菜緒
ねーほら早く〜
笑い声と
帆稀
いや…だ、
葵
帆稀〜やれって
苛立ちを含む声
気持ち悪い
可愛そうだよね…
でも止めたらさ…ね?
うるさい
菜緒
まだなわけ?w
帆稀
やりたくな、いです
葵
は?
菜緒
………抑えて
気持ち悪い
葵
暴れんなよ〜
気持ち悪い
帆稀
さわんないで!!
葵
ぅ、わっ
菜緒
ちょっ
先生
…なんで暴力なんてした
帆稀
………ごめんなさい
みんな消えればいいのに
帆稀
ただいま
お母さん
早くない?
お母さん
また部活サボったの?
帆稀
うん
お母さん
あ、ねぇ成績は
帆稀
学校に忘れてきた
帆稀
明日持ってくる
お母さん
最近忘れ物多くない
聞こえないふりをして足早に部屋に入った
帆稀
私が悪いの?
帆稀
何もしてないのに
優越感に浸りたかったあの頃
私は葵を庇い、新しいイジメの対象として選ばれた
それからは毎日バイ菌扱いを受けたり暴言を言われたりしている
帆稀
……私、生まれてこなきゃ良かった
帆稀
……生むなよ
望んで生まれてきたわけでもない
何億もの精子のなかで選ばれただけじゃないか
なんで私だったの
落ちる所まで堕ちろだなんて綺麗事だ
誰が堕ちた私を引っ張り上げてくれるんだろう
帆稀
………ばーか…w
100円ショップで手に入れたばかりのカッターナイフを手首に添えた
落ち込んでいるときに痛みをあまり感じないのは当たっていると思う
温かいだけだ
帆稀
…ふか、やば…
帆稀
………寝よ
こんな世界に何を求めているんだろう