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渡辺side
俺の言葉が聞こえた瞬間、
照は小さな声で「え?」とこぼした。
自分でも、 馬鹿なことを言ったと思った。
流石に必死すぎるとも思った。
だけどとにかく、 二股をかけられた事実から 逃げたくて。
気づいた時には、 口からこぼれてしまっていた。
だけど照は照で、
わざと明かしていない何かを 察してくれたみたいで。
岩本照
渡辺翔太
岩本照
渡辺翔太
岩本照
岩本照
と手を広げてくれた。
常夜灯が灯る寝室。
前髪を下ろした照。
鍛えられたその肉体美に、 惹かれるものがある。
岩本照
渡辺翔太
涼太じゃないなら、 もう誰だっていい。
誰でもよかった。
とにかく事実を上書きしたい。
とにかく慰めてほしかった。
明らかに大きい照のもの。
だけど満たされることはなかったし、
涼太以上の愛は、 感じることが出来なくて。
不完全燃焼の恋は、 未練だけを残して、
呆気なく消え去ってしまった。
岩本side
渡辺翔太
鼻にかかる声。
涙がこぼれないように、 顔を上に向ける仕草。
複雑な事は分からない。
だけど何があったのかは、 一瞬にして察してしまった。
翔太と舘さんは別れたんだ。
岩本照
俺で翔太を埋められるなら、
俺で翔太を満たせるなら、
俺で翔太の気が紛れるなら、
何も言わずに、 抱いてやりたいと思った。
たとえ、その瞳に 俺じゃない人が映っていたとしても。
渡辺翔太
盛った後のベットの中。
翔太の切ない声が響く。
岩本照
それを聞くって事は、
翔太は二股をかけられた って事なんだろうな。
岩本照
渡辺翔太
岩本照
渡辺翔太
岩本照
岩本照
渡辺翔太
岩本照
翔太を傷つけるかも、 なんて思いつつも、
聞かれている手前、 答えないわけにもいかず
正論っぽいものを並べる。
少しの沈黙の後、 翔太は小さく頷いた。
渡辺翔太
その声は細くて、小さくて。
思わず翔太を抱きしめる。
岩本照
岩本照
俺の前では少ししか見せてないけど、
きっと翔太はたくさん泣いてて。
心も体も疲れてるはず。
岩本照
岩本照
渡辺翔太
腕の中の翔太の頭をそっと撫でると、
翔太はスッと眠りについた。
ほんとに疲れてたみたい。
閉じた目から分かる瞼の腫れと赤さ。
それを見て、俺の方まで辛くなる。
岩本照
違和感。
違和感しかしない。
そんなことを思っていると、 スマホの通知音が鳴る。
抱きしめていた翔太を、 起こさないようにそっと離して、
スマホを手に取る。
そのメッセージは、 舘さんからのものだった。
とはいっても、 元はといえば俺から連絡したもの。
翔太からお迎えの電話があったときに
一応、 「翔太迎えに行くけどいい?」と、
舘さんに連絡を入れておいた。
返事がこなかったから、 とりあえず迎えに行ったけど。
その返事が、今になって返ってきた。
宮舘涼太
いいよ、でもなく、断るでもなく、 お願いします。
違和感な上、更に違和感しかない。
岩本照
即レスで聞いてみたけど、 またまた返事は返ってこず、
少し経った数ヶ月後の 翔太が仕事でいない日。
内緒で舘さんのところに、 訪ねてみることにした。
岩本照
だけど、家に突撃したはいいものの
肝心の舘さんは居なくて。
LINEは既読が遅いから、 電話をかけてみることにした。
そうして教えてもらった、 舘さんのいる場所。
岩本照
岩本照
