恋彩の音

思い出すのは ライトの熱さと眩しさ、 目を刺すような赤と 苦しそうな好きな人の笑顔

The Beastsの成り立ちは 極自然なもので

僕が 高校の先輩だった領さん、酉本さんと 同じ大学に進学したのをきっかけに ノリと勢いで組んだのが 始まりだった。

べースの羽京さんとギターの領さん ボーカルには僕を置いた 少人数だけど奏でるには十分だった。

宙くんがヘルプからバンメンに 加わり デビューも視野に入ってくる… 僕たちにとって至極重要な時期 そんな時に、あの事故は起こってしまった。

ガシャーン！！

それはまるで、 曲の一番の盛り上がりが 会場を沸き上げようとするのを 切り裂くように。

鋭い音を立てて、降ってきた ステージライトは領さんを巻き込み、 消えないトラウマと 傷を植え付けたのだった。

ライブ中のステージライトは 付ければ強い光を発し、熱を持つ。 そんな物が直撃した 領さんは腕を焼かれた上に 砕けたガラスが刺さり 酷いことに後遺症まで残った。

ギターが引けなくなって、 ヤケを起こした彼は 表舞台からも僕の目の前からも 消えてしまった。