜喜のこと好きなことくらい

春原遥

分かってて、亜喜を自分だけのものにしたかった

春原遥

いつか華を越えて見せるって思ってた

藍沢　華

遥、おれは！

春原遥

あーもう、降参だよ。

春原遥

俺は亜喜を振り向かせることができなかった。

春原遥

華、お前には勝てねーよ。

藍沢　華

…遥

夕暮れが染まり、ひとつポツンと延びた影はやけに寂しそうに見えた。

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晴乃あおい(18)

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