第拾壱頁『クロハの記憶・下』
タイガ
…御前は、
タイガ
俺の命令に従えないのか?
クロハ(幼少
…ッ!
クロハ(幼少
そ、其れは
タイガ
ならばもう良い。
タイガ
代わりにリオを…
クロハ(幼少
!
そ、其れだけは…!
そ、其れだけは…!
クロハ(幼少
…解りました
クロハ(幼少
御父様の命令に…従います。
タイガ
…物分りの善い御前なら、然う云って呉れると思っていた。
タイガ
早速だが…頼むぞ。
クロハ(幼少
…はい…
その日から僕は、男として育てられるようになった。
余り得意では無い剣術を無理矢理教え込まれ、
折角綺麗に伸ばした髪もバッサリと切られ、
今まで沢山集めていた可愛いお洋服やアクセサリーも、
全部全部全部全部全部全部全部全部!
封印された儘。
御父様は、僕が有りの儘成長する事を赦さなかった。
クロハ(幼少
……(歩
リオ(幼少
…!?
リオ(幼少
お、御姉様…!
クロハ(幼少
…?
リオ(幼少
御姉様、何、其の格好…?!
リオ(幼少
そんな、まるで…!
クロハ(幼少
…リオ、
クロハ(幼少
"僕"は、皇子として生きる事になったんだ。
リオ(幼少
そ、そんな…!!
リオ(幼少
今迄お揃いにしていた御洋服は?
リオ(幼少
アクセサリーは?
リオ(幼少
髪型だってお揃いにしてたのに…!
リオ(幼少
…御父様に、何か云われたの…?
クロハ(幼少
…!
クロハ(幼少
其れは…
クロハ(幼少
…本当に、御免ね…リオ。
クロハ(幼少
御免なさい…
クロハ(幼少
(走
リオ(幼少
ちょ、ちょっと待って!
お願い!
お願い!
リオ(幼少
御姉様…ッ!
リオ(幼少
…そんな、御姉様…
リオ(幼少
…如何して……
其の日から僕は、リオと関わるのを辞めた。
近付いたら屹度何か云われる
今の儘じゃ海達を護る事も出来ない…
何時の間にか僕は海達に会いに行くのも辞めていた。
…でも、其れが間違っていたんだ。
僕が見ていない内に、海達は既に…
クロハ(幼少
(海達、元気にしているかな…)
クロハ(幼少
(久々で、ちゃんと話せると善いけど…)
クロハ(幼少
海、海菜…──
海(幼少
…!
海(幼少
クロハ…
海菜(幼少
お前…!(檻掴
海菜(幼少
私たちを、騙したな…!
クロハ(幼少
…えっ?
一体、何を…
一体、何を…
海(幼少
…私たち、なんかよくわかんない白衣の人に
海(幼少
"研究"されて…!
クロハ(幼少
…!?
クロハ(幼少
(そ、そんな…!)
クロハ(幼少
(僕が目を離していたから…)
クロハ(幼少
(僕の…所為で…!)
海菜(幼少
…私たちを守るとか抜かしておいて、
海菜(幼少
このザマ…!?
海菜(幼少
…もう、クロハのことなんて、信じられない
海菜(幼少
…最初からクロハのことを信用しなければ…
海菜(幼少
友達になんて、ならなければよかった。
海(幼少
……(俯
クロハ(幼少
…ッ!!
リオと上手く関われず、友達にも失望されて…
もう、何が何だか、解らないや…
あぁ、いっそ此の儘
ずっと御父様に暴走させられて死ぬ方が、楽なのかなぁ…──
続







