クロトとルディは歩いてグランデスト王国の北山に向かって進んでいた。日も落ちてきてクロトは立ち止まった。
クロト
今日はここで休もう。俺は近くで枝を拾ってくる。

ルディ
ルディも手伝う。

クロト
ありがとう。でも、ルディには荷物番願いしてもいいか?

ルディ
分かった。主人の言う事きくー!任せて!

クロトは近くで落ちた枝を拾った。持てるだけ枝を持ってルディの元へ戻った。枝を集めてルディに火の魔法で枝に火を付けた。その後ルディとクロトはバックに入っている食料をルディに渡し、二人で食事をした。
ルディ
どう?

クロト
ん?

ルディ
目的地に近づいているかな?

クロト
ああ。もう少し歩く必要があると思うが、明日歩けば着くはずだ。

ルディ
じゃあ、今日は早く一緒に寝よう

クロト
ああ。早く一緒に...って...えっ?

ルディ
ん?

クロト
いや、ルディが先に寝ていいぞ。二人で寝てたら寝込みを襲われる可能性もあるだろう?俺は歩いていただけだから、体力はまだある。

ルディ
んー。じゃあ、主人の隣で寝るー!

クロト
お、おう。

そういうとルディはクロトの隣で横になり、クロトは少し微笑みルディの頭を優しく撫でる。
そして、夜が明け朝になった。ルディが目を覚ますと白い布がルディにかかっていた。周りにクロトの姿はなかったが、血の糸が周りに張り巡らされていた。
ルディ
主人?

クロト
おう。起きたか。

クロトがそう言うと血でできた糸を吸収した。クロトは手に数個の果物を持っていた。
クロト
近くに木の実がなっていたから取ってきたんだが、これ食べれるのかな?

ルディ
うん。大丈夫。食べられる。

クロト
よし、じゃあ、これ食べたら出発しよう。

二人は木の実を食べて北の山へ向かって進んでいく。そしてようやく山に到着した。クロトは力を感じる方向へと辿(たど)っていくと岩壁(いわかべ)に大きな門が一体化して存在していた。
クロト
本当に門があった...

ルディ
大きいね。

クロト
ああ。力もこの門の先から感じられる。

ルディ
主人。

クロト
ああ。いざとなったら戦闘もあり得(う)るかもしれないから、気を引き締めて行こう。

そうするとクロトは門に手を当てて押す。すると、大きな門の割にはすんなりと開いたのだ。クロトとルディは中へと入っていくと、中は先ほどまでいた山とは景色が一変し、空は赤と黒の色が混じり合う薄気味悪い色。断崖絶壁に存在する大きな城が存在していた。
クロト
(こ...これが赫月の王ゾハが言っていた血族の城なのか!)

ルディ
主人。何だか薄気味悪い場所だね。

クロトとルディは城に向かって歩いて行くと、城の門は開いたままだった。周りには干からびた人間の死体や白骨化している死体が、そこら辺に転がっていた。
クロト
こいつは...。

すると、城壁の上から一人の女の子が飛び降り着地すると地面は凹み周りにヒビが入る。その女の子は髪と目が真っ赤でクロト達に視線をおくる。
ロスター・ミルリナス
貴様らも侵入者か?

クロト
貴様らもどういう事だ?

すると、いきなり赤髪の女の子がクロトに蹴りを入れようとしたら、ルディが一瞬でクロトの前に移動して防いだ。
ルディ
何をする?

ロスター・ミルリナス
ふーん。質問を質問で返さないでくれる?まず、私の質問に答えなさい。

クロト
すまない。俺達は赫月の王ゾハにここへ来るように言われたんだ。

ロスター・ミルリナス
貴様。よくも我等の王の名を軽々しく呼び捨てにしたな!!生きてここから帰れると思うなよ。

女の子は激怒してクロトへ向かおうとした瞬間「そこまでですよ。」という声が聞こえた。女の子は向かって行くのをやめた。
ロスター・ミルリナス
オディル...。なぜ邪魔をした?こいつは我が王を呼び捨てにしたのだぞ。

