外から聞こえてくる“ヒュンヒュン”という空を切る音.そういう時は基本彼が離れの庭で稽古をしている.もう戦わなくてもいいというのに真面目だな,なんて思う. 僕は閉まっている襖を開けて空を切る一定の音を奏でている彼の名を呼んだ. [景,ご飯ダよ.藤士郎が呼ンでる] 『ん?おー.あともーちょい…』 [何時間前かラやってる?] 『んぁ゛ー… 二時間…前かぁ?』 [何デ本人が覚エてないンだよ] 『覚えてねぇもんは仕方ねぇだろぉ?』 [もー…取り敢エず藤士郎二怒られンのは勘弁だカら,行くよ.ほい,タオル.] 『ん.あざぁ〜』 ほんとに何時間やってんだよって言うくらい汗をかいている彼は稽古用の木刀を仕舞い,僕が投げたタオルで汗を拭いている. [ほんト,そのちっこイ体の何処ニその体力があルのやら…] 『体ちっちゃくなっても中は俺のまんまだからな〜』 [それモそうだわ] そうだ.こいつは体力オバケだった. [はー…その体力分ケろよ〜…] 『いうてハルやって魔になってから体力増えただろ〜?しかも俺ちょっと体力減ったし.』 [そウだけどサぁ?というか完全ニ魔になったわけジゃないですゥ〜] 『あーへいへい.んで,ハルはそれだけじゃいやなん?』 [嫌ってわけでモ無いんだヨなぁ〜…] 『どっちやねん』 [うーん…よく分からンのよなぁ…] 『あー…じゃあ俺も分からんわ』 [だよナぁ?] 「ねぇ晴くんも景くんも,遅いよ??何してるの?」 [あっ,えっト〜…] 『すまん!!めっちゃ話し込んでたわ!!今行く!』 「景くんはしっかり手洗ってねー!」 『おー!!』 とか言った瞬間あいつは洗面所とは逆の方向へ走っていった. ん?ちょいまて??逆?!?! [長尾!!!そレ逆!!戻れ!!!] 『んぇ゛?!まぁじぃ?!』 [まじ!!もう僕達とリビング行って台所で手洗イな?] 『そーする!』 「ほらご飯冷めちゃうから.早く行くよ?」 『あーい!腹減ったー!』 「景くんが何時間もぶっ通しで稽古するからでしょ?体ちっちゃくなってんのにあんな重いもんもって…」 『いうてそんなよ?慣れれば軽いもんよ!』 「僕たちからしたら重いんだって!もう軽く感じちゃうけどさぁ」 [甲斐田モなんも思わなクなったな〜] 『だろぉ?慣れたらなんてことないんよ.』 [甲斐田は慣れるっていウより魔にナって力がついただケだけどさ?] 「あははw僕も一回神になってるからか触れてそうで実は体に纏ってるオーラ?っぽいもんが触れてるだけだからねw」 『笑うとこかぁ?それぇ』 『というか俺まじで腹減ったー!』 「はいはい.じゃあ行くよ〜」 [僕と弦で長尾サンドイッチにして進ムかー] 『や〜!そこまでしなくってもぉ!俺どっか行くわけでもねーんだしさぁ?』 [甲斐田が心配だカら言ってンの!!] 『だから俺はだいじょーぶだっての!!』 [甲斐田が心配なだケですぅ〜!なら長尾の事抱っこしてリビングまで連れテくぞ!弦月が!!] 「え,僕?!」 『俺が弦月に長いこと触れてたら火傷みたいなのになるって言っただろ!!』 [だからこソです〜] 「え,これ僕はどうすればいいの?2人の馬鹿な喧嘩に巻き込まれてるだけってマ?」 [ほら!長尾!サンドイッチして行クか弦月に抱っこされナがら行くかどっちが良い?] なんて言えば長尾は『あ゛〜』だとか『ん゛ー…』とか呟きながら静かに弦月の目の前へ行って両手を万歳させた. [え,そんナに甲斐田たちにサンドイッチされテ行くの嫌?] 『擬似電車ごっこするくらいならげんでゅきに抱っこしてもらうもん!!てかでゅきはいいけどハルに背後取られんのなんか癪!』 [いやお前電車ごっこ好きそうナんだが?というカなんか癪ってなんだよ!!] え,長尾今すっごい顔した.僕の方がそんな顔したいんですけどぉ?というか元アラサーがもんとか使うなよw 「あ,これ僕が抱っこするやつ?大丈夫なん?」 『この距離ならよゆーで重度の火傷みたいになるだけだしいけるだろ.』 「ん〜良くないね?」 『骨さえ出なかったら動けるし大丈夫だろ!』 皆さんこれが元祓魔師の発言です.恐ろしいですねぇ.たまに見るボロボロになった長尾見るの甲斐田怖いんだよ?というかお前自己治癒遅いのお忘れ?おじいちゃんしっかりしろ? 『自己治癒遅いことくらい覚えてらぁ!てかやばそうだったらとーじろーがなんとかしてくれるやろ』 「まぁするけどさぁ…」 『じゃあいこーぜ!』 「仕方ないかぁ〜…よっこいしょ,」 『おわ,この高さの目線懐かし!』 [確かニめっちゃ縮んだかラね,] 『まぁじで嫌なんだが.