教室に残っているのは
数人のクラスメイトだけだ。
静かな部屋に、ページをめくる音と鉛筆を走らせる音が響く
とても心地よい時間だったが、
それも10分もたたないうちに終わりを告げる。
亮平
阿部くんからノートと共に帰ってきた優しい笑顔は、
私の『とくべつ』になった。
あれから時々、阿部くんはノートを貸してほしいと頼んでくるようになった。
阿部くんから声をかけられるのは
放課後の、クラスメイト達が部活や帰途につくために教室を出ていったころだ。
それも、学校を休んだ時だけでなく
最近は居眠りしたからと言って借りにくる。
◯◯
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亮平
亮平
◯◯
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阿部くんがノートを写しているときに
少しずつだけど会話するようにもなった
阿部くんに、ノートを貸すようになって
字の綺麗さだけでなく
見やすく書くことを意識するようになった。
そのせいか授業の内容がよく理解できるようになり
成績が少し上がった
先生も、両親からも、褒められた。
そして、ノートを返す時
普段はあまり笑わない阿部くんが私に微笑みかけてくれることが
なによりも嬉しかった
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