ロスター・オディル
そう怒るなミルリナス。この男はゾハ様と対話し、力を預けた方だ。

ロスター・ミルリナス
だとしても、我々の王を許可なしに呼び捨てをする事...私は許せない。

ロスター・オディル
言いたい事は分かるが、ゾハ様の命令なしに殺してしまったら、我々がゾハ様から罰が与えられてしまうぞ。

ロスター・ミルリナス
えっ!...ゾハ様からの罰!!はぁ。はぁ。

すると、急にミルリナスは頬(ほほ)が赤くなる。すぐに我に返るとミルリナスはクロトを睨(にら)み、城の方へ向かって行った。
ロスター・ミルリナス
まず、ルナに会わせてからでも遅くないわね。殺すかはその後で...。じゃあ、後は頼んだわよ。

ロスター・オディル
まったく、困った娘(こ)だ。挨拶が遅れた。私は赫月の王ゾハ様の眷属が一人ロスター・オディルという。まずは、城へ...説明はその後でも遅くはないだろ。

そう言うとオディルはクロトとルディを城へと案内する。城の中は、ほとんど真っ暗で蝋燭(ろうそく)の火が唯一の明かりである。少し歩いて行くと大きな扉が待ち構えていた。
クロト
こ...こんなにも大きな扉が。

ロスター・オディル
眷属の皆はここにおられる。さぁ。入るがいい。

そう言うとオディルは大きな扉に手を当てて押す。扉は少しずつ開いていくと大広間がクロト達の目に映った。
ルディ
あ...主人。凄く広い。

クロト
ああ。

ロスター・オディル
連れてきましたぞ。

大広間にはさっきクロト達と一緒にいたミルリナスや他にも杖を持った男の子と踊っている女の子がいた。そして、正面の玉座に座っていた女が言う。
Luna(ルナ)
オディルよ。その人間と獣臭い駄獣がゾハ様がおっしゃってた者なのか?

ロスター・オディル
そうだ。

Luna(ルナ)
では、人間。名を名乗る事を許すぞ。

クロト
まず、人に名前を聞く前に自分から名乗ったらどうだ?

Luna(ルナ)
...。

クロト
ぐっ。

ルディ
主人!お前何をする?

Luna(ルナ)
黙れ。駄獣(だじゅう)。駄獣風情(だじゅうふぜい)が王の眷属たる我等(われら)と対等(たいとう)に口を聞いて良い立場か?おい、人間。ペットの躾(しつけ)がなっていないぞ。

クロト
ルディはペットじゃない。仲間だ。

Luna(ルナ)
ふふふっ。あっはははは。獣が仲間とは冗談でも面白くないぞ。

すると、ルディは一瞬にして玉座の女に向かっていった。手の爪で攻撃しようとすると、玉座に座っている女のヴァンパイヤは笑みを浮かべて手を前に出すとそれをオディルが両者の腕を止めた。
Luna(ルナ)
何のつもりだ?オディル。

ロスター・オディル
もうその辺にしたらどうなんだ?ルナ。我らは言い争いをする為に今この場にいるのではない。ゾハ様が言った事...まさか忘れた訳ではないだろ?

Luna(ルナ)
...。ふん。分かっているわよ。命拾いしたな駄獣。

ルディ
くっ。

Luna(ルナ)
よく聞け人間...我は赫月の王ゾハ様の眷属が一人ルナだ。

クロト
クロトだ。こっちはルディ。それと、俺の仲間を駄獣と貶(けな)す事はやめてもらえるか?

Luna(ルナ)
お前も少しは分(ぶ)をわきまえたらどうだ?お前もゾハ様のご厚意で今生きているようなものなのだぞ。本来この神罰の門に入った時点で貴様も侵入者という事を忘れるな。

ロスター・オディル
ルナ。

Luna(ルナ)
はいはい。もう喋(しゃべ)らないわ。

ロスター・オディル
失礼。心からお詫(おわ)びいたします。ですが、ルナが言うこともまた一理あります。どうかその辺もご理解いただけた上で発言をしていただけたらと思います。改めてまして、ロスター・オディルと申します。