宮舘涼太
宮舘涼太
岩本照
ドアを開けて部屋に入る。
すると半身を起こして、 ひらひら手を振る舘さん。
その光景を見てびっくりした。
目の前にいる舘さんは顔が痩せてて、
一瞬自分の目を疑った。
病院着のせいもあって、 余計に細く見える。
そう、今ので分かった通り、 舘さんがいるのは病院。
岩本照
岩本照
宮舘涼太
宮舘涼太
そう言って力無く笑う舘さん。
宮舘涼太
岩本照
岩本照
宮舘涼太
一番最初の話題が翔太の心配。
今でもこんなに翔太を思ってる人が、
二股なんかするわけない。
あの時どことなく感じた違和感は、 やっぱり正しくて。
岩本照
宮舘涼太
一瞬驚いた顔を見せるけど、 すぐに微笑む舘さん。
宮舘涼太
宮舘涼太
岩本照
宮舘涼太
宮舘涼太
岩本照
岩本照
宮舘涼太
岩本照
岩本照
宮舘涼太
岩本照
さすが舘さん。
翔太の幼馴染みなだけあって、
完全に、 理解した上での選択だったんだ。
宮舘涼太
宮舘涼太
宮舘涼太
舘さんのロック画面は、 今でも翔太の写真。
舘さんの真っすぐさが、 痛いほど伝わってくる。
宮舘涼太
天を仰ぐ舘さん。
涙がこぼれないように、 上を向く癖は翔太と一緒。
好きな人のために、 好きな人と離れる選択。
そんなの簡単にできるものじゃない。
翔太を想う舘さんの気持ちが
紛れもなく、 本物だったからこそ出来た事。
岩本照
このままだと翔太は
舘さんが二股したと、 信じて生きていってしまう。
宮舘涼太
だから照も何も言わないでね、 と、口止めをしてくる舘さん。
岩本照
宮舘涼太
岩本照
宮舘涼太
岩本照
宮舘涼太
宮舘涼太
宮舘涼太
宮舘涼太
要するに、好きなまんま死に別れて
翔太に引きずらせるんじゃなくて、
早めに別れて、嫌われて、
翔太が少しでも、 早く前に向けるように...ってこと。
違う意味で、 忘れられないかもしれないけど
誰かに優しくされたときに、 その傷が痛む分その人に惚れ込める。
嫌われた方が、 翔太にとっていいと思ったんだって。
どこまでも翔太想いで、 一枚上手な舘さんには敵わない。
そう思った瞬間だった。
宮舘涼太
岩本照
岩本照
宮舘涼太
舘さんはきっと、
俺が翔太のことを 好きなのを知っていて、
俺に翔太を託したんだと思う。
だからその分、 必ず翔太を幸せにするんだと決めた。
舘さんの分まで、俺が必ず。
そうして今。
俺と翔太は付き合っている。
もちろん、結婚を前提に。
岩本照
渡辺翔太
渡辺翔太
岩本照
あれから何度も告白して、 やっとのことでつかめた翔太。
今でも翔太の一番は舘さんだけど、
それでも全然いい。
それを分かった上で 付き合ってるんだから。
渡辺翔太
岩本照
岩本照
渡辺翔太
渡辺翔太
岩本照
渡辺翔太
渡辺翔太
岩本照
岩本照
渡辺翔太
岩本照
岩本照
岩本照
そういうと、 納得の色を見せて頷く翔太。
渡辺翔太
岩本照
渡辺翔太
岩本照
ちょっとだけ 落ち込んだ翔太の頭をなでる。
感情が表に出やすい所も可愛いね。
岩本照
岩本照
渡辺翔太
俺は翔太に舘さんの 病気のことを伝えていない。
何度か言おうと迷ったけど、 舘さんと約束したからね。
男に二言は無しだよ。
だけど何も知らない翔太は、
舘さんに晴れ姿を 見てもらいたいみたいで。
だから一応 招待状だけは送っておいた。
渡辺翔太
岩本照
岩本照
舘さんの分まで、 俺が翔太を幸せにするから。
舘さんも安心して見守っててね。
主