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切ない…けど感動です、(>︿<。)
感動しました🥺愛の儚さと美しさが身に染みました。
2度目の告白は、1度目の時よりさらに愛が込められていましたね😌 一生分の愛をあげ、もらい、2人は愛を育んでいったんですかね🤗素敵だなあ…
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
伊原 大地
笑ってごまかすけれど
罪の意識からか
彼女と上手く話せない
あんなにも愛するなんて言ったくせに
たった一言で
病気の事を気にするなんて
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
俺はこの時、初めて彼女に嘘をついた
嘘をついて逃げるほどに
彼女と真正面から向き合えなくなっていた
中野 珠希
本当は気付いていた
彼が私を避け始めていることに
でも、気付かないふりをしていた
中野 珠希
もう、見てみぬふりなんかしない
彼を縛り付けたくないから
中野 珠希
中野 珠希
直接言わなかったのは
彼が素直に了承する所を見たくなかったから
背を向けた瞬間、引き止めてしまいそうだから
伊原 大地
「別れよう」
その一言はガラスの破片のように
深く胸に突き刺さった
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
嫌気なんかさしていない
そう、返答できなかったのは
心のどこかにそんな気持ちがあったからかもしれない
中野 珠希
中野 珠希
あっけなくそして儚く
俺達の恋は終わった
人生時計を必死に合わせようとしてくれた彼
…もう、側にはいない
彼が秒針を愛で止めてくれていたのだとしたら
また…動き出したようだ
中野 珠希
中野 珠希
こんなに病気って怖かったんだ
忘れてたよ
20歳を超えたらどんどん進行が早くなっていく
そうやって考えたら震えが止まらない
中野 珠希
中野 珠希
君がいないと何もできない
駄目だね
君の幸せを願わなくちゃ
友人
友人
20歳になった
高校卒業後、がむしゃらに働き続け
気付けば成人を迎えていたのだ
伊原 大地
伊原 大地
宅飲みのテーブルに並ぶ酒
見覚えのある銘柄だ
悪い事しよっか
あの日、君が買ってきた酒
伊原 大地
前は飲み進められたのに
今日は飲めやしない
伊原 大地
初の酒も
初のアレも…
全部全部、あの日に君とだった
僕は君とじゃなきゃ酒は飲めないようだ
友人
友人
伊原 大地
友人
伊原 大地
伊原 大地
ああ、そっか
僕は…
君のことを忘れられそうにないんだ
手放したくせに
伊原 大地
伊原 大地
病はどうなったのか
僕には心配する権利なんかないのに
やっぱり気にしてしまう
伊原 大地
伊原 大地
もう一度、会いたい
でも、その前に「覚悟」が必要だ
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
髪に混じる白い毛
触ると抜け落ちてくる
20歳を超えて急激に進行が早まった
もう…鏡すら見るのが怖い
伊原 大地
通帳を見てニヤつく
堅実に貯めた金は
24歳という若さではありえない額に達している
伊原 大地
伊原 大地
俺は、少し緊張しながら
メッセージ画面を開いた
伊原 大地
伊原 大地
伊原 大地
駄目元で送ったはずが
連絡先は変わっていなかった
中野 珠希
中野 珠希
こうなる事を望んでいたから
連絡先を変えなかったのかもしれない
中野 珠希
中野 珠希
こんな姿は見られたくない
そう、思いながらも
何故か「分かった」と送信していた
僕は海目掛けて走った
しかし、海には白髪の女性しかいない
思い切ってその後ろ姿に声をかけた
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
白髪の女性は珠希だった
声は低く、杖をついている
中野 珠希
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
僕は彼女を抱き締めた
久しぶりのぬくもりに涙が止まらない
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
伊原 大地
あの頃の僕はガキだった
自分に向けられる視線ばかり気にしてたんだ
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
愛する人をもう一度
手にする事ができた
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
随分と見た目は変わってしまったが
笑顔はあの頃のままだ
髪は真っ白
杖もついている
彼はこんな私を愛してくれる
中野 珠希
中野 珠希
今が70歳くらいだとしたら
…来年で…
どうかお願い
少しだけ、また夢をみさせて
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
珠希の好きなケーキ
でも、一口食べてギブアップした
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
薄々気付いていた
彼女に残された時間は少ない、と
彼女はどんどん弱っていき
今は、車椅子生活だ
このままじゃ本当に時間が無い
伊原 大地
伊原 大地
僕は「ある物」を購入するために
母に資金の援助を頼んだ
明くる日、大きな荷物を彼女に手渡した
伊原 大地
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
中から出てくる白い衣装
視力の落ちた彼女にはもう、見えないらしい
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
伊原 大地
涙を流す彼女をそっと抱き締めた
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
本当は僕もタキシードを着ているのだが
彼女が自分を責めそうなので言わない
伊原 大地
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
どこかで聞いたことのある会話
青春時代を思い出す
あの日は1度目の告白
伊原 大地
伊原 大地
中野 珠希
伊原 大地
今度はここで2度目の告白をしよう
中野 珠希
中野 珠希
珠希の指にはめるそれ
指輪だ
中野 珠希
中野 珠希
伊原 大地
中野 珠希
中野 珠希
やっぱり彼は変
永遠が終わりそうな時に永遠を誓うなんて
伝えたいことは沢山あるけど
もう…時間が来たみたい
中野 珠希
中野 珠希
一生分の愛をありがとう
中野 珠希
伊原 大地
伊原 大地
伊原 大地
伊原 大地
伊原 大地
眠る妻を見つめた
あどけない様子はあの頃のよう
いいや、あの頃の珠希そのものだ
伊原 大地
伊原 大地
伊原 大地
与えるどころかもらってばかりだった
妻をそっと撫で
指に輝くリングにキスをする
伊原 大地
伊原 大地
伊原 大地
砂浜に相合傘を書いた
伊原大地・伊原珠希と