ロスター・オディル
続いて、こちらがロスター・ミルリナス。

ロスター・ミルリナス
....。

ロスター・オディル
そして、こっちが...。

ディーン
ディーンだ。お前中々見所があるな。ルナにあそこまで啖呵(たんか)を切れる人間はそうそういねぇーからな。

ロスター・オディル
そして、こちらで踊っているのがアリーシャと言います。

アリーシャ
....。

ロスター・オディル
以上が我々...赫月の王ゾハ様の眷属でございます。さて、自己紹介はこの辺にして早速本題へと移りましょう。詳しい話はルナから...。

Luna(ルナ)
...。

ロスター・オディル
おい、ルナ!

Luna(ルナ)
...我は喋らないぞ。

ロスター・オディル
(喋っているじゃん)

ロスター・ミルリナス
(喋っているじゃん)

ディーン
(喋っているじゃん)

アリーシャ
(.........)

ロスター・オディル
はぁ。駄々をこねるでない

ディーン
オディルよ。ルナはこうなったら聞き分けがない。お前から説明した方が早いのではないか?

Luna(ルナ)
ディーン。発言には気をつけなさい。同じ眷属でも殺すわよ。

ディーン
はいはい。すんませんでした。

ロスター・オディル
困りましたな。では、私がご説明しましょう。まずは、我々...赫月の王ゾハ様の目的については聞かれましたよね?

クロト
神...ユテルを殺す事だろ?

ロスター・オディル
ええ。その通りです。しかし、それはゾハ様だけでなく我々眷属の宿願でもあるのです。

クロト
宿願?

ロスター・オディル
あなたはご存知(ぞんじ)ではないと思いますが、ゾハ様は我々にとって長年仕えてきた主そのものです。その主を長きにわたって奪われ、汚らわしい神殿に封印される。そんなん事が我々眷属は我慢なりません。

クロト
...。

ロスター・オディル
なので、我々はこの身を投げ捨ててでもゾハ様を封印から解き放ち、今度は我々も神ユテルを葬り去る手伝いが出来れば良いと思っております。

クロト
俺もそこに加われと?

ロスター・オディル
ええ。あなたはすでにゾハ様から眷属の証である。眷属玉をその身に宿しているのでしょ?

クロト
分かるのか?

ロスター・ミルリナス
眷属玉は体内に宿していれば、宿している者同士共鳴できる。

ロスター・オディル
ミルリナスの言う通りです。そしてあなたをゾハ様の元へ意識を送ったのは私です。どうか、我々に協力していただけないでしょうか?

クロト
だったら、俺とゾハの会話も聞いているはずだろ?

クロトがそう言った瞬間オディルとディーン以外の眷属全員がクロトに殺気を向けた。
ロスター・オディル
やめろ!...話が全然前に進まない。話しているのは私です。黙って聞いていなさい。

オディルがそう言うと、ミルリナスとアリーシャはどこかへと行ってしまい、ルナはそっぽを向く。
ロスター・オディル
はぁー。困ったものです。失礼しました。確かにあなたとゾハ様の会話は私も聞いておりました。

クロト
だったら、俺がユテルを殺したくないという事も知っているだろ?

ロスター・オディル
ええ。もちろんです。その上で提案があります。

クロト
提案?

ロスター・オディル
ゾハ様を助けると約束していただけるのであれば、私達眷属はあなたの復讐のお手伝いをするというのはどうでしょうか?

クロト
それはさっき言った通り俺はユテルを殺したくない。悪いがお断りする。

ロスター・オディル
私が言いたいのは神ユテルを殺す事ではなく、ゾハ様の封印を解く手助けをしていただきたいだけなのです。

クロト
(なるほど。そう...きたか)

クロト
封印方法は分かっているのか?

ロスター・オディル
いえ、現時点でゾハ様の封印解除の方法は見つかっていません。だから、あなたには封印解除の方法を探していただきたいのです。

クロト
...断る!

ロスター・オディル
訳を聞いてもよろしいでしょうか?

クロト
現時点で解除方法も見つかっていない。それはつまりユテルもしくは神達からそれを聞き出す事以外方法がないという事だろ?結局話が最初に戻っただけだろ?

