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雨の降る夜だった。 街外れにある黒い建物。 看板もないそこが、 Irregular Diceの拠点。 重い扉が開き、 冷たい夜風と共に1人の男が入ってくる。
まろ
低い声。 刀を肩に担いだifだった。
しょう
ソファに寝転がっていた初兎が顔を上げる。
しょう
まろ
ifは短く返し、 濡れたコートを脱いだ。 その瞬間。
ほとけ
駆け寄ってきたほとけが顔をしかめる。
まろ
ほとけ
脇腹。 深く裂けている。 普通なら立っていられない傷だった
ほとけ
ほとけが呼ぶ。
すると奥の廊下から、 赤いパーカー姿がだるそうに出てきた。
りうら
りうら。 18歳。 この組織の最年少
ないこ
ないこが後ろから軽く頭を押す。
りうら
ぶつぶつ言いながらも、 りうらはifの前にしゃがみこんだ。 傷を見る。
りうら
悠佑
悠佑が壁にもたれながら聞く。 りうらは少し眉を寄せたあと
りうら
そう言って傷へ手を伸ばした。 淡い光。 裂けた皮膚が、 ゆっくり塞がっていく。 普通じゃありえない光景。 それでもこの家では、 もう見慣れた日常だった。 数秒後。 傷は綺麗に消えていた。
りうら
りうらが立ち上がる。 でもその瞬間、 ふらりと身体が揺れた。 ifの目が細まる。
まろ
りうら
即答。 ないこがじっと見る。 りうらは視線を逸らした。
りうら
そう言って、 そのまま廊下へ消えていく。 静かになるリビング。 初兎がぽつりと呟いた。
しょう
悠佑
悠佑も苦笑する。 でも誰も追わない。 聞かれたくないことを、 無理に聞かない。 それがこの組織だった。 すると―― ブブッ…… テーブルの端に置かれていた端末が震えた。 空気が変わる。 ないこが画面を見る。 その瞬間、 全員の表情が仕事の顔になった。 『指令』 差出人は――ボス。 ないこが静かに読み上げる。
ないこ
ifが刀を持ち直す。 初兎が笑う。
しょう
ほとけは銃を確認し、 悠佑は小さく息を吐いた。 ないこが最後に短く言う。
ないこ
その声に、 全員が動き出す。 普通の人間なら、 一生関わることのない世界。 血と能力と死が隣り合わせの夜へ、 Irregular Diceは静かに向かっていった。