終わり

今日は俺の

17歳の誕生日だ。

誕生日ムービーをとりながら母は

毎年同じことを聞く。

去年はなんて言ったっけな

なんて考えながら毎年、

当たり障りない返事をする。

両親は 俺がいい子に育った と

本気で思っているようだけど、

俺はそんなにいい子じゃない。

強面の先輩に酒を勧められて

断りきれずに呑んだ。

一度だけ煙草にも口をつけたが

生理的にどうしても受けつけなくて

不良で有名な先輩に

頭を下げた。

中学時代からなぜか

ワルの先輩に目をつけられる。

殺されたくない という一心で

言われたことを聞いてきた

高校からはこんな自分を変えたい と

家から遠い高校を受験した。

なのに高校でもこのザマだ。

先生にはいい顔して

先輩にはビクビクして。

このままじゃどうせ進学しても

同じことの繰り返しだ。

そんな無限ループなんて、

俺は望んじゃいないんだ。

ケリをつけよう と

前から思っていた。

決行日は誕生日にしよう とも。

陽気な誕生日ソングを聴いて

ロウソクの日を吹き消し

部屋の蛍光灯をつけて

ケーキを頬張った。