すると、突然ルナが玉座から立ち上がり、その場から一瞬で消えてクロトに攻撃しようとするとルディがクロトの前に出て攻撃を防いだ。
ルディ
何のつもり?

Luna(ルナ)
黙れ駄獣。もうよいではないか?オディル。

ロスター・オディル
ルナ。

Luna(ルナ)
おい、人間。お前に選択肢などない。我々に協力しなければ、お前をここで殺すだけだ。逃げようとしても無駄だぞ。外の門付近にアリーシャとミルリナスを配置した。最後にもう一度チャンスを与えてやる。我らに協力しろ。

クロト
断る!

Luna(ルナ)
そうか。なら、ここで死ね。

すると、ルナの攻撃を防いでいたルディが反応できない速さでルナの横へ移動して左手の拳を握りしめてルナの顔面をおもいっきり殴る。ルナは反応できず、おもいっきり吹き飛んで玉座に激突して壁も壊れた。
ディーン
あーあ。やっちゃった。

ロスター・オディル
はぁ。

吹き飛んだルナはその場から立ち上がった。口と鼻から血が出ているルナは怒りオーラを出した。
Luna(ルナ)
駄獣!!貴様よくも我の顔を殴ったなー!ぶっ殺してやる!

すると、ルナは口と鼻から出た血を手に集めて棘に形を変えてルディに放出した。しかしルディはすでにその場にいなく、ルナの横に立っていた。
ロスター・オディル
(何!何だこの速さは?最初にルナに手を出した時の速さとはレベルが違う。私すら反応出来ない)

Luna(ルナ)
!!...クソォォォ!

ルナは出血した箇所から血を出し手の指爪を鋭利な刃物にコーティングしてルディに向ける。ルディはルナの手を弾き、その場から消えて空中で回転して再びルナの顔面におもいっきり蹴りを入れルナは吹き飛び別な場所の壁も破壊した。
ディーン
マジかよ。

ルディはルナの場所まで行こうとする。ディーンは杖を構える。
ロスター・オディル
よせ。ディーン。

オディルはルディの前に現れた。ルディはオディルを睨みつける。
ロスター・オディル
手荒な事はしたくなかった。だが、先に手を出しておいた我々が言う事は筋違いかもしれないが、その辺でご勘弁願えないか?

クロト
ルディ。もういい。

ルディ
主人。うん。分かった!

ロスター・オディル
クロト様。ゾハ様にこの件を聞いてみたいと思います。お部屋を準備しましたので、少しの間そちらで待っていただけないでしょうか?

クロト
分かった。だが、今の条件では俺は受け入れるつもりはないぞ。

ロスター・オディル
感謝いたします。ディーン。クロト様達をお部屋へ案内してはくれませんか?くれぐれも失礼がないように...。

ディーン
...分かったよ。おい、ついてきな。

クロトとルディはディーンの案内で大広間を後にして部屋へと移動していく。
ロスター・オディル
なぜ、あのような芝居じみたような事をしたのです?あの様な態度では、交渉もスムーズに出来ないではないですか。

Luna(ルナ)
彼奴らの力を見ようと思ったのが半分...。それに、どの条件でもあいつは断っていただろ。

ロスター・オディル
どう言う事です?

Luna(ルナ)
あいつはおそらく自分の復讐以外何も考えていない。さっきの戦いもあの駄獣に加勢できたのに、あの駄獣に任せっきりで一切加勢しなかった。
それにもう半分は我が遊んでみたくなった好奇心。門から来た冒険者などはこの城に来る前にミルリナスに殺されて終わりだからな。

ロスター・オディル
はぁ。ゾハ様が言った事無視して暴れて...怒っていなければ良いのですが。玉座まで壊して...。

Luna(ルナ)
大丈夫じゃろ。ゾハ様は寛大(かんだい)な方だ。こんな玉座ではなくもっと王としての玉座がお似合いだ。

ロスター・オディル
はぁ。とりあえず、破壊したのは後でディーンに直してもらいましょう。では、ゾハ様へ報告しに行きますよ。

Luna(ルナ)
ええ。
