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数週間後、
合宿の話題は世間から
忘れ去られ、いつものように、
高校バレーは再開された。
彼女の存在は、記録にも
チームにも残らなかった。
元々居なかったかのように扱われた
だが、たった一人だけ。
毎晩、バレーの動画を見ながら
無言になる選手がいた。
これは孤爪研磨だった。
あの夜の沈黙。
答えを聞けなかった後悔。
名前さえ知らなかったその背中。
げまはもう一度ノートを開く。
彼女の動き。癖。プレースタイル。
覚えている限りを書き殴っていく。
孤爪 研磨
そう呟いた彼の声は、
掠れていた。
沈黙の夏、壊れていく僕ら
誰かの存在は、だった一言の『声』
で救えたのかもしれない。
けれど、その一言は、
誰にも届かなかった。
だからせめて。
この物語の中だけでは、
彼女を忘れないで欲しい_
沈黙の夏、壊れていく僕ら 〜 f i n 〜