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昨日の、あの音楽室での "10センチ" 。
あと少しで何かが壊れてしまいそうだったあの瞬間から、
僕の頭は、まるで壊れたレコードみたいにその場面だけを繰り返している。
Hobi
放課後、玄関まで来ると、空はいつの間にか分厚い雲に覆われ、激しい夕立が降り始めていた。
僕は傘を持っていない。
立ち往生していると、後ろから聞き慣れた足音が近づいてきた。
Suga
ユンギ先輩だった。
昨日のことで、まともに顔が見られない。
僕はうつむいたまま、"そうですね… "と小さく答えるのが精一杯だった。
Suga
先輩が差し出したのは、黒いシンプルな折りたたみ傘。
でも、その手を借りるのがなんだか申し訳なくて、僕は "いえ、止むのを待ちます" と遠慮してしまった。
Suga
結局、僕たちは並んで玄関の段差に腰を下ろした。
激しくコンクリートを叩く雨の音。 跳ね返った水滴が、僕たちの靴下を少しずつ濡らしていく。
ひんやりとした冷たさが、昨日の熱を冷ましてくれるような、
それでいて余計に意識させてしまうような、不思議な感覚だった。
Suga
Hobi
Suga
Suga
雨の音に紛れて、先輩の低い声が届く。
いつもより少しだけ弱くて、震えているように聞こえたのは、僕の気のせいだろうか。
Hobi
Hobi
本音を口にすると、急に視界が滲んだ。
すると、先輩の少し冷たい手が、僕の濡れた靴下の上から、そっと足を包み込んだ。
Suga
Suga
雨脚が少しだけ弱くなる。
雨上がりの匂いの中で、僕たちは濡れた靴下の冷たさも忘れて、ただ静かに、止まない雨の音を聴いていた。