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吸血鬼

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吸血鬼

2 - 出会い

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30

2024年05月29日

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怜央

月明かりが淡い時間帯である。

怜央

僕は1人、路地裏に歩いていた。

怜央

理由は無い。なんとなくだ。

怜央

なんとなく、人気のない場所を歩きたかった

怜央

日本は屈指に治安のいい国だが、それでも路地裏には言い知れぬ雰囲気があった。

怜央

そこの角から殺人鬼でも出てきてほしいくらいだ。

怜央

何なら飛び出して来て欲しいくらいだが。

怜央

「…ん?」

怜央

そんな馬鹿な事を考えている時だった

怜央

何だか微弱な音が聞こえたような気がした。

怜央

耳を澄まして聞いてみると、今度ははっきり聞こえた。

怜央

これは…呼吸音?

怜央

荒く、衰弱を感じさせるような息遣い。

怜央

怪我人か、病人か…とにかく行かなきゃならない

怜央

僕は息のする方へ進み…少ししてたどり着いた

夏帆

怜央

そこでは少女が壁際に座り、背を預け苦しそうにしていた。

怜央

少女はまるで、ボロ雑巾のようだった。

怜央

焦点が合わない瞳、ボサボサの髪、ボロボロの服。

怜央

まるで、集団リンチを受けたあとのようだった

怜央

…けれど僕が着眼したのはそこじゃなかった

怜央

「…羽?」

怜央

その少女には、暗闇の中でも際立つような妖しさを、不思議な雰囲気を放つ羽がついていたのだ。

夏帆

「…血を」

怜央

ボソリと何か呟いた

怜央

「…なんて?」

夏帆

「…お願い…血を…頂戴」

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