ハルの事さらに抜かせなくなったし』 [長尾さっキから甲斐田ニ対する対抗心強くナい?] 『気のせいだって!てかはやく進もうぜ!もう結構皮膚いてぇから』 「おう長尾そういうのは早く言え?抱っこしてる僕が1番不安だから.」 [じゃあ急グか〜] 『行くぞー!!』 [いやお前走らンじゃろがい] 『確かにw』 「いや話してないで急ご!?」 そしてその家は数分間の間とても騒がしかったそうな.近くを通った祓魔師は〈一瞬魔が暴れているかと思った〉なんて言っていたらしい. ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 追加設定 弦月が言っていたオーラみたいなのは神に魔が触れないように纏うオーラです.基本の魔なら弦月に触れただけで浄化されます.これは神になった特典でついてきたやつなので弦月本人はこのオーラを断ち切れない.服着たら服にもそのオーラが付く.2人にあまり触れられないので正直要らないと思ってる. なお長尾は半分が魔なので火傷程度で済みますが,長いこと触れていると痛みを伴いその部分から皮膚がバラバラと崩れます.血は出ません. 甲斐田が触れると数時間で皮膚が崩れる.ただし自己治癒力がとてつもなく強いのであまり崩れたことは無い. 皮膚が崩れてもまだ頭が原型保ってたら弦月の治癒する術で基本直せます. 基本の魔なら浄化されるが敵意のないやつだと何時間か触れると崩れて死にます.そっちの方が残酷的なので基本敵意持ってるやつが多い ちなみに物を持つ時はそのオーラが持っているので弦月は殆ど持ってる感覚がしない ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー おまけ 「はい景くんついたよ?おろすね〜」 『ん〜』 「さて景くん,赤くなってるとことかあったら見せて?それで冷やすか僕が術使うか判断するから.」 景くんは元の肌が白いから赤くなってたりすると分かりやすい.ましてや火傷なんてめちゃめちゃ分かりやすい. 『今回は割と平気だぞ?』 「はい嘘乙〜.もう僕が見るね.まず背中見せて.」 『え〜… ん.』 背中は一部が赤くなってた.これは軟膏塗って冷やしたら大丈夫だろう.というかなんでこいつは上半身裸なんだ.おかしいだろ と思い僕はゴム手袋をつけた. 「一瞬冷たいから気をつけてね.」 『ほーい.』 「………はい.おっけ〜.次お腹見せて.」 素直に見せてくれる景くんはまじで偉いと思う.僕なら渋っちゃう.だって痛いもん 「うわ,お腹流石にやばいかも.…先腕と首見せて.」 『ね〜腹減った〜!』 「我慢して?元はといえば僕の抱っこ選んだ景くんが悪いんだからね?」 『う゛〜… 』 「はい.両腕がやばめ.後で一気に術かけちゃうから今は我慢してて.」 『あ〜い…』 腹はまだ皮膚が爛れてぐちゅぐちゅしてるだけだが腕に関しては崩れる寸前くらいだった.危な 「てかこれで動ける景くんが異常なんだけど… はい,ズボン脱いで足見せて.っても半ズボンだから脱がんくてもいっか.」 『はるぅ〜腹減った〜!!!』 「うわ声でっか.」 [はイ呼んだぁ〜?] 『腹減った〜』 [はいはい.ほら,ラムネあげルからって手動かセそ?] 『動くからちょうだい!!』 なんて言って景くんはギギギ,と音が出そうなほどゆっくりと手を伸ばした. [いや辛そウじゃん!!も〜…口開けて?] 『あ,』 [ほれ.] 「なにこれ僕なに見せつけられてんの?鳥の餌付け??」 [そんナとこ.] 『ハル〜!もっこ!!』 [はイはい.で,景大丈夫そ?] 「ん〜…首と背中はまだ大丈夫だけど僕に完璧に触れてたとこはやばい.」 [あー.そもそモ上半身裸なのが悪いんじゃね?] 「それはそう.」 『ハル〜!早くラムネ〜!!』 [あーもう今弦と喋ってルだろぉ!!ほれ!!] 『んまい.』 「はい.足出来たよ.足は今日1日動かさないで…って言っても無理だよね.」 『おう!』 「知ってた.じゃあ激しい動きはしないでね?」 『え〜』 [なら今日は3人でゲームしよッか!] 「お,さんせ〜」 『スプラしようぜ!』 「いやスプラ3人無理でしょw」 [マリカでいいンじゃない?ほら,昔みたイにさ,わちゃわちゃしよ〜!] 『いーな!!やろーぜ!!』 「Switch起動するかなぁ…」 『俺のは起動するぞ!』 [甲斐田のモどうだろ…w] 「てかその前に景くんに術かけないと!!」 『あ』 [あ] 「よし,じゃあ晴くん外出といて.」 [は〜い.]
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