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引いては満ちてを繰り返す。
お互いの指を絡め
足跡を残しながら
波打ち際を歩く。
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲は上着を脱いで、小峠に掛ける。
南雲梗平
小峠華太
上着を通して、ふわっと南雲の香水が香る。
小峠華太
地平線に沿うように、光芒(こうぼう)が何処までも続いている。
南雲梗平
小峠華太
南雲は小峠に返事を返さなかった。
光芒が満ちる海へと、南雲が足を踏み入れる。靴のまま。
小峠華太
それでも南雲は歩みを止めず、膝まで海に浸かった辺りで、小峠の方に振り替える。
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
小峠華太
南雲梗平
潮が満ちていく。南雲を連れ拐おうとするかのように。
小峠華太
波に連れ拐われてしまおうとする南雲を助けるために、小峠も靴のまま海へと入る。
小峠華太
必死に南雲へと手を伸ばす。
南雲梗平
南雲は、小峠の手を取ろうとしなかった。
南雲梗平
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
南雲は小峠に背を向け、光芒に向いて、歩を進めていく。
小峠華太
小峠も南雲の後を追うが、距離がありすぎた。
南雲は大きな波と共に、海へと消えた。
小峠華太
小峠華太
胸を引き裂かんばかりの小峠の慟哭(どうこく)が、響き渡る。
肩に掛けられた、南雲のジャケットを握り締め、その場に蹲(うずくま)る。
微かに残る南雲の匂いが、小峠の心を深く深く切り裂いていく。
ネクタイのノットに指を掛け、外そうとするも、背後に気配を感じ、手を止める。
和中蒼一郎
南雲梗平
和中蒼一郎
南雲梗平
和中蒼一郎
南雲梗平
南雲梗平
南雲の口から、意外な言葉が飛び出す。
和中蒼一郎
華太と南雲は付き合っていた。
南雲は華太を大事にしていた。まるで壊れ物を扱うかのように。
南雲梗平
それと同時に、物凄く、嫉妬深かった。
他の男が華太と話していると、必ずといっていい程に、華太の肩に腕を回し、周りを牽制(けんせい)してたくらいだ。
和中蒼一郎
そんな南雲が、華太を俺に頼むと言っている。
南雲梗平
和中蒼一郎
南雲梗平
南雲梗平
その気持ちは分かる。俺も青空を閉じ込めたかのような華太の瞳が好きだからな。
南雲梗平
南雲梗平
南雲は、こんなにも深く、華太を愛していたのか。だから、華太は南雲を選んだのか。今になって、華太が南雲を選んだ理由が分かった気がした。
和中蒼一郎
南雲梗平
南雲梗平
俺の返答を待たず、南雲は陽炎のように闇に溶け
一羽の蝶が、ひらひらと俺の目の前を横切っていった。
和中蒼一郎
南雲の願いを叶える為に、華太の元へと向かう。
悲しみに暮れる華太を、俺の腕に閉じ込めるために。
おわり
あとがき 今、なぐかぶ書くと全部シリアスになりそうで嫌だ( ω-、)大塚愛の『プラネタリウム』聞きながら書いてるから、余計、悲しくなる。 胡蝶の夢とは、自分と物の区別がつかない境地(きょうち)。夢と現実と区別がつかないことを例える言葉。 夢の中で胡蝶が、ひらひらと飛んでいた所で、目が覚めたが、はたして自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも実は夢でみた蝶こそが本来の自分であって今の自分は蝶が見ている夢なのか、という荘子の説話。