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小学生の頃、 俺には親友と呼べる奴と、 友達と呼べる奴らが沢山いた。
でも、 それは俺だけだった。
「親友? ちげーよ、こいつはただのパシリだって」
「うわ、ひでーこと言うじゃん!」
中学生に脅されていた親友を、 俺は迷うことなく助けようと思ったのに。
代わりに俺が相手にボコられ、 親友だった奴は平然とそう吐き捨てた。
その周辺にいた友達だった奴らの態度も見て、 俺だけがバカだったのだと思い知った。
その日から俺は、 友達を作っていない。
いつも通りの孤独な時間。
高校の授業はつまらなくて、 窓の外を眺めるばかり。
塾で習った範囲、 よそ見をしていた俺に、 数学の教師が答えてみろと問題を投げかける。
俺は教壇へと足を運び、 スラスラと黒板に、 過程から回答まで全て書き上げていった。
友絆
先生
教室から驚きの声が所々から聞こえる。
友達のいない俺には、 もはや勉強しかすることがなかった。
俺は入学当初からクラス、 学年内ともに成績1位を保ち続けている。
「あれが噂の?」
「そうそう、揺るがない絶対王者だって」
学校ではそんな言葉が聞こえてくる。
母
母からはよくそう言われる。
でも、 俺は気づいている。
孤独の方が生きやすいということに。
そんなことを思いながら、 何気ない日常を送っていたある日のこと。
校庭のベンチで弁当を広げていると、 目の前に何か落ちているのが見えた。
友絆
顔はなく、 服も着ていない、 肌色のまっさらな人形。
不思議に思っていると、 綺麗な顔立ちの女性が歩いてきた。
女性
友絆
女性
訳の分からない事を言う女性。
人形を静かに拾った女性は、 俺にそれを差し出してきた。
友絆
女性
笑顔で聞いてくる女性に、 俺は苛立ちを覚えた。
友絆
女性
女性に手を握られた瞬間、 辺りは一変した。
俺は驚きで、 星空のような空間に硬直する。
友絆
天
説明をされても、 何一つ理解できない。
友絆
天
天と名乗る女性の後ろに、 俺と同い年ぐらいの男が立っていた。
女性の服の裾をぎゅっと掴み、 不思議そうにこちらを見ている。
友絆
天
こいつがさっきの人形?
友絆
???
男が喋った。
年齢に似合わない、 子供っぽい口調で。
天
友絆
???
話についていけない。
天
友絆
俺は仕方なく名前を答える。
女性は男に対し、 柔らかな笑顔を浮かべ、 俺の方を向き直した。
俺はさらに説明を求めた。
天
その結果、 女性から発せられた言葉は、 この一つだった。
友絆
天
俺がそんなことを思うはずがない。
しかし、 もう考えるのも面倒だ。
友絆
天
とことん意味が分からないが、 俺は少し考えて、 思い浮かんだ名前を呟いた。
友絆
天
トモ
男もといトモは名前を連呼しながら、 ぴょんぴょんと飛び跳ねている。
友絆
天
人間になりたて、 というよく分からない言葉に困惑しながらも、 俺はなんとか受け入れることにした。
辺りの景色は校庭に戻っていた。
トモが俺に抱きついて離れない。
天
その言葉を残し、 女性は去っていった。
友絆
トモ
周りの目線が痛い。
友絆
トモ
友絆
これは骨が折れそうだ。
高校では、 トモは転校生として、 やってきたことになっていた。
相変わらず、 子供っぽさが抜けていない。
先生
トモ
クラスからどっと笑い声が溢れる。
周りの奴らはトモに対して、 おかしい子という認識を持っていた。
先生
こんな感じで、 毎回俺が教える羽目になる。
トモは周りの目を気にも留めず、 いつも笑顔で俺にくっついてくる。
トモ
そう詰め寄ってくるトモに、 俺は制止をかけた。
友絆
トモ
友絆
トモは少し考え、 その日から僕と言うようになった。
高校にいる時はいつも一緒。
登下校も、 もちろん一緒。
俺が家に帰る時、 トモはあの女性のところに帰り、 毎朝俺の家のチャイムを鳴らす。
これが友達、 いや、 こんなのは所詮『ごっこ』だ。
トモは俺がどれだけ無視しても、 必死でついてきた。
友絆
ある日、 俺はそんなことを聞いた。
トモ
トモは変わらない笑顔で答えた。
どうせ元は人形だから、 人間じゃないから、 こいつには正常な判断ができないだけだ。
友絆
冗談交じりにそう言ってみた。
トモ
トモは片っ端から、 クラスメイトに話しかけていく。
友絆
俺はドン引きしながら、 その様子を見ていた。
みんなは当然、 トモを無視していく。
最終的に、 トモは俺のところに戻ってきた。
トモ
友絆
俺は一言だけ話して、 教室を離れた。
トモの悪口が聞こえてくる。
「天野くんってさ、田辺くんに迷惑かけて恥ずかしくないのかな」
「あー、あのキチガイでしょ? そんなの分かんないって」
当たり前の反応だ。
でも、 俺の心はなぜか、 もやもやしている。
男子生徒1
男子生徒2
俺の悪口でもないのに、 無性にイライラしてくる。
友絆
気づけば、 名前も知らない奴に口を出していた。
男子生徒1
男子生徒2
へらへらしながらそう言う奴らに、 俺は感情のままに叫んだ。
友絆
なぜそんなに必死になったのか、 俺も分からなかった。
男子生徒1
周囲の目が、 俺を軽蔑しているように感じた。
結局、 友達なんてろくなもんじゃない。
俺はトモから距離を取り続けた。
トモ
友絆
そう言って、 俺は向き合おうとしなかった。
トモ
友絆
俺がそう言う度に、 トモは俺たちと何ら変わりなく話すようになり、 人形とは思えなくなっていた。
トモ
友絆
仕方なく付き合ってあげているだけだ、 こいつは人間じゃないんだから。
あんなに俺に付きまとっていたトモの姿が、 今日は見当たらなかった。
校内をくまなく探し、 最後に向かった屋上に、 校内で有名な不良たちとトモがいた。
「ほらほら、その辺だって」
「早く探せって」
不良たちにそそのかされて、 トモはフェンスの向こう側に立っていた。
突如強風が吹き、 風に煽られたトモが体勢を崩す。
友絆
俺は思わず叫んでいた。
それに気づいた不良たちは、 やばいと思ったのかその場から立ち去る。
不良たちと入れ替わるようにして、 俺はすぐにトモの元へと向かうが、 一足遅かった。
屋上からトモの姿が消える。
俺は無我夢中でフェンスを登り、 向こう側へと着地。
下を覗き込むと、 間一髪で片手でしがみつくトモの姿があった。
苦しそうな顔をするトモの腕をすぐに掴む。
トモ
友絆
トモは俺の顔を見るや否や、 笑顔で答える。
トモ
友絆
どうしてか、 トモは俺の手を掴もうとしない。
トモ
いつもと変わらない笑顔で、 残酷なことを言うトモ。
友絆
トモ
トモの口から、 そんなこと聞きたくなかった。
俺が黙っていると、 トモは気にせず話し続ける。
トモ
友絆
トモは静かに首を振った。
トモ
その言葉で、 俺は自分の本心に気づいた。
俺は本当に、 トモの事を友達だと思っていたんだ。
渾身の力を込め、 俺は気合いでトモを引きずり上げた。
友絆
無事に戻ってきたトモが、 不思議な顔をする。
トモ
友絆
俺はもう、 自分に嘘はつかない。