鬼滅の刃1話

生活は楽じゃないけど幸せだな。 でも人生には空模様があるからな。 移ろって動いていく。 ずっと晴れ続けることもないし、 ずっと雪が降り続けることもない。

そして幸せが崩れる時には いつも血の匂いがする。

三郎爺さん家族を亡くして 独り暮らしだから寂しいんだろうな。 今度弟たちを連れてくるから 怖がらなくても鬼なんかいないよ。 大丈夫。でもそういえば……

うちの婆ちゃんも死ぬ前に同じこと 言ってたな………

幸せが壊れる時にはいつも 血の匂いがする

禰豆子だけまだ体にぬくもりがある。 医者に診せれば助かるかもしれない。 なんでこんなことになったんだ……。 熊か？冬眠できなかった 熊が出たのか？

息が苦しい。凍てついた空気で肺が 痛い。前に進め！もっと速く足を 動かせ！まだまだ町まで距離が あるんだぞ！急げ！死なせない！ 絶対助けてやる！兄ちゃんが助けて やる！

ドッ

ボスン

ガバッ

ザッ

ガチ

ドッ

鬼だ。三郎爺さんの言葉を今、 思い出した。禰豆子が人喰い鬼？ いや違う。禰豆子は人間だ。 生まれた時から。

だけど匂いがいつもの禰豆子じゃ なくなってる。でもあれは 禰豆子がやったんじゃない。 六太をかばうように倒れていたし、 口や手に血はついてなかった。 そしてもう１つもう１つの匂いが……

ざわざわざわ

ズズズ

か……！体が大きくなった！ 力も強くなっていく。

ミシッミシッ

俺が他所でぬくぬくと寝てた間 みんなはあんな惨いことに…… 痛かったろう…… 苦しかったろう…… 助けてやれなくてごめんな、

ミシッミシッ

せめて禰豆子だけは何とかして やりたい！だけど凄い力だ 押し返せない……

ボロボロボロ

ガッ

ビュン

ドッ

なんだ……誰だ……刀……　

ダッ

バッ

ピタ

チャッ

ビクッ

泣くな。絶望するな。そんなのは 今することじゃない。お前が 打ちのめされているのはわかっている 家族は殺され、妹は鬼になり 辛いだろう叫び出したいだろう わかるよ。俺があと半日早く 来ていればお前の家族は死んで いなかったかもしれない。しかし 時を巻いて戻す術はない。怒れ。 許さないと言う強く純粋な怒りは 手足を動かすための原動力となる。 脆弱な覚悟では妹を守ることも 治すことも家族の仇を討つことも できない。

ドッ

グッ

ビュ

ガギィ

ブン

ガッ

感情に任せた単純な攻撃 愚か！

ドガッ

ドクン

斧はどこだ

ブン

ブンブン

カッ

木の陰に隠れる直前こちらに石を投げ 木の陰へ隠れた時上へ斧を投げた 丸腰であることを悟られないよう 振りかぶった体勢で手元を隠す 俺に勝てないのがわかっていたからだ。自分が斬られた後で俺を倒そうと した。こいつは……

ドガッ

ザン

しまった！喰われる！

禰豆子は

禰豆子は違うんだ人を喰ったり しない。

昔同じようなことを言って喰われた 奴がいた。"飢餓状態"になっている 鬼は親でも兄弟でも殺して食べる。 栄養価が高いからだ。今までそういう 場面を山ほど見てきた。

この娘は怪我を負わされており それを治すために力を消費している。 鬼に変わるときもかなり体力を消費 するはずだから間違いなく今は重度な 飢餓状態。一刻も早く人の血肉を 喰らいたかっただろうに。守る動作 俺に対する威嚇。こいつらは何か 違うのかもしれない。

ドンッ

ガッ

ビクッ

バッ

ザッ

ザッ